Kokushikan Magazines Feature

「まだ知らない楽しいが、ここにある」居場所を創り出す挑戦

経営学部経営学科4年 森貞叶夢さん
文学部史学地理学科3年 劉雅馨さん

5月19日、国士舘大学初の国際交流フェス「KOKU-FES2026」が世田谷キャンパスで開催されました。来場者は目標の200人を大きく上回る247名。国籍や学年を越えて多くの学生が集まりました。本記事では、企画・運営の中心を担った実行委員長・経営学部4年の森貞叶夢さんに、イベントに込めた想いと準備の裏側、そして次世代へのメッセージを伺いました。

「247名」参加――会場に溢れた笑顔

イベントを終えてみての率直な感想を教えてください。

インタビューを受ける森貞さん

まずは、私が目標としていた200人を大きく超える247人もの方にご来場いただけたことが、本当にうれしかったです。運営や出店ブースの方も含めれば、会場にいた人数はさらに多くなります。大きなトラブルもなく「無事に大成功で終えられた」ことに、ホッとしていると同時に胸がいっぱいです。

今回のフェスは「まだ知らない楽しいが、ここにある。― あなたの居場所を創り出す。―」というコンセプトで動いてきました。

スケジュールは非常にタイトで、運営メンバーや国際交流課の皆様、協賛飲食店の皆様には無理をお願いする場面も多くありましたが、「やりたい」という思いに、皆さんが全力で応えてくださいました。
当日、国籍や学年を越えて笑顔が交わされ、クラブ・サークルの話に真剣に耳を傾ける学生たちの姿を見て、「ここで本当に“まだ知らない楽しい”に出会える瞬間をつくれた」と感じました。関わってくださったすべての方に、心から感謝しています。

「KOKU-FES」という名前に込めた2つの“KOKU”

イベント名「KOKU-FES」には、どのような意味が込められているのでしょうか。

「KOKU-FES」には、2つの“KOKU”を掛け合わせた意味があります。
1つは「国士舘大学のKOKU」、もう1つは「国際交流(KOKUsai)のKOKU」です。日本人学生と留学生の垣根をなくし、国籍や学年を超えて、みんなが一つになれる空間をつくりたい。その“2つのKOKU”が交わる入り口として、このフェスを位置づけ、「KOKU-FES2026」と名付けました。

また、「FES(フェスティバル)」という言葉には、単に何かを“見に行く”イベントではなく、参加するすべての人が「一緒に主役として楽しむお祭り」にしたいという想いがあります。この2つのKOKUとFESを掛け合わせて、全員が笑顔で繋がれる入り口の場所として、今回のコンセプトを掲げました。

留学生との出会いが変えた「行動力」と価値観

森貞さんご自身は、どのように国際交流に関わるようになったのでしょうか。

大学2年生までは体育会系のバドミントン部に所属していました。
一方で、言語交換プログラムを通じて出会った留学生たちの行動力に刺激を受け、「自分も外に出てみよう」と思い、国際交流課が主催する韓国への短期留学に参加しました。本当はアメリカに行きたかったのですが、費用面のハードルが高く断念し、比較的現実的だった韓国を選びました。現地での2週間は非常に濃く、「日本で1年半かけて学んだ以上のことを3日間で体感した」と感じるほどの経験でした。

そこで得たのは、「やってみたら、案外なんとかなる」という感覚でした。失敗しても、それを次につなげればいい。大学生には大きなリスクは少ない。その気づきが、今回のKOKU-FESで「とりあえずやってみる」「失敗を恐れず動く」という姿勢につながっています。

準備は20日間。留学生会との協働という初の挑戦

準備はいつ頃から、どのように始まったのでしょうか。

今年の2月ごろです。
「KOKU-FES」誕生のきっかけは、国際交流課長から「言語交換プログラムの参加者を増やす方法を、学生目線で考えてほしい」と声をかけていただいたことでした。
その課題に応えるべく企画書の修正を重ね、企画書の修正を重ね、多くの部署と調整を行いました。当日まで残り20日という非常に短い準備期間での実施となりました。

留学生会代表・劉さんとの役割分担

この準備期間中、日本人側の実行委員会と並行して、大きな役割を担ってくれたのが「留学生会」です。留学生会の実行委員長を務めた劉雅馨さん(文3年)に当時の様子を聞きました。

劉さんによると、留学生会にこの企画の話が届いたのは今年3月頃。最初は「留学生向けの小さな活動」を想定していたものの、「日本人と留学生が交流できるイベントにしたい」という方向で、森貞さんと話し合いながら形を整えていったといいます。留学生会は普段、留学生の「生活サポート」を中心に活動しています。履修登録の相談やキャンパスの案内など、「日本での大学生活の最初の一歩」を支える存在です。
今回はその延長線上で、「留学生と日本人が出会い、交流できる場づくり」という新たなチャレンジに踏み出しました。

