ドローンの利活用により社会課題の解決を目指す

地球上には空気があり、プロペラが回転して下降気流が発生することで、ドローンはその反力により浮上して飛んでいます。次世代エアモビリティーであるドローンは、空の産業革命として、サスティナブルな社会基盤の維持に必要なインフラ点検、地球環境の保全や地震・火災などの災害状況の把握、および熊などの害獣の状況把握や追跡など、社会課題を解決するソリューションとして大きな期待が寄せられています。そのような中で、私の研究室では、流体力学に基づくユニークなドローンの利活用を通して、さまざまな社会課題の解決に貢献する研究を推進しています。具体的には、ドローンの周囲の気流をコンピュータ上でシミュレーションして、気流制御とその利活用を推進しています。さらに、高所や立ち入り困難な場所で、遠隔自動操縦による作業支援にも取り組んでおり、ドローンの魅力とその可能性を探っています。

研究開発のベースドローン
ドローンの気流によるロボットまわりの流れ

研究分野における現在の問題点や関心事、見解など

ロボティクス的な観点から、ドローンの研究を行っている人は多いですが、流体力学的な観点から研究している人は少ないと思います。そういう意味では、これまでに無いユニークなドローン研究を推進できていると思っています。例えば、飛行しながら連続放水と温度計測を行うドローンの開発、気流巻き上げの利活用、画像処理による自律飛行、および高所掃除ドローンの開発などの研究を推進しています。

主な研究テーマ①

飛行しながら連続放水と温度計測を行うドローンの開発

本研究では、ドローンのバッテリーに代わり電源ケーブルによる連続給電、タンクによる給水に代わりホースによる連続給水、および電源ケーブルとホースを束ねて、その高さが可変の供給ポートも併用する「有線給電給水」方式の開発を行っています。開発したドローンは、拠点となる供給ポート利用で、従来のソーラーパネル洗浄ロボットと同等の洗浄面積の連続放水が可能となっています。さらに、軽量で低コストのサーモカメラ付きスマートフォンを搭載したドローンにより、ソーラーパネル表面の温度分布を計測して評価することも進めています。最終的には、小型散水車との連携により、メガソーラーシステム、あるいは個人住宅の屋根に設置されているソーラーパネルの洗浄を効率良く実施することを目指しています。

原著論文:
(1) 木場田慶矩, 富樫盛典、有線給電給水方式による連続放水ドローンの開発、次世代移動体技術誌 Vol.6 No.9,pp.67-79 (2025)

表彰:
(1) Yoshinori Kobata, Yuusei Tsukamoto, Shigenori Togashi, Solar panel surface temperature measurement using the drone with a smartphone attached thermal camera, The Institute of Industrial Applications Engineers ICISIP2026 Best Paper Award
(2) Yoshinori Kobata, Shigenori Togashi, Evaluation of Cleaning Efficiency of a Water Discharge Drone using Numerical Simulation of Flow and Image Proce, TThe 14th IIAE International Conference on Industrial Application Engineering 2026 Best Paper Award
(3) 木場田慶矩、富樫盛典、有線給電給水ドローンによるソーラーパネル洗浄、日本UAS産業振興協議会 Japan Drone 2025 JUIDAポスターセション ベストポスター賞

連続放水ドローンによるソーラーパネル表面の洗浄浄
スマホ搭載ドローンによるソーラーパネル表面の温度計測

主な研究テーマ②

気流巻き上げの利活用、画像処理による自律飛行、および高所掃除ドローンの開発

ドローンの適用範囲の拡大の一環として、ドローンにガスセンサを取り付け、地表付近に発生する空気よりも重いガスの検知を目指しています。その方法として、ドローンに傘型の気流制御板を取り付け、着陸状態でプロペラ回転して、そこで発生する「気流巻き上げ」の効果を活用して検知しています。一方、画像処理によるドローンの自律飛行の研究では、信号機を認識して交差する2台のドローンの衝突を回避することも進めている。さらに、保護ガードを取り付けたドローンにより、人の手が届かない場所の掃除を安全に効率良く進めることも目指しています。

