
国士舘を語る。
- 初めて触れる国士舘創立の物語 -
2024年度から全学共通教育の目玉科目としてスタートした秋期開講科目「国士舘を語る - 継承する精神文化の探求 - 」。春期必修科目「国士舘を知る - 建学の精神と教育理念 - 」はオンライン講義ですが、秋は募集で200名弱が選ばれての対面講義。2024年度に参加した学生お二人に、講義の印象、面白さについて振り返っていただきました。インタビューに答えてくれた2名

右:石幡華菜さん(文学部2年)
左:峯元咲桜さん(経営学部2年)
体験したことのないエッセンス。

石幡さん
授業は今まで体験したことのないものでした。15回の講義で、いろいろな先生が担当するのですが、そもそも異なる先生が登場する講義は初めて経験しました。もちろんそれだけではありません。情報量が多くて充実しているといえばいいんでしょうか。たとえば、登壇する先生の中に、武士の格好をした先生がいて。その格好で登場するのだけでもインパクトがありましたが、講義内容は武士道や古事記についてです。日本の文化がどのように育まれてきたのかについて、今まであまり考えてこなかった部分を学ぶことができました。ちなみに授業用の格好かと思ったら、時々学内をその姿で歩いているのを見かけるのでびっくりしますよ。毎回そうした驚きがあったのが「国士舘を語る」という授業の記憶です。

峯元さん
私は、吉田松陰の話がとても印象に残っています。特に、ペリーの黒船が来た時に、日本の将来を考えて米国に連れて行ってくれと黒船に乗り込み、ペリーに直訴したという話のインパクトがすごかったです。命を失うかもしれないとかではなく、国の未来のためにここまで行動できるのかという思いになりました。
授業には教科書がなく、さまざまな文献や資料を用いながら先生たちが臨場感たっぷりに説明してくれます。授業の中では国士舘をテーマにしていますが、さまざまな歴史的人物が絡んでいることについて学ぶことができたのは大きかったです。吉田松陰をはじめ、渋沢栄一も、中学高校で教わったり、受験勉強などで知識としてはありましたが、詳しい人物像などはよくわかっていませんでしたから。
多様な捉え方、多彩な内容。
石幡さん
多様性に富んだ内容が良かったですよね。吉田松陰の話をしている先生もいれば、国士舘大学創立者の柴田德次郎について話をする先生もいて。一つ一つの授業が物語のように展開されていくので、次の講義が楽しみになりました。私は学部での授業の前には、シラバスを確認してどんな内容なのか予習することが日課ですが、この授業は予習したとしても想像しなかった内容だらけです。だから、ちょっと先生たちが考えていることに挑んでいるような感覚がありました。授業後は、授業の内容に則ってその人物や出来事について調べたりすることもよくありましたね。
峯元さん
実はもともと、定期試験がないということでこの授業に応募したんです。手間がなくていいと思って。その代わり、授業の終わりに小テストがありました。しかし、このテストがおもしろかった。授業の内容を振り返るテストという感じですが、内容の振り返りがしやすいのも好印象でした。

石幡さん
先ほど、いろんな先生が登場すると言いましたが、私は文学部なのであまり他の学部の先生を知りません。しかし、この講義だと他学部の先生も登場します。たとえば、経営学部の先生の講義が興味深かったです。国士舘設立には渋沢栄一とか徳富蘇峰といった、財界人やジャーナリストが関わっているので、そこで、経営的な視点での資金集めや賛同者集めの意義や価値、当時の世界的な市場のトレンドまで立体的に考えていくことの面白さを感じました。この授業がなかったらこの内容には出合えてなかったと思います。

