本学FD委員会および職員研修委員会が主催する第5回FD・SDシンポジウムが7月26日に世田谷キャンパス34号館B301教室とZoomによるハイブリット型で開催され、教職員210人(対面51人、オンライン159人)が参加しました。
テーマは「ハラスメントを未然に防ぐために私たちができること」。さまざまなハラスメントの問題が社会的に広く認識されるようになり、学生・教職員など多様な立場の人々が関わるため、大学でのキャンパス・ハラスメント防止のための視点について考えることを目的に開催されました。
講演に先立ち、田原淳子学長によるあいさつがあり、「近年、ハラスメントの種類は社会の変化とともに増加し、複雑化している。私たちは定期的に学びなおし、新しい情報を得て、今日の社会に適応したハラスメントの予防と対策を見直していくことが重要。本日のシンポジウムが皆様にとってハラスメント防止の意識をより一層高めていく貴重な学びの機会となることを祈っている」と述べました。
講演では千葉大学大学院社会科学研究院教授の皆川宏之氏を講師に迎えました。皆川氏はハラスメントの防止や法的・社会的位置づけについて、それぞれに事業主の防止措置義務があると述べ、人格権の侵害に当たる行為として民法上の不法行為の対象となり、使用者責任や債務不履行責任を問われるケースもあると説明しました。
次にキャンパス内で起こりうるハラスメントについて触れ、法律上の定義はないものの、学生や保護者、教職員それぞれが優越的な関係を背景として言動で人の人格権を侵害する行為がそれにあたると解説しました。また、「ハラスメント」として相談された事例がすべて違法な不法行為となるわけではないものの、個々の立場にかかわらず、相手が誰であっても、人の人格権を損なうような言動は違法と理解することが肝要であると強調しました。
皆川氏は「相談体制の整備や再発防止に向けた取り組みが重要である」と述べ、「個人の尊厳を尊重する職場環境・学習環境を実現することでハラスメントが起こらない環境になっていく」と語りかけました。
最後に、職員研修委員会委員長で体育学部事務課の大野敦司課長が総評を述べ、FD委員会委員長で法学部教授の辰野文理副学長があいさつし、閉会しました。



