Kokushikan Magazines Feature

アスリートの共鳴(競歩・金子陸×岡田佳乃)

21世紀アジア学部21世紀アジア学科4年  金子 陸
体育学部こどもスポーツ教育学科2年  岡田 佳乃

今回のアスリートの共鳴は、男子5000m競歩日本記録保持者・金子陸選手とU20日本代表としてアジア選手権で4位に入賞した岡田佳乃選手にお話を伺いました。

アスリートの共鳴とは…

本学には学業とスポーツに打ち込み夢を追い続けるアスリートたちがいます。そのアスリートたちの「叫ばずにいられない」本音や裏側などを対談形式でお届けします。

話を聞いたアスリート
氏名 金子 陸 岡田 佳乃

所属クラブ

陸上競技部(男子・女子)
出身高等学校 群馬県立太田東高等学校 愛媛県立川之石高等学校
お話を聞いた金子選手と岡田選手
お話を聞いた金子選手(右)と岡田選手(左)

走らず、誰よりも速く――競歩の奥深さ

競歩をはじめたきっかけを教えてください

岡田選手 姉が競歩をしていて、インターハイで歩いている姿を見て、「自分もあの舞台に立ちたい」と思いました。中学まではバスケットボール部でしたが、高校から陸上に転向して競歩を始めました。

金子選手 高校時代の陸上部顧問から「競歩にチャレンジしてみないか」と声をかけていただいたのがきっかけです。始めた当初は、思うような結果や記録が出ていませんでしたが「次は頑張ろう」と思いながら続けていくうちに、現在に至るまで競技を続けています。

競歩の魅力は何だと思いますか?

金子選手 競歩には、他の陸上種目にはない厳格なルールがあります。「接地している脚の膝を曲げてはいけない」「両足が同時に地面から離れてはいけない」。このルールの中で、いかに速く“正確に”歩くかが競歩の一番の魅力です。

岡田選手 金子選手と少し重なりますが、競歩は“失格”のある競技です。違反の有無で順位が大きく変わることもあって、ゴールするまで何が起こるかわからない自分も「この順位かな」と思っていたら、ゴールした時には順位が上がっていたりして、そこも競歩の面白さです。また、練習を重ねた分だけ、目に見えるようにタイムが伸びるのでそこも魅力です。

では、競歩の大変なところは何ですか?

岡田選手 競歩は、集中力がとても求められる競技です。
夏は特に暑さとの戦いになり、その暑さに慣れないといけないという点でも、非常に過酷だと思います。そうした環境の大変は、競歩のしんどさであり、乗り越えなければいけない大きなポイントだと感じています。

金子選手 私は、フォームの維持ですかね。魅力でも言ったように、いかに審判に違反を取られずに歩くかが重要ですし、違反のリスクも踏まえたうえで、「どこまで攻めるか」を判断しなければなりません。選手や審判との駆け引きが難しいと感じます。
また、レースのペースが速くなると疲労で自分のペースが落ちたり、その疲れからフォームが乱れて違反を取られてしまうこともあります。状況に応じて戦術を使い分けることが求められる点も、競歩の難しさだと思います。

「速く」「正確に」。走ることとは似て非なる、繊細さとタフさが共存する競技だからこそ、ふたりは魅了され続けています。

練習で一番つらいメニューは何ですか?

岡田選手 合宿の練習が特にきついです。中でも、午前に急な坂道1kmを7〜8本歩き、午後に5000mのタイムトライアルを行った日はきつかったです。坂の傾斜もすごかったので、足を痛めたりもしました。

金子選手 私は、距離が長くなる練習や、長い距離でペースの上げ下げをするようなメニューですね。スタミナ面がまだ弱い自分には、そういった練習がきついと感じます。

辞めたくなったときはありましたか?

金子選手 大学2年の時、記録も結果も思うようにいかなくて、気持ちも落ち込んでいました。全国大会に出場するという目標は達成できたけれど、「このレベルのままでいいのか」と自分に問いかける時期はありました。
でも、そこで「もっと上を目指そう」と気持ちを切り替えられたことが、今につながり、全国で入賞できる力、そして、日本記録を出せるような力もつけることができました。

岡田選手 高校時代、膝をよく痛めていて、「距離が伸びたら続けられるのかな」という不安もあり、インターハイの結果次第で、競歩を続けるかを決めようと思っていました。
それでも、インターハイで自分の目標を達成でき「競歩ってやっぱり楽しい」と思い
、まだやりたいと思えたので大学でも続けようと思いました。

「スピード」と「粘り」――ふたりの強み

ご自身の強みを教えてください

第10回東京学芸大学競歩競技会で日本記録を樹立
第10回東京学芸大学競歩競技会で日本記録を樹立

金子選手 スピードです。5000m競歩で日本記録を樹立できたこともそうですし、ラスト勝負での切り替えが武器だと思っています。先月行われた関東インカレでも、ラスト勝負のところでなんとか3位に滑り込むことができました。5000mは競歩の中では比較的短い距離ですが、学生だけでなく実業団選手と比べても、スピードは自分の強みであると感じています。後半にかけて一気にスピードを上げていくタイプなので、最後に追い上げる展開が得意です。

