我々の暮らしには、住宅、学校、オフィス、ショッピングモール、病院など、様々な建築が関わってきます。また、雨、風、暑さ、寒さなどの厳しい自然環境や、地震や洪水といった災害から、我々を守ってくれているのも建築です。建築は「衣・食・住」の「住」であり、人が生活し、生存する上でも欠かせない分野です。そして、我々の暮らしを安全で快適に、そして豊かにしてくれるのも建築分野です。従って、建築という学問分野は、人の生活や社会に関わる幅広い領域と、さらに歴史、哲学、芸術、人間の心理、生理、健康といった深い領域まで関連する、広くて深い学問と言えます。
建築学系では、「感動を与える想像力に富む建築の設計」「誰もが心地よいユニバーサルな居住環境の計画」「環境と共生した安全で持続可能な建築の技術」をキーワードに、専門領域としてデザイン計画系、建築福祉・医療系、環境・設備系、構造デザイン・地震防災系、材料・生産系の科目を設置しています。1年次、2年次では基礎的な知識、技術を身に着けるため、全ての専門領域の基礎を学ぶ必要があります。また、視野を広くするため、総合教育科目や外国語といった一般教養についても学んでいきます。それらの基礎知識、技術をベースに、3年次、4年次には、自分の将来を見据えて、「建築・都市デザインコース」「建築福祉・医療コース」「建築総合技術・サステナブルコース」を選択し、それぞれの専門性を深めていきます。そして、専門性をさらに深めるために、大学院も設置されています(是非、大学院までを視野に入れて下さい)。建築学系での学びや体験を通じて、知識・技術の習得とともに、幅広い視野を持って建築に興味を持ち、建築を学ぶことの素晴らしさや面白さを感じ取って下さい。
一方、昨今の我々を取り巻く環境は、新型コロナウイルスによるニューノーマル社会の到来、自然災害の激甚化や大規模地震に備えたレジリエンス強化、地球規模の環境問題に寄与するカーボンニュートラルやSDGsの達成、さらに少子高齢社会、AIやIOTなど情報通信技術の発展による第4次産業革命など、地球規模のダイナミックなうねりの真っただ中に置かれている状況です。暮らしと社会に密接に関わる建築分野は、これらの諸問題と無関係ではあり得ません。
学生のみなさんには、視野を広くし、社会情勢を見据え、未来を豊かにする建築の専門家、技術者として社会に羽ばたいてくれることを期待します。
3コースの特色
建築・都市デザインコース
建築は、人々に夢や感動を与える力を持っています。また、建築計画と設計の実務には、総合的な知識が必要です。本コースでは、建築学の基礎知識をベースに、アイデアの発想とその表現方法、建築と都市の関連性、建築文化の根源である過去の建築の成り立ちとその文脈、建築の意味と社会性などをより深く学び、広くアートや歴史、人文系の知見をも視野に入れ、人々に夢や感動を与える、総合的なデザイン力を養います。
建築総合技術・サステナブルコース
建築物は、計画・設計から始まり、生産、運用を経て、最終的に廃棄に至るといった一生を送ります。その長期間の過程において、様々な生産技術や建築材料が使用され、また地震や火災、風水害に耐える構造が必要になります。さらに、ライフスタイルの変化や、地球温暖化問題などの社会的要求の変化に対応していくことも必要です。本コースでは、建築学の基礎知識をベースに、人々が安心して暮らせると同時に、新しいライフスタイルや社会問題に対応できる、持続可能な建築の実現を目指し、総合的で高度な技術力を養います。
建築福祉・医療コース
少子高齢化が大きな社会問題となっている現在において、老若男女を問わず、誰もが等しく社会参画し、豊かな生活をおくることのできる、ユニバーサルで快適な居住環境が求められています。本コースでは、建築学の基礎知識をベースに、福祉住環境や福祉のまちづくり、建築ユニバーサルデザインといった講義、演習を通して、居住環境を健康科学や福祉医科学の視点からとらえ、建築福祉環境を実現する計画や設計力、分析力を養います。
プロフィール

原 英嗣 はら・えいじ
- 出身
- 東京都
- 最終学歴
- 早稲田大学 大学院 理工学研究科 博士課程後期
- 学位
- 博士(工学)
- 2005年、国士舘大学工学部建築デザイン工学科 講師
2009年、国士舘大学理工学部理工学科建築学系 准教授
2017年、国士舘大学理工学部理工学科建築学系 教授
- 日本建築学会
- 空気調和・衛生工学会
- アジア都市環境学会