7月25日(土)、世田谷キャンパス10号館2階2107教室において「地理学を知り、災害を読む」というテーマで、「社会科教員のための地理ワークショップ」を開催しました。当日は、関東圏を中心に主に社会科を担当する中学校・高等学校の教員と大学の教員ら約30人が参加しました。
午前のプログラムでは、参加者とともに世田谷キャンパス周辺を歩き、台地の高低差や平坦な地形面を実際に体感しました。また、文学部の佐々木明彦教授が、烏山川緑道の暗渠や若林公園の井戸などを題材に、地域の地形や歴史、さらには災害リスクについて現地で解説しました。
その後、文学部の小山拓志准教授が、大分県教育委員会の防災教育推進委員会委員長を長年務めた経験を踏まえ、自身が取り組んできた防災・減災教育を「命を守る教育」と位置付けて講演を行いました。そして、なぜ防災教育に地理学が重要なのか、「災害を読む」とは「地域を知ること」であり、児童・生徒だけでなく教員自身も「地域を観る目」を養うことの重要性について、多様な地理学的事象や現象を事例に挙げながら解説しました。
午後のプログラムでは、佐々木教授が「『地表の凹凸』は災害を語る」をテーマに、文学部の岡島建教授が「街の歴史から災害を考える-歴史地理学でみる災害-」をテーマに講演を行いました。
続いて、小山准教授が、大分県における防災・減災教育の実践や「地理総合」に関する指導・助言の経験をもとに、「地理総合」の授業で地域の災害リスクをどのように扱い、高校生の理解を深めるかについて講演しました。また、教員を含め、自助の重要性を強調するとともに「防災に答えはない」からこそ、状況に応じて判断・行動する力を身に付ける(身に付けさせる)こと、そのためには事前に地域そのものと災害リスクを知ることが不可欠であり、その基盤となるのは紛れもなく「教育」であることを力説しました。
最後に、近年、大学を含めた各校種で増えつつある一時的・パフォーマンス的な「防災教育」ではなく、「どこにいても生き延びる力」を育むために、地理学を出発点とした学びを児童・生徒に積極的に伝えてほしいと参加者へ呼びかけました。
質疑応答では、参加者から多くの質問や意見が寄せられ、活発な議論が交わされるなど、ワークショップは盛況のうちに終了しました。なお、今回の参加者には「地理学」を専門としない教員の参加も多く見られ、防災・減災教育や地域理解における地理学への関心の高さがうかがえました。本ワークショップは、災害を「地域を知ること」から捉える地理学的な視点とその重要性を改めて共有する貴重な機会となりました。

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