2026年度にスタートした新学系! 理工学部・情報理工学系が切り拓く新たな世界
アドバンスト・エッセンシャルワーカーを育てる理工学部
「エッセンシャル・ワーカー」という言葉は、コロナ禍の自粛生活で「生活の維持に欠かせない分野で仕事をする人」という文脈で語られ、良く知られる言葉となりました。 いま、高等教育機関では、その言葉を人材育成という観点からより広く捉えた「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」の育成を推進しています。アドバンスト・エッセンシャルワーカーとは、地域社会の生活基盤や社会機能を支えるために不可欠な職種において、デジタル・AI・専門技術等を活用した、より高度な専門性をもつ人材を指す言葉です。
経済産業省による2040年の就業構造推計では、十分な国内投資や産業構造転換が実現する場合、事務職には約440万人の余剰が生じ、AI・ロボット等活用人材約340万人を含む専門職や現場人材約260万人、理系人材約120万人が不足する可能性が示唆されています。
このように、これからの社会を支えていく高度な専門性を有した理系人材を育成することが、大学に求められているのです。
理工学部では、7学系(機械、電気電子システム、建築、まちづくり、人間情報、基礎理学、情報理工)のそれぞれの分野で高度な専門性をもつ理系人材を育て、卒業後には社会を支える人材として羽ばたいてほしいと考えています。
2026年度からは、理工学部全体で「情報」を強化するようにカリキュラムを見直し、学系の再編を実施。電子情報学系を電気電子システム工学系にリニューアルしたほか、電子情報学系と基礎理学系の一部に組み込まれていたカリキュラムをもとに、情報の専門学系「情報理工学系」を新設しました。1学部1学科の特徴はそのままに、興味に応じて学系横断的に履修できることに加えて、教員も学系を横断して教えるシステムに変更しました。
情報から新たな価値を創造し、社会課題の解決に挑む
情報理工学とは、情報工学、AI、量子科学技術、データサイエンス、計算科学などを横断して学ぶ学問領域です。情報が社会の基盤となっていく時代。情報理工学系では、多彩な知識とデジタル技術を組み合わせ、新たな価値を創造する力を身に付け、社会課題の解決に挑む高度デジタル人材を育成します。
宇宙の研究も情報理工?! 3つの分野から、自分の興味や適性に応じたコースを選択
情報理工学系の学びのフィールドは、3コース。自分の興味・関心や適性、将来ビジョンに応じた分野で専門性の高い知識とスキルを身に付けることができます。
□情報工学分野
ハードウェアやソフトウェアの基本構成、プログラミング技術などを中心に学びます。デジタルトランスフォーメーション技術やAIといったスキルを身に付けます。
□データサイエンス分野
プログラミング技能の習得とともに、統計学、機械学習、データ解析手法などのAI技術を学び、種々の膨大な量のデータから新しい価値を創造するために必要な知識を学びます。さらに、デジタル技術を通して社会をより良いものにするための知識を身に付けます。
□物理学・計算科学分野
自然現象や社会現象を予測するために物理モデル・数理モデルを構築してコンピュータシミュレーションを実施する手法。量子・地球・宇宙などの基礎科学的な課題に適応する方法を学びます。
教員の研究内容(一例)


(理工学部パンフレットより)
【INTERVIEW】
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鈴木俊夫講師に聞く
「情報理工学系」の学びの魅力と研究活動の醍醐味
□1年次の授業では「理解できた!」という実感を大切に
先生は26年4月から情報理工学系で教壇に立たれていますが、国士舘大学の理工学部の印象はいかがですか?
学生たちがとても真面目に授業に臨んでいるのが印象的です。先生方も誇りを持って自らの研究に向かっていて、良い空気が流れているなと感じています。理工学部としては幅広い分野を網羅していて、学生が興味を持って学べる環境が整っていますね。
情報理工学系も26年にスタートしましたが、 この時代にこの学系が誕生した意義をどう感じていらっしゃいますか?
