10月4日、第12回日本救急救命学会学術集会の学生セッションが開催され、佐藤あいりさん(体育学部4年)と長友羽美さん(同)が水難救助実習の教育効果に関する研究成果を発表を行いました。
佐藤さんは「水難救助実習による救急救命士養成課程学生のチームワーク能力の変化」、長友さんは「水難救助実習による救急救命士養成課程学生のチームワーク能力向上に関連するベースライン特性」と題して、それぞれ研究成果を報告しました。
このうち、佐藤さんの発表は学生セッションにおいて高く評価され、優秀演題賞を受賞しました。
水難救助実習がチームワーク能力に与える教育効果を検証
救急救命士が傷病者に適切な処置を行うためには、医学的知識や救急処置などの技術的な能力だけでなく、周囲の状況を把握し隊員同士で情報を共有しながら協力して活動する「非技術的スキル」も重要です。その中でも、チームワーク能力は、救急現場において複数の隊員が連携して活動するために必要となる重要な能力の一つです1)。
研究グループは、国士舘大学体育学部スポーツ医科学科の1年次6月に実施される水難救助実習(プールの部)に着目しました。この実習では、学生がチームを組み、互いに協力しながら水難事故への対応や救助に必要な知識・技術を実践的に学びます。
研究グループは、このような実習環境が水難救助の技術を身につけるだけでなく、将来、救急救命士として活動するために必要なチームワーク能力を育成する機会にもなっているのではないかと考え、その教育効果を科学的に検証しました。
研究では、水難救助実習に参加した161人を対象とし、チームワーク能力を測定する心理尺度を用い、実習初日から実習最終日までにチームワーク能力がどのように変化したのかを分析しました。その結果、実習後にはチームワーク能力が統計学的に有意に向上しました。 特に、チーム志向能力とリーダーシップ能力の向上が認められました。
*チーム志向能力とは、自分一人の成果だけではなく、チーム全体の目標を意識し、他のメンバーと協力しながら活動しようとする姿勢や能力を指します。また、リーダーシップ能力とは、チームの目標達成に向けてメンバーに働きかけ、状況に応じてチームをまとめ、より良い方向へ導いていく能力を指します。
今回の研究から、水難救助実習は、水難救助に必要となる知識や技術の習得だけでなく、救急救命士としてチームで活動するために必要な能力の育成にも寄与することが示されました。特に、入学して間もない1年次の段階で、仲間と協力しながら一つの課題に取り組む経験を積むことは、その後の救急救命士教育の基盤となる重要な学習機会であると考えられます。
国士舘大学では、救急救命士に必要な専門的な知識や技術の習得に加え、チームワークをはじめとする非技術的な能力の育成にも取り組んでいます。今回の研究は、これまで実践してきた教育を科学的に分析し、その教育効果を明らかにする取り組みの一つです。今後も、実習を通じて学生がどのような能力を身につけていくのかを科学的に検証し、その成果を教育内容のさらなる改善につなげていきます。
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研究グループ
佐藤さんが発表した研究は、国士舘大学および中央大学の研究者からなる研究グループによって実施されました。
■国士舘大学 体育学部スポーツ医科学科
佐藤 あいり、四戸 聖奈、中川 洸志、喜熨斗 智也
■国士舘大学大学院 救急システム研究科
工藤 良、阿部 和、板垣 和真、木村 龍、大森 俊平
■中央大学 社会理工学部人間総合理工学科
島崎 敦也
参考文献
1. Nakagawa K, Williams B, Kimura R, Kijima H, Tanaka S, Komine T, et al. Consensus on Nontechnical skills for Japanese paramedics: A Delphi study. Nurs Health Sci [Internet]. 2026 June;28(2). Available from:
http://dx.doi.org/10.1111/nhs.70325



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