アスリートの叫び~バレーボール部(男子)~
昨年、全日本インカレで史上初となる準優勝を果たした国士舘大学バレーボール部(男子)。チームの要として、その快挙に貢献したのはセッターの竹松魁柊選手です。2025シーズンには日本代表に選出されるなど、個人としても目覚ましい成長を遂げている竹松選手に、飛躍を遂げている心境やこれまでの歩みについて、お話を伺いました。
アスリートの叫びとは…
本学には学業とスポーツに打ち込み夢を追い続けるアスリートたちがいます。そのアスリートたちの「叫ばずにいられない」本音や裏側などをインタビュー形式でお届けします。
プロフィール

竹松 魁柊(たけまつ かいしゅう)
長野県出身
岡谷工業高等学校出身
家族の影響で中学からバレーボールを始め、憧れの兄を追いかけて競技の道へ。全国優勝回数が全国トップクラスの高校に入学し、2年生の時にセッターへ転向。以降は、厳しい環境の中で技術と精神力を磨いてきた。昨年は、セッター暦わずか4年で日本代表に選出されるなど存在感を放ち、高い位置からの精度あるボールさばきと粘り強いブロックを武器に、一本のトスで流れを変えるまさに“司令塔”として活躍。
「ボールを持てない」からこそ生まれる、思いやり
ーバレーボールの魅力を教えてください。
バレーボールは、唯一“ボールを持てない”競技だと思うんです。だからこそ、次の人が上げやすいボールにしたり、自分一人で完結しない分、「チームメイトのためにプレーする」思いやりのスポーツだと思っていて、そこが魅力ですかね。

ーポジションはセッター。よりそう感じるのでしょうか。
そうですね。
セッターは、1本目を受け取る立場でもあって、それを落とさずに3本目の人へつなぐ立場でもあります。
受け取る側と送る側の両方を経験できるので、より一層、”次どうしたら決まるか”などを考えています。
自分のためというよりかは、次の人やチームのためにプレーしています。
「自分の力で一部に上げたい」
ー国士舘大学バレーボール部に入部した理由を教えてください。
国士舘大学は元々一部で上位に入る力のあるチームでしたが、入学当時は二部でした。だからこそ自分の力で一部に上げたいっていう思いが一番強かったからです。
ー入部してみて、大学の部活の雰囲気はどうでしたか?
高校とは違って一気にレベルも上がるので、最初体育館入った時は、“うわ、怖いな”って思いました(笑)
練習の進め方も高校とは違い、先生が決めたメニューをこなすのではなく、自分たちが決めたメニューを考え、そこに監督がアドバイスする形です。
入部当初は、4年生のキャプテンや軸になる先輩たちが組み立ててくれていましたが、今は自分も考える立場になってきています。


ー3年生になってからの変化はありますか?
下級生の頃は頼ってばかりでしたが、3年にもなったので練習メニューを考えたり、チームの雰囲気をつくったり、自分が担わないといけない。
コートの中だけでなく、私生活の面でも自立しないと下級生はついてこないと実感しています。
「地獄でした」――セッター転向の苦悩から芽生えた自覚
ーセッターになったのはいつからですか?
高校2年生の時からです。そこからの数年は結構きつくて...地獄でしたね。本当に(笑)

ーどんなことがきつかったのですか?
「セッターが良ければ試合は勝つ」と教わっていたので、体育館に来たら1人で早めにアップしてトス練習。夜は遅いときで23時まで残って、泣きながらボールに向き合っていました。
これがずっと続くなら辞めたいと思うこともありました。うまくいかず、自分のせいで負けたと感じる試合も多かったので、両親にも相談して、本気で辞めることを考えた時期があります。

ーそれでも続けられた理由は?
両親からは「本気で辞めたいなら止めないけど、もう一回考え直してみたら」と言われました。そこで自分に問い直したんです。
バレーボールを自分から取ったとき、何が残るのか。そう考えると、何も残らないと思いました。
それと同時に、支えてくださっている人がたくさんいることに気づきました。ここで自分の気持ちだけで辞めたら、その人たちの気持ちを裏切ることになると思い、踏みとどまることができました。
ーつらかった時期を乗り越えての「今」なのですね。
高校の頃の監督が熱心に教えてくださったので、今の自分があり、感謝しています。
部員80人で戦う国士舘――“出られない仲間”の分まで
ーチームの雰囲気を教えてください。
私たちは、縦の仲がとても良いと思います。いい意味で先輩後輩関係なく普段からフレンドリーですね。
ーその良い雰囲気が試合にも出ているように見えます。
部員は80人と多いですが、試合でコートに立つのはたったの6人です。その中で全力で応援しながら一緒に戦ってくれている部員がいます。
コートに立てない人の分も頑張る。みんなその気持ちを忘れずにやっているからだと思います。

