
アスリートの共鳴(アーティスティックスイミング×新体操部男子)
体育学部体育学科4年 中田 真太郎
今回のアスリートの共鳴は、芸術系スポーツで主将を務め、チームの要として活躍する2選手にお話を伺いました。
アスリートの共鳴とは…
本学には学業とスポーツに打ち込み夢を追い続けるアスリートたちがいます。そのアスリートたちの「叫ばずにいられない」本音や裏側などを対談形式でお届けします。
話を聞いたアスリート | ||
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氏名 | 岩崎 尽真 | 中田 真太郎 |
所属クラブ |
アーティスティックスイミング部 | 新体操部(男子) |
部内での役職 | 主将 | 主将 |
出身高等学校 | 東京都私立国士舘高等学校 | 青森県私立青森山田高等学校 |

それぞれの競技について
競技をはじめたきっかけは?
岩崎選手
小学校のとなりに区民プールがあり、小学3年生からそこで水泳を始めたのですが、そのプールにシンクロのイベントの張り紙があり、以前ダンスも習ってたので、好きな水泳とダンスが一緒になっていて面白そうだなと思い、イベントに参加しました。その時、教えに来てくださっていたのが国士舘大学アーティスティックスイミング(以降AS)部の方で、その方に「国士舘にASクラブがあるんだけど入ってみない?」とお声がけいただき、小学6年生の時に国士舘ASクラブに入会して本格的に競技として始めました。
中田選手
自分は小学3年生の頃、運動神経がめちゃくちゃ悪くて、それを見かねた親が半ば強制的に運動神経向上のために体操教室に入れたのがきっかけですね。でも、教室を見に行ったらバク転とかかっこよかったので、半分強制、半分興味でした。始めた頃は、柔軟とか痛くてめちゃくちゃ嫌で泣いてたんですけど、でも周りに負けるのが嫌だったので辞めなかったですね。
競技の魅力について教えてください
岩崎選手
新体操も芸術系の競技だと思うのですが、ASも芸術系の競技で、水中で普段できないような動きをするところが魅力ですね。水中で逆さまになって足を出したり、リフトしたりするのは、なかなかできない経験なので、大きな魅力の一つです。
あと、曲に合わせて振り付けを考えて、テーマを全身で表現し、評価していただくというのは、すごい魅力的な部分だと思います。

中田選手
新体操もASと同じく魅せる競技で、さらに女子のイメージが強いと思います。自分たち男子新体操の魅力は、女子の柔軟性の部分プラス、タンブリング(宙返り)などダイナミックな力強い演技を魅力としています。
あとは、人間の体ってこんなことできるんだ!!という演技を披露できるのも魅力の一つですね。

それぞれの競技の難しさについて教えてください
岩崎選手
やはり柔軟性が必要な競技だと思います。あと、もともと女子の競技だったので、男子にとって工夫しなければならない面も多くあります。
まず、男子と女子のからだの作りが違い、女子より男子のほうが筋肉量が多いので、どうしても水の中で沈んでしまいます。なので、筋肉をつけすぎないように、でも鍛えながら、という体づくりのバランスがとても難しくて大変ですね。自分のからだと向き合う時間が大切だと実感しています。

そして、ASに合った体作りをしながら、チームで合わせて演技するというのが、また難しくて。1つ1つのカウントにピシっと合わせるためには素早く動けないとだめなので、体が重くて合わせられない。じゃあ明日どうにかなるかというと、すぐに体を変えることはできないので、日々の体づくりは本当に頑張ってます。
中田選手
新体操は、柔軟性とタンブリングなどのパワフルな瞬発力、その両立が難しい部分なのかなと思います。
柔軟性×パワー、ですね。柔軟性を意識しすぎるとパワーが落ちるし、パワーを重視しすぎると柔軟性に欠けてしまう。さらに、選手によってその得意不得意が違うので、それをチームで揃えて欠点を無くしていくというのが難しいです。

芸術性を高めるために努力していることなど、あれば教えてください!

岩崎選手
アニメや映画を観たり、洋服選びにこだわったり、自分の感性を豊かにするものを取り入れるようにして、いつもセンスを磨くことを意識しています。いろいろなものから受けたインスピレーションを、ソロ(個人)の演技の時に生かしています。ソロは、好きな曲を使って良いといわれることが多いので、例えば以前『ウルフマン(狼男)』という映画からインスピレーションを受けて、劇中曲を使い振り付けも狼男を想像して作りました。

