
第1187回日本学士院総会が3月12日開催され、政経学部元教授・阿部武司氏の日本学士院賞受賞が決定しました。著書「日本綿業史―徳川期から日中開戦まで」の研究が、アジアでの近代日本綿業の意義を見直す画期的な業績であると評価され、受賞に至りました。それを受け6月10日東京・上野で天皇陛下ご臨席のもと、第115回授賞式が挙行されました。
同賞は、日本学士院が学術研究を奨励するために、すぐれた研究・論文・著書に対して明治44年の創設より年1回授与しており、日本の学術賞として最も権威ある賞とされています。
同氏は受賞に対し、「国士舘大学在任中のコロナ禍、図書館や学術研究支援課をはじめ多くの方々の助けを借り今回の本を執筆することができました。大学のサポートに大変感謝しております」と述べました。
また、受賞を記念して6月26日、世田谷キャンパス34号館B203教室で講演会が開催されました。題目は「起業家大原孫三郎の社会貢献事業」。倉敷紡績(クラボウ)の2代目社長でクラレ創始者の大原孫三郎による功績と社会貢献事業、また大原家の現在まで続く社会貢献活動が日本社会に与えた影響について講演しました。講演の中で阿部氏は、孫三郎の美術や労働者の生活および地位向上などに尽力したことについて解説し、他の資本家と比較しながら孫三郎の功績を解説する場面もありました。そして最後に、「歴史学にif(もしも)は禁句だが」と付け加えた阿部氏は我々に仮説を投げかけ、考える余白と余韻を残し、講演を締めました。
教室いっぱいの学生と、参加した多くの教員が講演に熱心に耳を傾け、最後の質疑応答には多くの質問が寄せられ、終始熱量の高い講演となりました。
■講演題目
「起業家大原孫三郎の社会貢献事業」

