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2026.03.18

政経学部・佐藤圭一教授の最終講義が行われました

政経学部政治行政学科の佐藤圭一教授の最終講義「米国における政教関係の歴史と変遷 ”建国神話の誕生”から厳格分離の高揚、そして『歴史と伝統』への回帰」が3月5日、世田谷キャンパス34号館A棟207教室で行われました。会場には、政経学部の教員をはじめとした多くの教職員、卒業生らが訪れ、約70人が聴講しました。

はじめに、生方淳子教授(政経学会会長)が、「日本の大学教育が数々の困難に見舞われる中、佐藤教授は9年間にわたり学長として本学の舵取りを担われた。また、40年にわたって教壇に立たれ"世のため人のため"となる多くの人材を育て、社会に送り出してこられた」とその功績をたたえました。
続いて、司会を務めた助川成也教授が、佐藤教授の40年以上にもわたる国士舘での経歴を紹介し、「18歳人口の減少やコロナ禍などの困難な状況の中にあっても、大学院教育の充実や教育の質保証などにおいて本学のために尽力された」と学長時代の功績を紹介しつつ、「アメリカ政治思想・宗教関係の研究家として、宗教と政治の関係という民主主義の根幹に関わるテーマを追究されてきた功績は学会において重要な位置を占めている」と数多くの研究業績にも触れながら敬意を表しました。

最終講義では、長年の経験からアメリカにおける政教関係の歴史について、さまざまな背景を交えながらその変遷をわかりやすく解説しました。

佐藤教授は、「前提として国家権力が行使されるには正統性が必要である」としたうえで、アメリカ紙幣や国章に示された文言ならびにデザインに触れながら、同国が1776年の独立に際し王制ではなく共和制を採用した歴史を紹介しました。また、王に代わる正統性として、神による正統性が必要とされたことが政教分離の始まりであると述べ、その背景には同国建国時の異なる植民地形態や広大な土地による信仰の違いがあり、国家と神を象徴的に結びつける一方で、特定の教派が権力を独占しない仕組みが国のために求められたことを紹介しました。
さらに、メイフラワー号上陸の航海を旧約聖書の「出エジプト記」になぞらえるなど、同国の建国神話には宗教的な背景が深く根ざしていることをあわせて紹介しました。

続けて、なぜ日本ではアメリカが厳格分離だと誤解されてきたかについての話題では、州憲法すべてに宗教的文言が記載されていることや憲法第一条の真髄、代表的な裁判例を例に挙げつつ、「トーマス・ジェファーソンが一度だけ使用した"教会と国家と分離の壁"という表現が拡大利用されるよになったためである」と解説しました。

その後、現代に至るまでの変遷を「厳格な分離」を求めた多くの判決を例に挙げながら説明したうえで、近年は判断基準が「歴史と伝統」を重視する方向へ大きくシフトしてきたと紹介しました。そして、「アメリカは再びその歴史的な宗教的価値観に立ち返ろうとしている。これからもその歴史と伝統を重視した判決が下されることだろう」と今後の展望を示し、講義を締めくくりました。

講義終了後の質疑応答では、聴講した各学部の教員らと世界各国の宗教や政治背景について活発に意見交換が行われ、佐藤教授の幅広い視点や国際的な教養の一端が示されました。

最終講義後には、34号館10階スカイラウンジで「佐藤圭一教授を囲む会」が行われ、最終講義を聴講した教員や卒業生などが参加しました。式では、学長時代に執務を共にした入澤充名誉教授(元学長室長)が乾杯のあいさつをするなど、佐藤教授の労をねぎらうために多くの関係者が訪れ、佐藤教授との思い出話に花を咲かせました。式の最後には、教職員や卒業生から佐藤教授へ記念の花束やプレゼントが贈られ、会場には万来の拍手が鳴り響きました。

最終講義、囲む会ともに温かな雰囲気に包まれ、佐藤教授が長年にわたり注がれてきた本学への思いが教職員や卒業生の間であらためて共有される機会となりました。

最終講義を行う佐藤教授
活発な質疑応答の様子
座右の書を紹介する場面も
卒業生との再会に笑みがこぼれる佐藤教授
花束贈呈の様子
佐藤教授を囲んで記念撮影