Kokushikan Magazines Feature

アスリートの叫び~ハンドボール(男子)~

体育学部こどもスポーツ教育学科4年  首藤 大輝

今回のアスリートの叫びは、春季リーグ戦で31年ぶりの優勝を果たしたハンドボール部で主将を務め、自身も日本代表に選出されるなど活躍する首藤大輝選手にお話を伺いました。

アスリートの叫びとは…

本学には学業とスポーツに打ち込み夢を追い続けるアスリートたちがいます。そのアスリートたちの「叫ばずにいられない」本音や裏側などをインタビュー形式でお届けします。

プロフィール

首藤 大輝(しゅとう だいき)

大分県出身
大分県立大分雄城台高等学校卒業
ハンドボール部(男子)
ポジション センターバック(CB)

小学生の頃にハンドボールをはじめ、小・中学校では主将を経験。高等学校でも副主将を務めるなどそのリーダーシップは折り紙つき。現在も、ハンドボール部(男子)を主将としてけん引するとともに、日本代表に選出されるなど世界の舞台でも活躍を続ける

ハンドボールとの出会い。コロナ禍の高校時代を経て

ー競技を始めたきっかけを教えてください

元々はサッカーをしていましたが、小学3年生のころ、父に地元のハンドボールクラブに連れていかれたことがきっかけでハンドボールに興味を持つようになりました。いざやってみると、それまでの脚をメインに使うスポーツから飛んで投げるという動作が楽しくてみるみるはまっていきましたね。

ーサッカーへの未練や他の競技への関心はなかったのですか?

なかったです(笑)。ハンドボールの動きが楽しいということもありましたが、「競技人口がとても多いサッカーと比較しても上を目指せるのではないか」という父の勧めもありハンドボールにのめりこんでいきました。そのまま、クラブチームに所属し中学校でもハンドボール部に所属しました。

ー大学入学までの生活について教えてください

進学した高校はインターハイ常連校で、インターハイ優勝を目指して日々練習に励んでいました。ただし、2年生の頃からコロナ禍に入ってしまい、大会が軒並み中止になってしまいました。そのような中、3年生時にやっとの思いでインターハイに出場することができました。優勝はできませんでしたが、3回戦で11得点をあげられたこともあり、強く印象に残っています。

ー国士舘大学に進学を決めた理由を教えてください

まずは、選手としてより一層成長できる環境を追い求めていました。その中で、元プロ選手でもある豊田監督(体育学部准教授)にお声がけいただき、国士舘が候補にあがるようになりました。また、将来は教員としてハンドボールを教えたいと考えており、競技をしながら教員免許取得が可能なことも魅力的に感じ、国士舘に進学を決めました。

寮生活とこどもスポーツ教育学科の学びで成長を遂げる

ー大学入学後、寮生活を始めたと思います。生活は変化しましたか?

大きく変化しまたね。寮は3~4人部屋で、1年生が掃除などを担当します。入寮当初は、同時に大分から上京しての生活が始まったこともあり、環境の変化についていくことが大変でした。ただ、自分自身が一人で行動するより誰かと行動したいと思うタイプだったので、生活にはすぐに馴染めました。寮のルールも変な厳しさはないですし、周囲に仲間がいてすぐに話せる環境は自分に合っていました。

ー寮生活で苦労したことはなかったですか?

寮では基本的には自炊をするのですが、料理のスキルも何もなかったので食事で苦労しましたね(笑)。今では、炒め物だったり簡単なものであれば作れるようになりました。

ーちなみに好きな食べ物はありますか?

お寿司が大好きです。先輩にご飯に連れていってもらうときはお寿司ばかりおねだりしていました(笑)。

ーこどもスポーツ教育学科の授業はどうですか?

