システム制御理論とその応用

本研究室では、システム制御理論に基づいたモデリング・信号処理を扱います。ヒトを対象に、脳波計(EEG)や近赤外分光装置(NIRS)といった脳活動計測装置を使用して、注意・感情・認知負荷といった生体情報の評価を目指した研究が中心です。研究成果の医療・福祉・スポーツ領域への応用を念頭に置いて、ロボット・アシステッド・セラピー、MRIによる生体内部温度測定、転倒予防体操の評価など、工学と人間科学を連携した領域を扱います。

研究分野における現在の問題点や関心事、見解など

ヒトから取得したデータは個人差が大きく、測定時の環境要因や心理状態が測定値に強く影響するため、定常性の欠如・再現性の乏しい点が問題となります。本研究室ではこうした課題に対し、システム制御論アプローチによるモデリング・システム同定が有効と考えて研究を進めています。測定環境などに注意して測定したデータから脳活動や身体動作の特徴を抽出し、身体状態を推定して制御することを目的とします。工学的計測と身体評価を統合する枠組みの構築に関心があります。

主な研究テーマ①

脳活動計測と心理・認知評価

脳波計(EEG)や近赤外分光装置(NIRS)を用いて、注意・感情・認知負荷などの心理状態を推定する研究を行っています。例えば、(1) 警告音の「不快さ」や「ストレス」が脳活動にどのように影響するか調べ、音環境の設計に応用する研究、(2) 英語学習者の認知課題における注意メカニズムをERPで評価する研究、です。この分野では教育心理学との連携も進めています。さらに、(3) コミュニケーションロボットとの対話が気分や情動に与える影響を測定し、ロボット・アシステッド・セラピーの科学的基盤構築を目指す研究も行います。

心理実験イメージ
NIRS実験イメージ

主な研究テーマ②

身体計測と医療・福祉応用

生体計測を基盤に、検討結果を医療・福祉領域で応用する研究に取り組んでいます。例えば、(1) MRIを用いた体内温度の推定、(2) 柔道に基づく「柔道けんこう体操」による高齢者の転倒予防効果の確認、(3) 無線給電式医療機器の安全性評価、などについて成果を発表しています。これらは工学分野の成果を医療・福祉の課題解決に結びつける取り組みであり、国士舘大学ハイテク・リサーチ・センターとの関係が深い研究です。非侵襲測定による安全性・実用性を重視した測定に基づき、研究を進めています。

MRIを用いた実験
無線給電実験

地域連携・社会貢献活動

体育学部と連携して国士舘大学ウェルネスリサーチセンターの立場から「柔道けんこう体操」の評価やプログラムの改善に取り組むなど、地域の医療・福祉・教育機関との連携を進めてきました。また文学部と連携してコミュニケーションロボットを用いた心理プログラムの実験を行い、医療福祉現場への導入を目指しています。

柔道けんこう体操の実施
転倒予防動作の体験

研究室・ゼミ活動

研究室では、脳波計・心電位計・筋電計などの生体センサーを用いたデータ取得と解析を中心に研究を進めています。所属する学生は、計測機器の扱い、信号処理(フィルタリングや周波数解析)、画像処理、統計処理などを段階的に学び、測定により得られた身体データに適用して特徴抽出を試みます。研究室の方針として、研究テーマを先輩から継承するのではなく「自らテーマを確立させる」ことを重視し、些細な内容であっても問題意識を持って、自分なりに取り組む姿勢を尊重します。大学院生には、学会発表や論文執筆を目標に丁寧な個別指導を行います。

所属学生の卒論・卒研のテーマ、キーワード(一例)

・MRIを用いたファントムモデルのT1緩和時間算出
・脳MRI画像の分類における深層学習モデルの比較
・視聴覚刺激のR/L認知課題における事象関連電位
・感情語と色のストループ効果に関する検討
・警告音の評価がヒトの認知機能に及ぼす影響

ゼミ風景①
ゼミ風景⓶
脳波測定実験
NIRSを用いた実験

研究室ホームページ

http://homepage.kokushikan.ac.jp/kuni/user/Oura_index.html

関連リンク

教員情報 - 大浦 邦彦