原著論文:
(1) Shanfeng Zhang, Shigenori Togashi, Etsuki Yoshimura, Development of CO₂ Gas Sensing Method using Formation Flight with Four Drones, Technical Journal of Advanced Mobility, Vol.7, No.2, pp.2-11 (2026)
(2) 安藤樹生, 富樫盛典, 編隊飛行ドローンの飛行安定性解析と網掛け作業への応用, 次世代移動体技術誌 Vol.6 No.8, pp.57-66 (2025)

表彰:
(1) 吉村越輝、気流制御板を搭載したドローンによるガス検知法の開発、日本機械学会関東学生会第65回学生員卒業研究発表講演会Best Presentation Award
(2) 吉村越輝、富樫盛典、ドローン下降気流の到達距離解析とガス検知法への応用、日本UAS産業振興協議会 Japan Drone 2026 JUIDAポスターセション ベストポスター賞

気流巻き上げの利活用によるガス検知ドローン
信号機を認識するドローン

研究室・ゼミ活動

3年生のゼミでは、2年生の「流体力学A」および「流体力学B」で学習した水や空気の流れを、コンピュータ上でシミュレーションして流体現象の奥深さを理解します。具体的には、自動車、飛行機の翼、潜水艦、スキーヤー、ドローン、新幹線など、いろいろな物体周りの流体シミュレーションを実施します。さらに、春期のプロジェクトでは、ドローンを対象として、その部品を3DCADで設計、3Dプリンタで製作実装し、ドローンの飛行原理を学ぶとともに、Pythonプログラミングによる飛行制御方法を習得しています。具体的には、3DCADで設計し3Dプリンタで自作した角度45°のミラーをドローンのカメラの前に装着して、ドローン直下の地表面を上空から撮影します。さらに、OpenCVによる画像処理で、壁などの障害物に衝突しないように自律飛行も行います。最後に、ドローンのプロペラによる下降気流で模型ロボット上のホコリ掃除を実施します。一方、秋期のプロジェクトでは、軸間の距離450mmである中型ドローンを対象として、モータ、プロペラ、コントローラなど部品を調達して、自分の手で組み立てることにより、ドローンの構造や機能を理解するとともに、社会課題を解決する卒業研究テーマの調査も併せて行います。上記の研究室・ゼミ活動を通して、4年生では下記のような卒業研究に取り組みます。

所属学生の卒論・卒研のテーマ、キーワード(一例)

(1) 気流制御板を搭載したドローンによるガス検知法の開発
(2) ボール型保護ガード付きドローンによる高所ほこり掃除
(3) 信号を認識するドローンによる複数台巡回システムの開発
(4) サーモカメラ付きスマホを搭載したドローンによる温度分布計測
(5) 水幕放水ドローンによる輻射熱シールド効果の検証
(6) コバンザメ合体ドローンの開発と対象物の自動追跡
(7) ドローンの下降気流を活用した物質散布による匂い空間の迅速創生
(8) 音声認識技術を活用したドローン制御

教員メッセージ

研究室合宿は、毎年6月に幕張メッセで開催されるJapan Droneに、メンバー全員で行きます。Japan Droneは、世界中の最新のドローンが集結する展示会なので、見るだけでも楽しいのですが、卒業生を含めた大学院生を中心に、ポスターセッションで研究成果を発表してもらっています。また、在学中に、ドローンの国家資格である「二等無人航空機操縦士」を取得する学生もいます。私自身はさらに難易度の高い「一等無人航空機操縦士」の資格を有しています。皆さんもドローンの資格取得に挑戦して見て下さい。大学4年間は、皆さんが進むべき道を探す場所だと思っています。ものづくりのエンジニア、新しいことにチャレンジする研究者、あるいは理工学以外の別の道に進む人もいるかもしれません。進路を決めるための4年間、そこに大学に来る価値があるかと思っています。「意志あるところに、道は開ける」:Where there is a will, there is a way.

研究室合宿 (Japan Drone@幕張メッセ)
大学構内での集合写真

研究室ホームページ

https://togashi.mech-kokushikan.com/contents/

関連リンク

教員情報 - 富樫 盛典