調査活動報告

テル・スウェイジ遺跡

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テル・スウェイジ主丘の発掘トレンチテル・スウェイジ主丘の発掘トレンチ

テル・ジガーンよりティグリス河をさらに遡ったところにある、日本隊がエスキ・モースル・ダム地域で最後に発掘した遺跡である。遺跡は、急斜面をもつ遺丘の中心部(主丘)の周囲に、なだらかな斜面が広がるという形状をなし、道路を挟んで遺跡の北側にティグリス河が流れる。

テル・スウェイジ出土彩文ニネヴェ5土器テル・スウェイジ出土彩文ニネヴェ5土器

この遺跡の発掘では、北メソポタミアの「ウルク後期」(「銅石併用時代後期第5期」)に生活が営まれはじめ、次いでニネヴェ5期にも引き続き居住が行われたことによって、主丘が形成されるに至ったことがわかった。幾層にも及ぶニネヴェ5期の建築あるいは文化層の重なりがその主丘で確認されている。一方、主丘の周囲では、前2千年紀前半のハブール土器が使われた時期にはじめて居住が開始され、その数百年後の前1千年紀に至って、つまり新アッシリア時代に再度居住が行われたことが確認されている。ニネヴェ5期には、丘の上へうえへと向かって引き続き居住が行われ続けたが、前2千年紀前半と新アッシリア時代には、村落あるいは町のほぼ中心にニネヴェ5期の遺丘が単なる丘として残るかたちで居住区が広がり人々の生活が営まれていたのである。後者の町あるいは村落の風景は、近傍に遺丘を控えた現在の町や村の姿からして想像に難くないだろう。

テル・スウェイジ遺跡、主要参考文献

沼本宏俊「テル・ツヴェイジC区の発掘調査」『ラーフィダーン』第17巻(1996)、他に掲載。

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