コース紹介

リレーエッセイ企画「最近の研究テーマの展望とその成果」

戻る

本企画では、文学部の専任教員が「どんな専門なのか」「何が勉強できるのか」といった内容を中心に、受験生の皆さんへのメッセージを含めたショートエッセイを執筆しました。どうぞお楽しみください。

日本の山の景観 -地形・植生・気候の調査から紐解く-

佐々木 明彦(ささき あきひこ)准教授(専門分野:自然地理学、地形学)

 私の研究対象は『山』です。大学の卒論の研究から30年以上にわたり山に関わってきました。山の景観はどのようにつくられ、どのように変化してきたのか、山の気候は現在どのような特徴をもっていて将来どのようになりそうか、ということを中心に研究しています。
 日本の高山帯の地形の大部分は氷河期につくられました。それらの地形には、氷河期からかたちを維持しているものもあれば、別の地形をつくる作用に変化して解体されてきたものもあります。そうした地形の形成過程は、堆積物や土層を調査することで詳らかにされてきました。また、山の植生も地形と同様に寒冷な気温や積雪、強風など気候環境に規定されて成立していることが明らかとなり、変化する地形に対応して生存する植物の様子なども捉えられています。
 地形や植生を構成要素とする山の景観は、気候の変化に鋭敏に反応して変化することが予想されるため、今後もモニタリングを続けることが重要です。

  • 佐々木明彦先生写真1北アルプス、槍・穂高連峰の圏谷や氷食谷
  • 佐々木明彦先生写真2大雪山、小白雲岳の雪窪(夏季遅くまで残る残雪が斜面を侵食してつくる地形)
  • 佐々木明彦先生写真3地形変化を記録する堆積物
  • 佐々木明彦先生写真4変化する地表面(砂礫がひと冬で数十cm移動する。直線に塗布したペンキの動きから解る)

<2022年10月18日(火)掲載>

西アフリカの自然資源・在来知識・人的ネットワーク

桐越 仁美(きりこし ひとみ)講師(専門分野:地理学、アフリカ地域研究)

 西アフリカのニジェール共和国とガーナ共和国の2か国で住民の自然資源利用や、交易を通じたネットワーク形成の実態を調査しています。農村への住み込み調査を基本とし、世帯調査や食事調査、実際に作業等をともにおこなう参与観察などの調査手法を用いて調査しています。
 近年、西アフリカでは人口爆発や砂漠化の進行などを背景に、内陸乾燥地域から沿岸地域への人口移動が生じています。内陸乾燥地域では、在来知識を利用した砂漠化対策がとられているものの、土地の余剰はなく、生産性が低下しているために生活が苦しい状況です。一方、沿岸地域は土地の余剰があり、都市部では現金稼得の機会があります。内陸乾燥地域の人びとは積極的に沿岸地域へと移動し、農業部門や商業部門に参入していきます。
 内陸乾燥地域から沿岸地域への人びとの移動において、西アフリカの歴史的な長距離交易のネットワークが重要な役割を果たします。これまでの研究から、交易ネットワークは沿岸地域の情報を内陸乾燥地域へと伝え、人びとの移動を支えていることが明らかになっています。

  • 桐越仁美先生写真1 農作物の収量調査の様子
  • 桐越仁美先生写真2 農村における参与観察(コーラナッツの水洗と外皮除去)

<2022年8月23日(火)掲載>

サービス化の経済地理学的インパクト

加藤 幸治(かとう こうじ)教授(専門分野:経済地理学)

 サービス化の進展とそれにともなう地域・都市間関係の再編を経済地理学的観点から解明することが最近の研究テーマです。ここでのサービスとは、財(モノ)と対置される経済学上の概念です。床屋や診療所で受ける「サービス」を想定してもらうのが適当で、財と比べ、「無形性」(みえない)、「不可逆性」(元に戻せない)といった性格を持つとされます。
 なかでも経済地理学的に重要なのは「貯蔵も輸送もできない」(非貯蔵性・非輸送性)という性格です。どこかで作って持ってくることができないため、「生産」と「消費」の過程が同じ場所・同じ時間で発生することになります。
 教室に集まらず、リモートで授業することは可能ですが、コロナが収まれば対面授業が再開されるように、「質の高いサービス」を受けるには一般に対面・対人接触が求められます。こうした性格が東京一極集中や大都市への人口の集積・集中を引き起こし、それ加速化させている。こうした過程を現実に即して明らかにしています。

<2022年8月2日(火)掲載>



文学部の情報を探す

学部生の方へ

manaba

Kaede-i(ポータルサイト)

Office365 webメール

学習支援ツール

スポ魂サイト

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2023年11月20日更新

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2023年08月08日更新

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2023年03月28日更新

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2022年03月14日更新

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2021年06月15日更新

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

2020年04月02日更新

デジタル社会の「読み・書き・そろばん」にあたる「数理・データサイエンス・AI」の基礎などの必要な力を身に付けられるように、全学部で『AI・データサイエンス教育プログラム』を設けています。

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

国士舘大学の魅力ある教員・研究者を紹介します!

前へ
次へ
文学部の先輩・先生を紹介!

ページの先頭へ