ー今年のスローガンは「応援されるチーム」でしたね。
はい。全体ミーティングの時にみんなで考えました。
どれだけバレーボールが上手くても、コート外での立ち居振る舞いに気を使えないような応援されないチームだと、強くても意味がないと思っています。観客の皆さんもお金を払って観に来てくださっているので、応援されるチームになれるよう人としての姿勢も意識しています。
竹松選手は、試合でボールに触れる機会が多いからこそ、練習後も自主練を重ね、普段から人より多くボールに触れるよう意識していると話してくれました。言葉の端々から、日々の積み重ねを大切にしている姿勢が伝わってきます。
その姿勢こそが、竹松選手の安定感につながり、国士舘大学が「応援される強さ」を持つ理由の一つなのかもしれません。
泣きながら上げたトスの先に
ー印象に残っている試合はありますか?
昨年の全日本インカレは、どの試合も印象に残っています。トーナメントの山が厳しく、3回戦から強豪校が続きました。
中でも明治大学戦は、感情があふれた試合でした。
ーどんな試合でしたか?
4セット目に点差がついて、相手のセットポイントのときに「ああ、もうダメかも」と思ってしまったんです。そこで監督がタイムを取ってくださった際に「これで終わるんじゃないか...」と思わず涙が出てきました。
再開後、当時4年生のエースだった工藤築選手にサーブが回ってきました。工藤選手が「全力で打って、負けるなら後悔はない」と振り切って放った一本が、チームに勢いがつき、私も奮い立ち、泣きながらトスを上げていました。
そこから相手のミスも重なり、勝負どころで一本を取り切って流れが一気にこちらへ。最終的にはフルセットの末、逆転で勝つことができました。

ーそれは、熱い試合でしたね。試合の時は緊張するのですか?
1年生の頃は緊張していましたが、最近はあまりしないです。自分が緊張していると後輩にも伝わってしまい、プレーしづらくなる気がするので、できるだけ盛り上げて「ミスしても大丈夫」と支えられる立場でいられるよう意識しています。
監督から試合中に「雰囲気が悪いから、どうにかしろ」と空気を変える役割を託されることもあります。声を出し、指示を出し、流れをつくる。
セッターはチームの動きが一番見えるポジションだからこそ、そこは強く意識しています。
目標と将来像――プロ、そして日本代表のスタメンへ
ー個人の目標を教えてください。
セッター賞を取ること
リーグ戦で、セッター賞を取ることです。さらに、サーブ賞かブロック賞のどちらかも狙いたいです。過去にセッター賞が「あと一票差」で届かなかったことがあって、すごく悔しかった思い出があります。春季リーグは怪我の影響で、フル出場ができず賞の条件を満たせませんでしたが、秋季リーグでは狙っていきたいです。
そして将来は、まずプロに入ることを目標にしています。最終目標は、日本代表に入ってスタメンで自分がトスを上げ、世界大会でメダルを取ることです。

悔しさを経験しながらも、竹松選手の目標への視線は次へぶれません。そして、その視線は、チームの目標にもはっきり向いています。

ー国士舘チームの目標を教えてください。
- 春季リーグ「8勝」
- 東日本インカレ「ベスト4」
- 秋季リーグ「8勝」
- 全日本インカレ「優勝」
春季リーグはすでに2敗してしまい8勝はできませんでしたが、5/23(土)に開催される最終戦は順天堂大学さんと戦います。強いチームですが、そこでしっかり決め切りたいです。
ー最後に国士舘チームの魅力を教えてください!
1点ごとの盛り上がりはどのチームにも負けないと思います。チームメイトの応援も、太鼓やメガホンなどを使いながら一体となって盛り上げています。
今週末のリーグ最終戦も、最後の最後まで国士舘らしく盛り上がり、応援と団結しながらチーム一丸となって勝てるように頑張ります!
インタビューを終えて
竹松選手が上げるトス一球一球に込められた思いやりと感謝。個人の夢も、チームの目標も、その中心には竹松選手のセッターとしての覚悟がありました。
終始笑顔で受け答えをしながら、周囲への感謝を口にする姿からは、人としての誠実さも伝わってきます。
今後の竹松選手の思いやりと感謝でつなぐ一球からますます目が離せません。