多文化協働の難しさ

留学生と日本人が協力して準備する中で、大変だったことは何ですか。

最も難しかったのは、「考え方の違いをまず受け止める」ことでした。
日本人には日本人の文化やルールがあり、留学生にはそれぞれの文化やルールがあります。留学生側には「自分の国ではこうする」「この方が自然だ」という感覚があります。その違いから、話し合いの中で意見がぶつかる場面も多くありました。

料理を通じて「文化の入り口」をつくる

国際色豊かな料理を用意したのには、どのような意図があったのでしょうか。

交流だけは文化を理解することが難しいと思ったので、中国人が大切にしている「料理」は文化を知ってもらううえで一番分かりやすく、受け入れられやすいものだと思いました。各国の料理と一緒に交流したいと思い、今回提供しようと思いました。日本の文化を知らない留学生にとって、日本料理は大きな「入り口」ですし、日本人にとっても、他国の料理は他の文化を知るきっかけになると思っています。

当日、劉さんが特に苦労したのは「想定以上の来場者数」と「運営人員の不足」でした。100人程度を想定していたところ、実際には200人を超える学生が来場し、多くの対応に追われました。イベントの現場だけでなく、大学全体で運営できることが次への課題だといいます。
準備から開催に至るまで、日本語での細かな指示を理解しつつ、その場で判断して動くことが、留学生メンバーにとっても大きな負担でしたが、「日本人と一緒に協力し、大きなイベントをつくれたことが何よりうれしかった。来年も日本人と一緒にこのようなイベントを作っていきたい」と話してくれました。

部活・サークル文化と「留学生の壁」

コンセプトの背景には、どのような課題意識があったのでしょうか。

今回の活動を通して、特に強く感じた課題が「日本特有の部活・サークル文化と留学生が直面する壁」です。調べていくと、「1年生で日本の部活に入る留学生は多いが、2年生までに辞めてしまう人が非常に多い」という実態が見えてきました。

例えば、日本人は、剣道なら竹刀や素振りといった前提をなんとなく知っていますが、留学生にはその土台がありません。「何が分からないのか」が分からず、会話のスピードにもついていけない。一方で部活側も、「どこまで、どのように説明すべきか」が分からず、結果としてお互いに遠慮してしまう。その「説明されない・聞けない」の積み重ねが、退部という形で表れていると感じています。

今は動画や書籍など、学ぶ手段自体は多くありますが、そこへつなぐ“橋渡し”となるコミュニケーションが不足しています。今回のKOKU-FESの成功は、その橋の「入り口」をつくれた段階に過ぎません。これからは、こうした入り口を起点に、留学生が本当に定着し、安心して活動できる仕組みづくりに取り組んでいく必要があると考えています。

「一人で何でもできるリーダー」にならなくていい

次回以降、このイベントを引き継ぐ後輩たちへ伝えたいことは何ですか。

一つ目は、「一人で何でもできる完璧なリーダーになろうとしなくていい」ということです。

私は、ゼロから新しいものを生み出せるほどの特別な才能があるわけではありません。ただ、周りにいる仲間たちの強みを引き出し、それを掛け合わせることならできると信じてやってきました。だからこそ、後輩たちには「周りの人を全力で頼って、巻き込む勇気」を持ってほしいです。友達はもちろん、大学の職員さんや地域の方々も本気でぶつかれば誰でも必ず味方になってくれます。

二つ目は、「誰がやっても同じように成果が出せる仕組みを残すことです。気合や根性だけで乗り切ろうとする組織は、いつか必ず限界が来ます。誰か一人に頼るのではなく、「どうすればそれぞれの強みを生かし、協力していけるのか」を考えながらチームを作っていくことが大切です。

リスクを恐れずに高い目標を掲げ、KOKU-FESというイベントが国士舘の新しい伝統としてずっと続いていくように、全力でチャレンジしてもらえたら嬉しいです。

来場してくれた皆さんへ

最後に、当日会場に来てくれた学生へのメッセージをお願いします。

KOKU-FES2026に足を運んでくれて、本当にありがとうございました。
皆さんが会場で楽しんでくれたこと、美味しいご飯を食べて笑い合ってくれたことが、私たち実行委員会にとっての一番の報酬です。このフェスが、皆さんにとって「新しい友達ができたきっかけ」や「大学生活が少し楽しみになったきっかけ」になっていたら、これ以上嬉しいことはありません。
大学生活は、自分次第でいくらでも面白くできます。今回の出会いをきっかけに、これからも国士舘大学で、自分だけの最高の居場所をたくさん見つけて、充実した日々を送ってください。

編集後記

インタビューを通じて印象的だったのは、「イベントを一度成功させて終わり」ではなく、その先の“居場所づくり”を常に見据えている姿勢でした。本イベントを終えた森貞さんは、現在、新たなクラブ・サークルの立ち上げを構想していると言います。自分たちの手で新しい道を切り開こうとする学生たちの熱量こそが、この企画のいちばんの原動力だったと感じています。

2026年5月20日取材


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