調査活動報告

サウジアラビア

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マダイン・サーレ遺跡の岩窟墓マダイン・サーレ遺跡の岩窟墓

2002年1月20日から3月15日までサウジアラビアの発掘調査ということでJICAの専門家として協力した。計画は長期にわたって進められる計画であり、サウジアラビアに分布する遺跡群を予備調査した。それによって判ったのは、旧石器時代の人々のアフリカから西アジアへの移動は、北アフリカばかりではなく、南アラビア半島の紅海を渡っての人や動物の流れもあったことである。また新石器時代にしても現在では砂漠地帯であるが、泉やワディ沿いにおいて農耕牧畜をしていた可能性が極めて高く、内陸部まで分布している。またアラビア半島の歴史は遊牧民の歴史であると同時に、交易をとおした経済・文化のルートでもある。そしてエジプト、メソポタミア、地中海の影響は強い。例えばナバタイの影響下にあるマダイン・サーレ、また砂漠の中にあるタイマの遺跡は遠くメソポタミアの紀元前6世紀の新バビロニア時代のバビロンの王ナボニドスが造ったオアシス都市である。そこにはバビロンからタイマまでの砂漠のなかでの長い道程があるにもかかわらず、バビロン王が何故ここに王宮を含む都市まで造って住んだのか興味深い。さらに湾岸地域も古代から東西交易の海洋路の役目をもっていたことから、港湾都市に伴う遺跡も多い。内陸部においてでもそうした交易路があったことが伺えるが、そのひとつであるタジは巨大な城壁に囲まれたヘレニズム時代の遺跡であり、今後の発掘調査に期待したい遺跡でもある。そしてイスラム時代の遺跡は数多い、特にメッカ詣でに関する遺跡は各地に点在する。

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