実は、当時ハンドボール部でこどもスポーツ教育学科に在籍する選手は誰もいませんでした。そのことから、授業の履修や学ぶ内容もさっぱりわかりませんでした。ただ、いざ入ってみると先生方との距離も近く毎日楽しみながら学べています。好きな教科は身体を動かす「保健体育科教育法」で、教える目線やこどもたちの目線で考えるのが新鮮でとても楽しいです。

強豪チームをけん引する心がまえ。
チームリーダーとして目指すチーム像とは…

ー春リーグでは31年ぶりの優勝を果たしました。振り返って印象に残ることはありましたか?

主将に就任してから、まずは春リーグ優勝を目標に掲げていたのでとてもうれしかったです。実は、リーグ戦序盤に、自滅するようなかたちで負けてしまった試合がありました。そのときに、実力差で負けたことより自分たちの実力を発揮できなかったことにすごく悔しさを感じ、今のままでは勝ちきれないと危機感を覚え、「何よりも毎試合自分たちを出し切ることを心がけよう」と伝えました。そこからチームが一体となって「自分たちの実力を発揮すればおのずと勝利はついてくる」と自信をもって試合に臨むことができるようになりました。

ー優勝の要因を教えてください

やはり、最後まであきらめない姿勢を貫けたことだと思います。具体的には、試合終了まで粘り強いディフェンスを行うことです。その結果が、リーグ戦最少失点数という結果になり接戦で勝利できるようになりました。あとは何といっても大所帯のチームなのでメンバー外も桁違いの声援を送ってくれて、それが本当に力になりましたね。

ー首藤選手は主将としてチームをけん引しました。チームリーダーとして意識していることを教えてください

自分が意識していることは、「徹底したコミュニケーション」と「自らお手本となる行動をする(率先垂範)」の2つです。
まず、徹底したコミュニケーションは試合中にとくに意識しています。ハンドボールは、試合が目まぐるしく展開していき、心身ともに疲労がどっと出てきます。その中のハーフタイムなどの時間で声をかける機会があるのですが、やはりその時に多くのことを長く伝えてても響きません。「端的にチームを鼓舞する言葉」を意識しています。つらい時や劣勢のときこそコミュニケーションを大事にすることを心がけています。

ー言葉ひとつひとつを大切にされているのですね。「自らお手本となる行動をする(率先垂範)」についても教えてください

はい、これはさきほどいった「言葉」の価値を高めるために必要だと思っていることで、自らの行動でチームメイトに示していくことです。具体的には、練習で誰よりも声をだすことや練習に向かう姿勢や覚悟を示すといったことになります。やはり、リーダーを務めるには、「口だけにならない」ことが重要で、自ら行動で示すことにより初めて意見が言えることになると思いますし、"全員が自分の背中を追いかけるようになればよいチームになっていく"それぐらいの強い気持ちでいます。

試合中など積極的に言葉を投げかける
国士舘ならではの「大声援」が選手を後押しする

ー主将として苦労することはありますか?

ハンドボール部は、部員が90人と大所帯のチームで、正直そのチームを一人でまとめることは簡単ではありません。部員の中でのモチベーションに差が出てしまうこともあります。
そのようなときに頼りになるのが同期である4年生の存在です。副主将や主務など幹部と呼ばれるチームメイトたちは周囲をよく見て意見を出してくれます。同級生同士でも意見交換がしやすい雰囲気をつくることが自分の仕事でもあると感じています。同級生の間でも遠慮なく意見交換ができ、"団結してチーム全体が良い方向に向かえるようにする"これがチームの理想だと思います。

大所帯のチームをまとめ上げる
ともにチームをまとめる副主将の武藤瑞希選手(右)と

ーチームリーダーの楽しさを教えてください

チームを引っ張り、その年のチームの色を造りあげることです。主将になってから、自分たちの代だからできることを考えるようになり、今までやってきたことを継承しながらも一度疑い、新しい文化を作り上げることに徹底的にチャレンジしようと決意しました。同級生の間でも意見交換をする機会を多く設けることや練習メニューを柔軟に変化させることなどに取り組んでいます。もちろん、意見が衝突することはあるのですが、目指している目標は同じなので、ものすごくやりがいを感じています。それらを経てチーム一丸となって勝利できたときの喜びはひとしおですね。