AIに代表される「情報」の価値が高まり続けていて、“AIなどの技術を受け身で利用する”側になるか、“その仕組みを理解して使いこなす”側になるか、その違いが今後ますます大きくなると個人的には考えています。そのタイミングで、情報のプロフェッショナルを育成して社会に送り出すという価値はとても大きいと感じています。
先生は現在「情報数学の基礎および演習」の授業を受け持たれていますが、 教壇に立つ際に心がけていることを教えてください。
1年次の必修科目で、情報分野を学ぶための基礎となる数学的な考え方を身につける授業です。「なるほど!理解できた!」と実感できることを常に意識しています。学んだ内容がどんなところで使われるのかを示したうえで、学生が内容をすぐ理解できるよう、例題や演習問題に取り組んでもらっています。
□“音や画像を解析する数式づくり”が研究テーマ

続いて、先生ご自身の研究内容についてお聞かせください。
私の研究分野は、音や画像などの信号を解析する手法である「信号解析」「時間周波数解析」と呼ばれる分野です。音でいえば、時間と周波数という二つの軸から、音に含まれる特徴を捉える解析手法です。音を波形として見るだけでは、さまざまな音の成分が重なっていて、その特徴を捉えることが難しい場合があります。そこで様々な変換を用いて音の波形を別の形に変換することで、「どの時間に、どのような周波数の音が含まれているか」を見えるようにします。こうした、音や画像などの信号を解析するための新しい変換や手法を考え、その性質を明らかにしていくことが、私の研究テーマです。
その研究は、社会のどんな分野で活かしていけるのでしょうか。
私が以前取り組んだ合唱音の解析では、実際の歌唱データを解析してフィードバックをすることで、歌唱指導などへの活用などが考えられます。また、私の研究そのものが直接使われているわけではありませんが、身近な例ではイヤホンのノイズキャンセリングなどにも信号処理の技術が使われています。画像については、医療用CT画像のノイズ除去にも取り組んでいます。CTでは、X線量を抑えることで患者さんの被曝を減らせる一方、画像にノイズが増えるという問題があります。そこで、画像に含まれる重要な情報をできるだけ保ちながらノイズを低減し、より見やすい画像を得るための解析手法について研究しています。
お話を伺っていると、依頼を受けるだけでなく、この信号解析を用いて役立てる分野を先生自らが探して提案していくケースも増えていきそうですね。
おっしゃる通りかと思います。実際に、音や画像の研究をしている方々とも共同研究を進めています。私が研究している信号・画像解析の手法を、異なる分野の研究者と組み合わせることで、新しい応用につながる可能性があります。そうした研究が将来的に現場とつながり、実用的な技術へ発展していくことも期待しています。
□研究は、自分の“好き”から始めたら楽しい
そもそも、先生が信号解析を研究しようと思ったきっかけを教えてください。
私は大学院時代に、バンド活動でギターを弾いていました。バンドをやっていると、既成の曲を演奏する際に、楽譜がないので、CDなどでギターの音を聴き分けて、自分で再現して演奏する“耳コピ”という作業があるのですが、私は耳コピが苦手だったんです。そんなときに、この信号処理という分野に出あったのが研究のきっかけです。
耳コピのために音を解析するという思い付きが面白いですね。
私はもともと数学が好きで、将来数学に関わる仕事をしたいな、というイメージを抱いていました。ギターがきっかけで方向性が定まっていったこともあり、自分の好きなこと、趣味から研究を始めた形です。いつも、好きなことを仕事にしているなぁと感じています。私の研究室の学生にも、音や画像など、それぞれが興味を持っている身近なものをテーマにして研究を進めてもらっています。
先生のスタンスはあくまでも学生主導で適宜サポートしていくという進め方ですか。
できるだけ学生自身の興味や「やってみたい」という気持ちを大切にしたいと考えています。もちろん、最初から自分一人で研究テーマを決めたり、進め方を考えたりするのは難しいので、相談しながら方向性を一緒に整理していきます。そのうえで、少しずつ自分で考え、次に進めるようになる過程をサポートしていきたいと思っています。
□将来は幅広い分野で活躍できる
情報理工学系で学び、卒業後にはどんな進路に進めるでしょうか。
SEはもちろんですが、今後は、今以上に多くの企業がAIをはじめとする情報を扱うようになることが考えられるので、本学系で身に付けた知識やスキルを生かし、業種を限定せずに幅広い分野で活躍できると思います。あとは、ぜひ大学院進学も視野に入れてほしいです。大学院の2年間は、より専門的な知識を身に付けながら研究を進めていきます。そうした経験から、新しい技術や価値を生み出す側として、社会に関わる力を付けていくことができます。