中田選手
自分は、体の一部だけを動かす練習で「アイソレーション」というものがあるんですけど、それをアップだけではなく、いつもするようにしていて、いま自分の体がどう動くのか、を確認しています。
いつか使ってみたい曲や、やってみたい演技はありますか
岩崎選手
あります!小学6年生の時にASを始めて最初に使った「ミッションインポッシブル」の曲で、もう一度演技したいです。
一番最初に演技した曲は僕のASの原点で、あの演技が最高に楽しかったから、ここまで競技を続けられていると思っているので、いつかその曲に自分で振り付けを考えて演技したいですね。
中田選手
自分は、現在進行形というか、今ちょうど一番やりたい曲で演技しています。「アバター」の劇中曲です。
今までは雰囲気が似た曲が多かったので、今年はガラっと印象を変えて野性味ある演技で点数を獲って10月のインカレに優勝して終わりたいですね。
お互いの競技、どんなイメージ?
岩崎選手
ASも新体操も、女子が多い、女子の競技というイメージが強いのかなと思います。
どっちも、女子が多い中で頑張っている・・・男子たち。
中田選手
そうだね(笑)
あと、芸術性を求める競技というところが共通していると思います。
でも、新体操よりもASのほうが衣装とか演技の構成とか自由度が高いのかなって話を聞いて思ったので、見習わないと!と思いました。
岩崎選手
衣装はどういう風に決めてるの?
中田選手
毎年、曲の雰囲気に合わせてモチーフを決めているんだけど、ASのほうが芸術的センスがあふれている感じがする。
国士舘大学の思い出
岩崎選手
いろいろな部活の友達や、学部の友達もできて、違う競技の友達を応援しに行ったり、学食で他愛もない話したり。そういう日常が思い出です。ちなみに、学食で好きなメニューはメープルセンチュリーセンター多摩(MCCT)のチキン南蛮です!
中田選手
僕の学生生活の思い出は、部活で行った海外遠征ですね。男子新体操は、ときどき海外から「演技しに来てください」と依頼が入るので、それは良い思い出になりましたし、良い経験にもなりました。
岩崎選手
この4年間で、どんな国に行ったの?
中田選手
イタリア2回と、オランダとドイツに行ったよ。
岩崎選手
いいなー!
中田選手
イタリアでは、体操フェスティバルみたいなものが結構開催されていて、その「体操」には器械体操だけじゃなく、ダンスっぽいものから、僕らの新体操までさまざま。いろいろな体操の選手が世界から呼ばれてフェスティバルに参加するんです。
世界からいろいろとお声がかかる要因の一つに、シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーに新体操出身者が多いので、そういうところから新体操ネットワークが世界に広まっているのかなと思います。

主将として
主将として心掛けていること、また大変なことがあったら教えてください!
岩崎選手
去年、1学年上に小林唄選手という現在も日本代表で活躍されている選手がいらして、小林先輩を含む先輩方・先生方と一緒に頑張らせてもらったおかげで良い影響をたくさんもらい、貴重な経験をさせていただきました。僕も、主将としてそれを引き継ぎ、去年に引き続きインカレ優勝を成し遂げたいと思います。
主将として大変な部分は、部員のモチベーションの維持です。ASは、大学の全国大会がインカレの一つしかなく、クラブチームは引退したけど大学のインカレだけ出る、という部員も複数おり、部員のモチベーションの差が大きい。そんな中で全員に同じ方向を向いて、同じ目標に向かって高い熱量を維持しながら、部員を一つに束ねなければならないのが大変なところですね。
中田選手
あと、何か言いたいような??
岩崎選手
えっと・・・こんな不甲斐ない僕だけど、主将としていさせてくれて・・・ありがとう。
(一同笑)