プレーと言葉でチームをけん引する

確かな手ごたえを感じた日本代表の経験を経て

ー首藤選手は、U21日本代表選手としても活躍されています。代表に選出されたときの気持ちを教えてください

初めて日本代表に選出されたときは正直驚きました。ただ、やるからには徹底的に食らいついてやると思ったことは覚えています。いざ合宿に参加すると、全体的にレベルが高く圧倒されながらもプレーをしててすごく楽しかったことを覚えています。

ーアジアジュニア選手権では、日本代表の連覇に貢献しました。

はい。とにかくうれしかったですね。豊田監督のもと、自分含めて4人も国士舘から選出されて誇らしく感じました。その反面、初めての海外だったので食事や衛生面では正直苦労しましたね。食事があまり合わずに体重も減少してしまったりと色々とありましたが、今となっては貴重な経験です。

大学でも日本代表でも豊田監督の指導をうける

ー世界ジュニア選手権では、日本史上初のメインラウンド進出を決めましたね。

そうですね。ただ、日本チームとしてはもっと上を目指していたので悔しいという感情が強かったです。その中でも、自分の武器であるスピードは通用するのではないかと手ごたえを感じられたことは収穫でした。

ー世界での経験を踏まえて自身の強みを再認識したということですね

自分の武器は、スピードカットインなのですが、それらが通用する手ごたえを感じたので、長所を伸ばして今後も世界を相手に戦っていきたいです。

国士舘から日本代表に選出された鎌倉悠真選手(左)と井上巧登選手(右)とパシャリ

挫折を乗り越え、日本のトップ選手を目指す

ー今まで大きなけがなど挫折をしたことはありますか

実は、大学2年の秋の練習中に相手と接触して倒れこむときに左前腕を骨折しました。その後すぐに手術して、インカレ出場もできず半年近くハンドボールができない日々が続きました。

ーどのように乗り越えましたか?

正直、最初はもう無理だとあきらめそうになりましたが、リハビリ中にハンドボールを俯瞰でとらえることができました。そのときに、自分だったらこの場面ではあのプレーをする。自分はこのプレーが弱点だと気がつくようになりました。そこから、復帰までの道のりで身体面でのアプローチの仕方なども考え、「ハンドボールをイメージしながら今できることをやろう」とプラスに考えるようになりました。
あとは、インカレ欠場をした悔しさからも「勝ちたい」「後悔したくない」という想いが強まり、その想いをずっと持ち続けたことで乗り越えられたと思います。

練習前にストレッチを行う首藤選手。左前腕には手術跡も
ハンドボールができる喜びをかみしめながら練習に励む

目指すは春・秋リーグ連覇・インカレ日本一 

ー今年のチームの目標を教えてください

日本一です。春リーグのみならず秋リーグも優勝しての連覇に加えてインカレでも優勝と"完全な日本一"を目指したいです。
インカレは、トーナメント戦なので一試合一試合に対してのプレッシャーが異なります。そのようなプレッシャーにも耐えられるぐらい自信をもって試合に臨めるチームにしていきたいですね。

ー今後の選手としての目標を教えてください

日本のトップ選手へ。
目指すはオリンピック

やるからには、上を目指し続けたいと考えています。将来は日本のトップ選手となり、オリンピックに出場したいです。学業面では、教員免許を取得することに加え、主将面では、"風通しのよい文化"をこのチームに残していきたいです。

学生アスリートと受験生へのメッセージ

ー受験生へのメッセージ

国士舘大学ハンドボール部は、学年関係なく雰囲気がよく高みを目指すには最適なチームです。少しでも上にいきたい、トップを目指したいと考えている方がいたらぜひ国士舘の門をたたいてほしいですね。

ー学生アスリートへ一言

学生としてスポーツをできることもあとわずかです。悩むことも多いかと思いますが、「後悔しないよう」一日一日を大切にしていきましょう!

2025年7月19日取材


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