Kokushikan Magazines Feature

アスリートの共鳴(男子ソフトボール×ラグビー)

体育学部体育学科4年  高原 和志
体育学部体育学科4年  奈良 一輝

今回のアスリートの共鳴は、同じチームスポーツで主将や主務を務め、チームの要として活躍する2選手にお話を伺いました。

アスリートの共鳴とは…

本学には学業とスポーツに打ち込み夢を追い続けるアスリートたちがいます。そのアスリートたちの「叫ばずにいられない」本音や裏側などを対談形式でお届けします。

話を聞いたアスリート
氏名 高原 和志 奈良 一輝

所属クラブ

ソフトボール部(男子) ラグビー部
部内での役職 主将 主務
出身高等学校 宮城県白石工業高等学校 私立八千代松陰高等学校
お話を聞いた高原選手(左)と奈良選手(右)

お互いの競技について

ーまず、それぞれの部活について教えてください

高原選手

ソフトボール部(男子)は、現在部員27人で活動しています。関東大学ソフトボールリーグに所属し、インカレでの好成績を目指し多摩キャンパスの多目的グラウンドで週6日活動しています。

奈良選手

ラグビー部は、関東大学ラグビーリーグに所属し66人の部員で月曜日以外の週6日活動しています。昨年度(2024年度)のシーズンでは、三部降格となってしまい、現在は再昇格を目指してチーム作りに励んでいます。

ー競技の魅力を教えてください

高原選手

ソフトボールの魅力は何といってもスピード感です。マウンドからの距離や塁間の距離などが野球よりも短く、体感速度も上がります。そのスピード感あふれるプレーが魅力であると感じます。

奈良選手

ラグビーの1番の魅力は、やはりコンタクトスポーツならでの迫力あるプレーです。
ポジションによっては、フィジカルの強さに加えて長距離のランやスプリント能力が求められます。スピード感という面では、ソフトボールに通ずる部分がありますね。

ーポジションとその役割について教えてください

奈良選手

ラグビーは15人で行われ、フォワード8人、バックス7人で構成されます。私のポジションは、バックスに分類されるスクラムハーフです。役割としては、こぼれたボールを運び、仲間にすばやくパスをつなげます。状況を見極めた冷静な判断や次を予測するプレーが常に求められるポジションです。

高原選手

ポジションは外野手です。打球を処理することはもちろんのこと、内野のバックアップなど、次の被害を最小限にとどめるプレーが重要になってきます。冷静に場を見て、淡々とプレーする必要があるポジションという面では、奈良選手と通ずる部分があるのかなと思います。

ポジションの役割を話す高原選手

ーお互いの競技はどのようなイメージですか?

高原選手

まず、身体がとても大きい。あとは、首がもげないのかなとみてて不安になります(笑)

奈良選手

もげたと思うよ(笑) とくに本来頭を外側に向けてタックルしないといけない時に、内側に入れてタックルしてしまったときは首が持っていかれるのでもげた感覚になるかな。昔120kgを超える外国人選手にタックルされたときは終わったと思った。気がついたら地面に倒れてたことがあって…。

高原選手

こわいな(苦笑) 自分がやったらタックルできずトライされ続ける気がする…。

奈良選手

逆に、ソフトボールを授業でやった時には、バッターボックスからみて投手の球がすごい怖かったし、バットに当たる気がしなかった。あとは遠投ができない。なんであんなに遠くに投げられるのか不思議でしょうがない。

高原選手

遠投はコツだよ。腕とかの上半身に注目しがちだけど、実は下半身からの連動が大切で、それがうまくできたとき遠くに投げることがでいるんだよね。

奈良選手

ラグビーも共通しているかもしれない。タックル、スクラム、キック、ラン、ステップなどすべてのプレー「脚から」が大事です。

ー「これはきつい」と思う練習メニューはありますか?

高原選手

圧倒的にポール間ダッシュです。往復150mのダッシュを10セット以上繰り返します。もちろんタイム制限ありで。

奈良選手

それはラグビー目線からでも相当きついな(笑)ラグビーでもラントレが圧倒的にきつい。とくに200mスプリントと呼ばれる100m×2のスプリント走。冬場は何セットもやるのだけどあれは本当にきつい。

高原選手

想像しただけできつい(苦笑)冬場のラントレがきついことはどの競技でも共通しているのかな。

奈良選手

確かに。冬期練習はとにかくしんどい。一生分走っている気がする(笑)

ラントレの過酷さを振り返る奈良選手

チームのまとめ役として

ーお互いのチームでは主将や主務などリーダー的役割を担っています。チームをまとめるうえで心がけていることはありますか?