岡田選手 金子さんは、本当に誰よりもスピードがありますし、練習でもコーチから決められたメニュー以上にやっている努力家です。そういう姿を尊敬しています。

雨の中、練習に励む岡田選手
雨の中、練習に励む岡田選手

岡田選手 私もスピードが強みではありますが、粘り強さも自分の強みであると思っています。
レース中に集団から離されても、ラスト2〜3周で追いついて、そこからスピードをもう一度上げて、最後まで粘って勝ち切ろうとする気持ちは誰にも負けないと思っています。

金子選手 岡田さんは、レースの中で状況をよく見て、冷静にペース配分ができる選手です。エキシビションで、男子に混ざってリレーに出場した際も、男子に引けを取らないくらいで食らいついていました。その強い気持ちレースの組み立て方はすごいと思います。

背中ににじむ努力や覚悟までも見つめ合いながら、選手同士が互いを讃え合う。そんなリスペクトがあるからこそ、一つ一つの言葉に重みが宿ります。

印象に残っているレースはありますか?

金子選手 昨年の全日本インカレです。当時は慢性的な腰痛が悪化していて、棄権も考えるほど状態が良くなく、ほとんど練習ができない期間もありました。それでもレースの中で、今の自分にできる最大限のレースを考えながら歩き切ることができました。結果は3位でしたが、状態が悪い中でも冷静にレースを進めることができたという意味で、一番印象に残っています。

岡田選手 大会の雰囲気という意味では、U20アジア大会が一番印象に残っています。初めての海外レースで、本当に圧倒されました。レース展開でいうと、昨年11月に奈良県で行われた記録会です。最初から自分のペースで入り、途中まではずっと2位でしたが、後半にかけてどんどんスピードを上げていくことができました。自己ベストも1分以上更新できて、自分の理想に近いレース運びができたと思えるレースでした。

結果だけではなく、「どう戦えたか」。ふたりの言葉からは、競技者としての成熟を感じさせます。

四大学対抗陸上競技大会の岡田選手と全日本インカレの金子選手
四大学対抗陸上競技大会の岡田選手(左)と全日本インカレの金子選手(右)

「ここなら強くなれる」と思えた場所

なぜ国士舘大学を選んだのですか?

岡田選手 同じ愛媛の出身で、今は大学院生として在籍している先輩に声をかけていただいたことがきっかけです。高校時代、進路に迷っていて、競技を続けるかも悩んでいました。その先輩に声をかけていただいて、「国士舘大学でもう一度競歩を続けてみよう」と決めました。

金子選手 私は高校時代、インターハイにも出られませんでしたし、岡田さんほど大きな結果は残せませんでした。だからこそ、大学で競技に向き合い直したいという思いがありました。
国士舘大学には競歩専門のコーチがいて、一から競歩を学び直せる環境があります。私は、自分からこの大学を選んで、ここで頑張ろうと決めました。

国士舘大学陸上競技部競歩ブロックの魅力を教えてください

金子選手 他大学の選手と話すと、「国士舘の練習は量も質も高い」と言われるので、日々の練習をやり切ることができれば、確実に強くなれるいい環境だと思っています。

岡田選手 本当にみんな仲が良いんです。競技以外の人間関係で崩れることもなく、お互いに本音で話しながら、高め合える仲間がいる。その環境が、今の自分を支えてくれていると思います。

コーチの指導と切磋琢磨する仲間との時間が、2人を競歩選手として大きく成長させています。その姿からは、国士舘大学陸上競技部の雰囲気の良さが伝わってきます。

合宿中のオフショット
合宿中のオフショット

これからの目標――全日本インカレへ

今後の目標を教えてください!

岡田選手 全日本インカレで3位入賞すること、そして記録をもっと伸ばすことが目標です。
今よりも2分以上タイムを縮めて、もう一度日本代表に選ばれたいです。
大学時代は、競技に集中できる貴重な時間だと思っています。この環境で、もう一度世界の舞台に立ち、日本代表として結果を出せる選手になりたいです!

金子選手 まずは、9月の全日本インカレで優勝することです。これまでの最高成績は3位で、一度も頂点に立てていません。学生最後のトラックレースになるのでそこで優勝したいです。その先にはロードのシーズンが始まります。実業団選手たちと肩を並べて戦えるよう、スタミナ面を中心に体力を強化していきたいです。
また、卒業後は世界の頂点争いに絡めるような選手になりたいと思っています!

最後に応援してくださる方々にメッセージをお願いします!

金子選手 まだまだ実力の足りない部分もありますが、今後も日本代表に選ばれるように頑張っていきます!応援よろしくお願いします。

岡田選手 自分ひとりでは、ここまで競技を続けてこられなかったと思います。コーチの指導や、応援してくれる方々の支えがあって、日本代表としてアジア大会に出場することができました。結果としては満足できるものではなかったので、これからもっと強くなって、競技の結果で恩を返せるような選手になりたいです。これからも応援よろしくお願いいたします。

2026年6月18日 取材


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