9月29日、政経学部助川ゼミは、秋雨が降りしきる中、北千住にある一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)東京研修センターを訪問し、日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA)の枠組みで来日したインドネシア人介護福祉士候補者との交流会を実施しました。今回は助川ゼミの3・4年生11人が参加し、候補者の日本語実践会話の相手を務めました。特に3年生にとっては、ゼミ活動として初めて外国人と直接対話する多文化交流の機会となりました。
今回交流した候補者は、JIEPAに基づいて来日し、日本の介護施設などで就労・研修を行いながら、介護福祉士国家試験の合格を目指しています。AOTSでは、候補者が日本で円滑に生活し、介護現場で必要となるコミュニケーション能力や専門知識を身につけられるよう、日本語や介護に関する研修を行っています。
「制度を知る」から「実際に対話する」へ
今回の交流では、候補者と会うことだけを目的とするのではなく、事前学習と実践を組み合わせました。学生たちは交流会に先立ち、AOTSからJIEPAの枠組みやインドネシア人介護福祉士候補者の受け入れ、日本で介護福祉士を目指す候補者が置かれている環境などについてオンラインで学習しました。
経済連携協定というと、関税の引き下げや貿易・投資の自由化といった側面に目が向きがちですが、JIEPAには両国間の「人の移動」に関わる枠組みも含まれています。事前学習で制度について理解した上で、実際にその制度を通じて来日した候補者と対話することで、学生にとって国際経済の制度と日本社会とのつながりを具体的に考える機会となりました。
日本語実践会話を通じた相互交流
交流会では、学生が候補者の日本語実践会話の相手となり、介護の仕事や日本語学習、日本での生活などについて話を聞きました。候補者が日本語で自分の経験や将来の目標を伝える姿に、学生からはその日本語力の高さに驚く声も聞かれました。
一方的に候補者から話を聞くのではなく、学生も自分たちの大学生活や日常について紹介しました。さらに、日本とインドネシアの食文化や観光地など、身近な話題にも会話が広がりました。候補者からインドネシアの料理やおすすめの場所を教えてもらい、学生からも日本の食文化や観光地を紹介するなど、互いの文化や生活を知る双方向の交流となりました。
「外国人材」ではなく、ともに暮らす一人の人として
日本では少子高齢化が進み、介護をはじめとするさまざまな分野で外国人材の存在が重要になっています。しかし、「外国人材」や「人手不足」といった言葉だけでは、日本で働き、生活する外国人それぞれがどのような思いを持ち、どのような努力をしているのかを実感することは容易ではありません。
今回、実際に顔を合わせ、日本語で会話したことで、学生たちは候補者を単に日本の労働力を支える「外国人材」としてではなく、異なる文化的背景を持ちながら日本社会でともに生活する一人の人として理解することの大切さを学びました。
授業やニュースで「多文化共生」について知ることと、異なる文化を持つ人と実際に対話することには大きな違いがあります。今回の交流は、学生自身が相手に伝わるよう話し方を工夫し、相手の言葉に耳を傾けることで、相互理解には直接のコミュニケーションが欠かせないことを実感する機会となりました。
助川ゼミでは、今後も国際経済やASEANについて教室で学ぶだけでなく、さまざまな背景を持つ人々との交流を通じて、国際社会と日本社会のつながりを実践的に考える機会を設けていきます。
(文責:政経学部3年 川井琉之介)
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