峯元さん
あ、そこは「タイパ」とかとセットで語られていました。授業の中でも、結構頻繁に「タイパ」が出てきて、吉田松陰たちの動きと現代のタイパとの違いを説明してくれました。大きなモチベーションがあって、その時のモチベーションに対して全身全霊で向き合っていた吉田松陰は、現代的なタイパとは全然違う動きになっているということを説明してくれていました。
石幡さん
「タイパ」についていうと、この一連の講義が7名の先生たちが考えて作り上げていると知って驚きました。1年半近く構想が練り上げられていたということは、ある意味タイパの対極。でも、今それを知ると、また全然違った講義の聞き方ができるのではないかと思います。昨年一度受講した内容ですが、もう一回受けてみたくなってきました。
峯元さん
それは間違いなく違ってくると思います。私は本当に吉田松陰の話は強い印象に残っていて。影響も受けました。
本科目を履修した後、少し大きなホテルのレストランでアルバイトを始めました。最初は、単純作業が良くて、人に迷惑かけないような仕事がいい、失敗しなくていいからと思っていました。でも、緊張して不安だったのですが、ホールに立つことになったのです。やってみたらとにかく面白かった。そしたら、やっぱりちゃんとしたホテルなので、アルバイトでもマナー研修などがしっかりある。今では、とにかくいろいろなことを現場で学んだり、研修に参加したりして、チャレンジしたいと思っています。もちろん吉田松陰とは比べものになりませんが、自分の中では授業で聞いたことが大きな実践のきっかけだったなと感じています。
石幡さん
すごいなあ。私はもう日々、三日坊主になってしまうことが多いんです。それこそ早寝早起きをする、といったことでも考えが状況によってコロコロ変わってしまいます。そして結構悲観的になることが多いんです。それが大学に入ってから、一歩を踏み出そうと思えることが多くなってきました。柴田德次郎は、とにかく強い衝動に突き動かされて行動し続けていって、周りを巻き込んでいきますよね。さすがにあんなことはできない気がするんですが、思い立った時に行動する、ということをもっと大事にしていこうと今は考えています。小さなことでいいので、こうしたいと思ったことをちゃんとやってみる。行動を止めちゃうっていうのが多かったので、「国士舘を語る」に登場するさまざまな出来事も、ひょっとしたら自分の生活のすぐ隣にあることなんだなと考えながら、日々の実践に生かしていきたいと考えています。

「国士舘を語る」の講義終了後には、学生からアンケートを集めています。2024年度の学生たちが何を感じ、どう捉えていたのか、ここにその一部をご紹介します。
私は「国士舘を語る」の授業を受け、これからの大学生活をより充実させていけると感じている。自分の学ぶ大学の教育理念を知ったことで自分がどんな教育方針のもとで学んでいるかを意識した。知識を得るだけではなく、この4年間で人間性や社会性も学んでいきたいと考えられるようになったので、より主体的に大学生活を送っていけると考えている。また、国士舘の歴史を学べたことで私も国士舘の一員だという自覚が生まれた。同じ学び舎で学ぶ仲間とともに協力し、よりよい大学生活を築いていきたいと考えることができた。
国士舘大学を創立した意味や、どのような人材を育て、どのような大学にしていこうとしているのかを理解することができた。特に驚いたのは、大学の考え方に渋沢栄一という偉人が賛同してくれて、今の日本には国士舘大学が必要だと言っていたということを知ったことだ。他にもたくさんの方々が同じ思いで柴田德次郎と一緒に大学を創立し、現在まで多くの人に支えられていることを知り、国士舘大学に入学し学べていることをとても誇りに思った。
15回の授業を通し、国士舘に関わってきた人達について知り、日本人が大切にしてきた考えを知ることができた。着物で授業をする先生もいて驚いたが、普通に授業をするより面白みがあった。第11回の授業では、日本の伝統的な価値観や倫理観について深く学ぶことができた。特に、『古事記』に記された日本独自の感情を重んじた倫理観が、現代にも息づいていることに興味を持った。古代からの考え方が、現在の日本社会の人間関係や価値観にも影響を与えていると感じた。そのなかで、『古事記』に見られる「誠」や「正直」の考え方が、後の時代の武士道や日本人の倫理観に通じているという点が特に印象的だった。
春期に受講した「国士舘を知る」を土台にして、さらに国士舘大学のことだけでなく、日本の歴史と関連させたり、心の観点を入れたりと、一つの授業でさまざまな分野を一緒に学ぶことができた気がした。特に「損得勘定」という話が印象に残った。私自身日頃の生活の中で損得をよく気にしてしまうが、講義を聞いて、損得にこだわらなければ、もっと経験したことのない楽しさやよりよい人間関係がそこにはあるのかなと考えさせられた。これからの人生で少しずつでもいいから損得について今よりも考えずに生きていきたいと思った。
全体160名を超える学生がアンケートに答えてくれており、ほんの一部の紹介です。