最後に、情報理工学系に興味を持つ高校生・受験生にメッセージをお願いします。
AIをはじめとする情報技術は、これからの社会を支える重要な基盤の一つになっていくと思います。情報理工学科では、その基盤となる理論や技術を学びながら、実際の課題にどのように応用していくかを考えることができます。情報分野に少しでも興味がある人には、ぜひ飛び込んできてほしいです。学んだ知識を使って新しい仕組みや技術を考え、それが社会の役に立つ――そんな情報分野ならではの面白さを感じてもらえたらと思います。
【REPORT】
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授業レポート
「情報数学の基礎および演習」
鈴木俊夫講師が担当する、1年次の必修科目「情報数学の基礎および演習」。今回は、数値を扱う際に、表現する桁数(ビット数)の制限や2進数への変換が原因で発生する「本来の正しい値とのわずかなズレ」である「誤差」について、例題を交えながら講義を行いました。
割り切れない小数や無限小数を、四捨五入などで収めたときに生じる「丸め誤差」、絶対値が小さな数値の情報が無視され計算結果から消える「情報落ち」、値がほぼ等しい数値を引き算した際に計算の精度が落ちる「桁落ち」、無限に行う複雑な計算を打ち切ることで生じる「打ち切り誤差」、コンピュータが扱える値を超えることで正しい計算結果が出なくなる「桁あふれ」など、いくつかの誤差の種類とその回避法を解説しました。
誤差の生じる例題が出されると、学生同士で相談しながら解答を導き出す様子も見られ、 皆前向きに授業に臨んでいました。
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【INTERVIEW】
学生の声
社会に直結する情報理工学の学び
情報理工学系は現在1年生のみの新たな学系ですが、情報理工学の学びを深めてきた電子情報学系の4年生に話を聞きました。

研究活動で培った論理的思考力を生かし、情報科の高校教員を目指す。
理工学部理工学科電子情報学系4年 千里久洋希 (神奈川県 私立湘南学院高等学校 出身)
国士舘大学の理工学部に進学しようと思った理由を教えてください。
将来の夢を「教員になること」と定めた際に、国士舘大学が公務員や教職に強い大学だと知ったこと。また、高校時代の情報科の先生が国士舘大学理工学部出身で、先生のような教員になりたいという思いから志望しました。
いま一番興味・関心を持って学んでいるテーマや分野、科目は何ですか。
特に「アルゴリズムとデータ構造」や「デジタル通信」に興味を持って学んでいます。授業で学んだ論理的な処理の組み立て方や情報伝達の仕組みは、卒業研究にもつながっていると感じています。加えて「情報科指導法」をはじめとする教職に関する科目では、教える立場としての視点も養われました。
年次を重ね、どのような成長を遂げ、ステップアップできていますか。
レポート作成や理系科目の履修を通して、論理的思考力や表現力、要点をまとめる力、物事を客観的にとらえる力が着実に養われてきたと感じています。この土台があったからこそ、教職課程の座学だけでなく、実際に教壇に立つ教育実習にも自信を持って臨むことができました。
研究室ではどんなテーマで、何を探究していますか。
学習指導要領の内容をデータ化し、教科や単元同士のつながりを分析・可視化する研究に取り組んでいます。この研究により、教員が単元同士のつながりを把握しやすくなり、より効果的な授業計画や教科横断型の学習設計に活用できると考えています。さらに、単元間の関係をネットワークとして可視化することで、学習内容全体の構造を分かりやすく示し、教育課程の分析や改善にもつながると期待しています。
研究室で特に印象に残っている先生の言葉・アドバイスがあれば教えてください。
研究で行き詰まった時には、いつも励ましの言葉をかけてくださいます。その言葉に何度も助けられ、前向きな気持ちで研究に取り組むことができています。研究の進め方についても、自分の要望や関心に合わせて具体的な道筋を提案してくださるので、主体的に、そして安心して研究に没頭できています。
将来のイメージについてお聞かせください。
卒業後は、情報科の高校教員になることを軸に考えており、教育実習を通じて実践力を磨いてきました。現在は母校の高校のパソコン部で学生コーチとして指導もしており、高校生や学校との関わりも学んでいます。並行してFP技能検定や秘書検定など、教職以外の分野の資格にも関心を持ち、幅広い知識の習得に取り組んでいます。
理工学部で一番成長できたと思える点を教えてください。
