11月3日、本学文学部と人文学会の共催によるシンポジウム「『災害』と共に生きる」を34B202教室で開催しました。
第1部の個別報告会では、文学部に所属する5人の教員が登壇し、防災教育や歴史資料から見る震災の記述など、各研究分野や実習等を通して感じた事などさまざまな視点から発表を行いました。「水難事故症例から『自分の身を自分で守る』ための方法を考えてみる」(江川陽介教授)、「自己効力理論から防災教育を考える」(清水優菜講師)、「震災後の心性」(秋山哲雄教授)、「『命を守る教育』実現に向けて」(小山拓志准教授)、「災害とともに生きる能」(倉持長子講師)の発表がなされました。文学部の多様な研究と教育を通じてできる災害との向き合い方について、議論が深まりました。
第2部では、公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団の元主任調査員で本学非常勤講師でもある田中広明氏が、「古代遺跡の中の災害と復興」と題して講演しました。
田中氏は平安時代のはじめごろに関東地方北部を襲った弘仁地震について、遺跡から分かる地震の痕跡や被害状況、復興の状況などについて、資料をもとに解説しました。地震による断層や地割れ、土砂崩れや液状化、高床倉庫の沈みなど、遺跡にはさまざまな情報が含まれているといい、「考古学を社会に役立つものにしていくために、発掘に携わる調査員が遺跡から出てきた情報を報告書に記載して残しておくことが重要。歴史的事実がわかることで、未来の研究や防災対策につながる可能性がある」と考古学の意義を語りました。
その後、地理学や歴史学など文学部各コースの教員による学問の垣根を超えた意見交換がなされました。
2024.11.07