中田選手
僕は、主将として良かったことは、シーズンが終わって先輩からも後輩からも「よかったよ」と言ってもらえたとき、この1年頑張ってよかったと思うと同時に、やりがいがあったな、と充実した気持ちになりました。
大変だったことは、今まで以上に周りを見なければならなかったことです。今までは先輩についていけばよかった部分もあったのですが、主将になって、「これができない」「あれがわからない」という問題がでたときに、ちゃんと問題に寄り添いみんなで解決していこうという空気を引っ張っていくのに苦労しました。
中田選手
主将として、気を付けてることってある?部員に伝えるうえで、とか。主将の立場として、ここを気を付けてるとか、伝えるときの言い方とか。
普段あまりこういうことって聞く機会がないので、聞いてみたいなと思って。お願いします!!
岩崎選手
僕はいじられキャラで、部活の中で主将感はあまりないのですが、でも言うときはちゃんと言わなきゃ!と思って言っています。
・・・できていないんですけど。
(一同笑)
でも、部活の雰囲気をよくすることは大切だと思っています。新体操もそうだと思うのですが、ASもチーム競技で「合わせる」ことがとても重要になってきます。そういう競技の中での振り付けや技は、気持ちのズレで、合わなくなることや差が出てしまうので、雰囲気作りを大切にしています。
良い雰囲気を作って気持ちの方向性を同じ方向にむけて、みんなで1つのものを作り上げる環境づくりは主将の役目だと思っています。技術的なことは、やはりほとんどが女子部員ということもあり、さっきも話したのですが体の特性上伝わりづらいところもあるので、雰囲気の部分でムードメーカーとして、主将としてちゃんとできるように意識しています。
じゃあ、僕からも一つ質問。練習前のストレッチって、どのくらいやってるの?
中田選手
トータルは1時間なんだけど、柔軟を15分、さっき言ったアイソレーションを15分、あとは各自で足りないところを30分ストレッチかな。ASはどう?
岩崎選手
僕も同じ感じで、最初の30分みんなでストレッチして後半30分は各自で。僕の場合はインナーマッスルを鍛える系のことをしてます。
体育学部の授業でも、体の構造についてどの筋肉がどうなっているのか、という授業やトレーニング論という授業で各部位の鍛え方など学ぶので、そういう授業で学んだことを後輩たちに伝えていくのも主将の役目なのかなと思います。
中田選手
僕は経営学部なので、そういう授業はないのですが、大学が体育系の部活のために定期的に講習会を開いてくれているので、体の使い方を学ぶことができています。
挫折と向き合い、乗り越えるために
競技を中断しなければならないような経験は、ありますか
岩崎選手
去年の春頃ヘルニアを患いまして、もう、何をしても痛いという毎日でした。そのため、去年の春の大会はソロの演技は欠場して、チームに専念しました。
ヘルニアになってから、思うように動けないのが一番のストレスで、もっと体を大きく使って表現したいと思うのですが、やはり動くと痛みが出てしまうので、そこは我慢して乗り越えました。我慢するしかなかったです。
それ以外にも、足首の骨折や鼻の骨折などありましたが、去年のヘルニアがとにかく一番辛かったです。チームに合流できない期間も一番長かったので、練習を再開した時も、今までできたことができなくなり、演技の変更も余儀なくされ、大好きだったダイナミックな動きもできなくなり、大変でした。
今も、少し痛むこともあるのですが、自分なりに良いバランスを見つけて演技しています。

中田選手
自分は、大学に入ってからは大きなケガをしなくなったのですが、高校の時に毎年同じ時期に怪我をしていました。自分も腰を怪我したのですが、痛みに鈍感で何がきっかけというよりは、疲労がたまって痛みに気づいた時には疲労骨折していました。このようなことが年に2~3回あり、これは良くない、と反省し、大学に入ってからは、一年通してずっと動ける選手でいるために、ちゃんとした体づくりを心掛けています。
岩崎選手
本当に、ちゃんとした体づくりは大切。
怪我をしないためには、やっぱり体幹をしっかり鍛えることだと思います。腰を痛めた時にMRIを撮ったのですが、インナーマッスルが無く脂肪ばかりだと言われ、そこから体幹トレーニングを本格的に始めて、それ以降痛みも和らぎ競技しやすくなったので、体幹を鍛えることは大事だと、あらためて思いました。
中田選手
そんなふうに見えないけど・・・
岩崎選手
外側の筋肉に目が行きがちだけどね。
中田選手
僕はやはり、基礎練習をちゃんとやることが大事なのかなと思います。大学生になると、技術的なレベルが向上して応用的な技ばかりを練習しがちなのですが、いきなり大技をすると怪我する確率が大幅に上がってしまいます。やはり、基礎練習を徹底してから応用的な技をすると安定するし、ケガの確立がぐっと減ります。
そのために、週に2回トレーニングの時間があるので、部員にも基礎のトレーニングをしっかりしよう、ということは言っています。

岩崎選手
確かに。トレーニングの時間をしっかりとって、何となくトレーニングするのではなく、どこを・どのように・何のトレーニングしているのかを明確にして、意識しながら集中してトレーニングしないとね。
大学生活 最後の1年
岩崎選手
やっぱり、良い結果で終わりたいという気持ちもありますが、自分たちが納得のいく演技ができることが、まず第一です。もちろん優勝はしたいですけど、やっぱり「やってて良かった」と心から思えるような大会にしたいです。
中田選手
最後の大会だから頑張る、というのではなくて、1試合1試合の積み重ねで、どの試合も大事にしながら一生懸命頑張っているので、もちろん全国優勝はしたいし、そこに向かって一生懸命頑張っていますが、常に最高を目指して頑張りたいです。
受験生にメッセージ
岩崎選手
国士舘大学は、設備環境が完璧に整っていて、さらに指導者も素晴らしい先生方が揃っていらっしゃるので、自分を高めるには最高の大学だと思います。あと、大学公認の部活としてAS部があるのが全国で国士舘大学だけです。素晴らしい環境のもとAS部として、しっかり活動できるので、胸を張ってお勧めします!
中田選手
国士舘大学は、全国の大学と比べても、引けを取らないいろいろな経験ができる大学だと実感しています。男子新体操部は、ほかの大学ではあまり聞かない「海外遠征」ができます。また、レベルの高い学生が集まっているので切磋琢磨できるという環境は、国士舘大学ならではだと思います。

アスリートたちのオフショット






2025年3月7日取材