奈良選手

選手とのコネクトも大事なことはもちろんのこと、指導者とのコネクトも重要であると感じます。
ラグビーは複雑な要素で構成されるスポーツのため、とくに練習中は指導の狙いがわからないまま練習しているケースが多いです。
しかし、それではよい練習ができないので、指導者と選手の仲介役となれるよう、わからないことは指導者に積極的にきき、選手とは私生活から密にコミュニケーションをとるなど、チーム全員が共通認識のもとで練習できるよう心がけて行動しています。

高原選手

ソフトボール部は逆ですね。練習はとくに選手主体となって行うことが多いです。しかし、試合の際に指揮するのは監督であり、そのときに自分たちの「やりたいソフトボール」が一致していないとチームが機能しません。だからこそ、練習をどのような意図で、どのようなチームにしていきたいかコーチや監督に自ら働きかけることは心がけています。

ーチームをまとめる上で苦労した部分は?

高原選手

世代交代をした直後です。チームスポーツだとある程度仕方がないことだと思いますが、世代交代をした直後は、チームとして取り組んできたものがいったんリセットされてしまいました。今回の世代交代は、前キャプテンに頼りすぎていて、コミュニケーションをとるうえでのつなぎ役がおらず、チームが機能せずうまくいかなかったと感じました。そのような状態では、勝つこともできず、チームがうまくまとまらずに苦労しました。

奈良選手

勝てないという点では、ラグビー部も前シーズン(2024年度)とても苦労しました。試合に出ているレギュラー陣と控えメンバー陣の間で、チーム内での分裂が起きてしまうことがありました。「なんで俺じゃなくてあいつが出ているんだ」のような気持ちが出てきてしまい、チームがまとまらずにさらに負けが重なるパターンですね。チームスポーツは、調子が良い時や勝ってるときはよいのですが、負けてるときにこそチームとしての真価が問われると思います。

ーその苦労を受けて、新たに意識するようになったことはありますか?

チームをまとめる心得を話す奈良選手

チームをまとめることは難しいけどやりがいがあります(奈良選手)

ラグビー部は大所帯であるが故に、主将や主務が孤立して考えこみすぎるパターンが多くあります。だからこそ、副キャプテンへの協力や、部員からの意見を尊重するなど、チームとして目指す場所への視野が狭くならないように意識しています。もちろん、チーム内では多くの意見が飛び交いますが、それらの意見をうまくかみ砕いてまとめることが大事だと感じます。もちろんそれらは難しいですが、だからこそやりがいがあります。

高原選手

ソフトボール部で最近意識していることは、頑張っている選手やポテンシャルのある選手を伸ばすということです。これは、最高学年の選手が共通認識で取り組んでいることであり、チーム内で温度差が生まれてしまうことには目をつむり、頑張っている選手やポテンシャルがある選手を中心に伸ばして、チームとしての土台を引き上げるイメージです。かといって、それ以外の選手を置き去りにするのではなく、4年生などチームの中心選手がケアしながらあくまでチーム全員で向上していくという狙いです。そこの取り組みを始めてから、チーム全体で刺激しあいながら成長できていると感じています。試合での勝率も上がってきました。

学生アスリートとして体育学部で学びを深める

ーお二人とも体育学部体育学科に所属されています。進学を決めた理由を教えてください

奈良選手

自分は中高一貫高校に通っていたのですが、高校時代のラグビー部の監督をすごく尊敬していました。その方のルーツをたどった時に、国士舘出身であり、自分も恩師の通っていた大学で学びたいと感じたことがきっかけです。中でも、体育学部は競技に取り組みながら、スポーツに関することを勉強できることが大きかったです。とくに古田先生というコーチングのスペシャリストの下で学べる環境はとても魅力的に感じました。

高原選手

私の高校に、教育実習でソフトボール部の方がいらしていて、国士舘のチームの雰囲気やグラウンドなどの練習環境も充実していることを教えていただきました。その方のお話と実際に充実した練習環境をを見学し、国士舘に決めました。中でも、競技に取り組みながら体の仕組みについて学んだり、体育やスポーツに関することをより深く勉強したいと思い、体育学部体育学科に入学しました。

ー体育学部で印象に残っている授業はありますか?

高原選手

圧倒的に「レスリング」です(苦笑)
期末の試験で倒立歩行があるのですが、これがなかなか難しくて...。

奈良選手

これはまさしく自分もそう。試験前には、練習後に人工芝のグラウンドでよく練習してた。

高原選手

自分もそうだったな(笑)キャンパスのいたるところで倒立歩行を練習しているのは体育学部生のあるあるだよね(笑)

ー試験には合格されたのですか?

奈良選手

練習のおかげで何とか試験には合格できました。距離を短くしてもらうおまけでしたけど…。

高原選手

それもレスリングの試験あるあるだよね(笑)

ー座学で印象に残っている授業はありますか?