特に実感が大きいのは、周囲の方から物事への向き合い方やコミュニケーション面を評価していただく機会が増えたことです。レポート作成や研究活動を積み重ねる中で身に付いた論理的な考え方や多角的に物事を捉える力は、知識やスキルだけでなく、人との関わり方や物事への向き合い方にも自然と表れるようになったのだと思います。
国士舘大学をめざす受験生へのアドバイス、メッセージをお願いします。
国士舘大学には、学内行事から就職関連のイベントまで幅広い挑戦の機会があります。私自身も研究活動や教育実習、学外での指導経験を通して大きく成長することができました。その環境を積極的に活用しチャレンジすることで、入学時には想像もしていなかった自分自身の成長に出会えるはずです。ぜひ主体的に大学生活を楽しみながら、たくさんのことを吸収していってください。

技術力とコミュニケーション力を磨いた4年間。保険システムの管理・運用業務での活躍を目指す。
理工学部理工学科電子情報学系4年 鈴木妃奈
国士舘大学の理工学部に進学しようと思った理由を教えてください。
情報系の道に進もうと考えており、ハードウェアからソフトウェア、データ処理までを幅広く網羅した充実したカリキュラムに魅力を感じたことが決め手です。
いま一番興味・関心を持って学んでいるテーマや分野、科目は何ですか。
「データベース」という科目に興味を持って学んでいます。単にデータを蓄積するだけでなく、論理的に分析・整理して価値のある情報へ整理・活用していくプロセスに面白さを感じています。
年次を重ね、どのような成長を遂げ、ステップアップできていますか。
1・2年次では、プログラミングや電気電子の基礎理論を座学中心に学び、技術の土台を築きました。3年次のゼミ活動では、Javaを用いたアルゴリズムの学習に取り組む中で、自分の思考をプログラムという目に見える形にする難しさと達成感を学びました。また、グループワークでは図解を用いた分かりやすい資料作成を心がけるなど、技術面だけでなく、自分の考えを分かりやすく伝えるコミュニケーション力も身に付けることができました。現在は、これらの経験をベースにして卒業研究に取り組んでいます。
研究室ではどんなテーマで、何を探究していますか。
所属する高橋幸雄研究室では、IPO(株式新規上場)市場において、どのような証券会社が主幹事を務めるかによって、株価の値動きに違いが生じるのかを研究しています。また、企業の規模や業種などの条件を加えて比較し、初値価格の不安定さやネット情報による影響力について検証したいと思っています。主幹事証券会社の違いが初値形成や株価の安定性にどのような影響を与えるのかを分析し、その背景要因を探っています。
研究室で特に印象に残っている先生の言葉・アドバイスがあれば教えてください。
卒業研究では、先生から「なぜその分析が必要なのかを説明できるようにしなさい」と助言をいただきました。その言葉をきっかけに、データの背景にある構造まで考察する重要性を学びました。
将来のイメージについてお聞かせください。
卒業後は、保険システムの管理・運用業務に携わり、安定したシステム運営を支える技術者として成長していきたいと考えています。現在は卒業研究に取り組むとともに、Python3エンジニア認定基礎試験やFP3級の資格取得にも力を入れています。
理工学部で一番成長できたと思える点を教えてください。
複雑な課題に直面した際にも諦めず、論理的に原因を分析して解決へと導く「課題解決力」と「主体性」です。アルゴリズムの実装やシステム設計において試行錯誤を重ねる中で、自ら考え抜いて行動する力と、相手に分かりやすく伝える力が身に付き、技術面・人間性の両面で成長できたと感じています。
国士舘大学をめざす受験生へのアドバイス、メッセージをお願いします。
国士舘大学の理工学部には、基礎から応用まで幅広く学べる環境と、親身になって指導してくださる先生方が揃っています。私自身、ハードウェアからソフトウェア、データサイエンスまで体系的に学べるカリキュラムや、専門性の高い研究室での探究を通じて、論理的な思考力を身に付けることができました。大学での学びは自分の世界を大きく広げてくれると思います。自分を信じてがんばってください!

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情報理工学系には、ハードウェアからソフトウェア、データサイエンスまで幅広く学べる環境と、基礎から応用まで丁寧に指導する先生の存在、専門性の高い研究室で研究を深める活動など、成長のきっかけが多く詰まっていました。
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取材日:2026年7月