奈良選手

これは、「教職課程論」ですね。教職課程をとっている学生は必修なのですが、授業時間内で4ページ分びっしりとノートをまとめて提出しないといけなかった。

高原選手

私も「教職課程論」を履修していたけど、今までは1授業内で自分なりにノートをまとめあげるなんて経験はなかったから最初は本当に苦労した…(苦笑)

奈良選手

ただ、そこから要点のまとめ方や、効率よく勉強する方法などが身についた気がする。普段からペンを持ち歩くようになり、気がついたことはすぐメモを取るようになった。

授業を振り返る高原選手

体育学部でのあるあるは共通ですね(高原選手)

確かに!授業に向き合う態度が変わった気がする。実技も座学も、思い出に残っている授業を体育学部生に聞いたら、おおよそ皆同じ答えになるかと思います(笑)

ーお互いの生活について。お二人は寮にお住まいですか?

高原選手

私は一人暮らしで、アルバイトもしています。一人だとどうしても気が緩みがちになりますが、そこは自律心をもって生活するようにしています。

奈良選手

私は寮生活で部員とともに暮らしています。ただ、今は一人部屋なので部屋自体は特に大きく変わらないのかなとは思います。寮では、門限などの細かいルールはありますが、そのおかげで競技に集中できています。また、仲間がすぐそばにいるからこそ、練習の振り返りができたり、リラックスのためにゲーム等をできることはすごくよいことかなと思います。

ーそれぞれで異なるのですね。お互いの生活に対してはどのようなイメージですか?

奈良選手

一人暮らしって寂しそうなイメージだな(笑)

高原選手

今はもう慣れた。ただ、たまに寂しくなる時はあるかな。とくに今日の練習について振り返りとか共有をしたいときに近くに部員がいる環境は魅力的に感じる。あとは、どうしてもメニューが偏りがちになってしまうから、料理も少し大変かな。

奈良選手

その点、ラグビーは学食(ご飯・味噌汁おかわりし放題)で済ませられるから心配はないかな。得意料理とかはあるの?

高原選手

これは圧倒的にチャーハン。一人暮らしだと炒め物が多くなりがちだけど、栄養の面とコストパフォーマンスの面は常に考えて料理しています。

奈良選手

自炊などの生活力高まりそうでうらやましいな。将来に向けて私も少しずつ取り組まないといけないなと思います。

リーダーとして・4年生としての理想像とは

ーお二人は、4年生として最後のシーズンを迎えられます。ここまで競技を続けてこられた要因やモチベーションの源を教えてください

高原選手

ソフトボール部では、歴代日本代表に選ばれている先輩がいて、自分もそこを目指すということが1番の目標です。伝統やプライドからも日本代表へは選出されないといけないと感じています。全体練習に加え、個人練習には常にその目標を意識しながら高いモチベーションで取り組めています。

奈良選手

やはり、試合の中で自分のプレーがうまくいった時が一番気持ち良いです。ポジションのプレーでは、パスが繋がった時やそこからトライにつながるなどチームの勝利に貢献できたときにはやりがいを感じます。また、「試合に絶対につながる」や「こういうシチュエーションは試合でもある」という思いで練習に励んでいるからこそ、つらい練習でもモチベーション高く取り組めています。

ー今シーズンのチームの目標を教えてください

奈良選手

リーグ戦圧勝・二部再昇格(ラグビー部)

ラグビー部は去年のリーグ戦でリーグ降格してしまったので、まずはリーグ戦圧勝。そのうえで、入替戦でもただ勝つだけではなくて、圧勝してプライドを取り返す目標で取り組んでいきます。また、主務としてもチームが成長できるよう、日々のコミュニケーションを大切に意識高く取り組んでいきます。

高原選手

全日本インカレベスト4(ソフトボール部)

ソフトボール部の目標は、全日本インカレベスト4です。そのためには、まずリーグ戦で結果を残すことが大切です。現在は、チームでよいコミュニケーションを取りながら練習ができています。個人的には、日本代表に選出されるよう、自分がプレーで引っ張っていくという強い気持ちをもって練習に励みます。

ー大学競技生活の集大成を迎える4年生の仲間たちにメッセージをお願いします

奈良選手

大学で競技をやるということは、覚悟をもってやっていると思いますし、その覚悟は非常に価値のあるものだと思います。
だからこそ、4年生の最後までしっかりとやり切れるよう全力で頑張ろう!

高原選手

悔いなく競技生活を終えることが大事であると感じます。
ただ、競技を続けている以上はあくまで高みを目指していると思うので、より高みを目指しながら悔いなく終えるよう頑張りましょう!

アスリートたちのオフショット

ラグビーボールでのキャッチボールを体験
ラグビー部のランメニューを紹介する場面も
お互いの競技アイテムを手に笑顔で記念撮影

2025年3月7日取材


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