スポーツ・システム研究科は、2001年に修士課程が設置され、2年後に同博士課程が設けられました。設置からすでに20年以上が経過しますが、スポーツ科学の分野で「システム」という用語がついた研究科名は特徴的で先見的であると思います。ここでいうシステムとは、個別の研究課題を、関連する社会構造や学問分野のなかで把握し、本質的な解決に向けて関連する要素との相互作用や影響にも目を向けながら、広い視野で総合的に理解し探究していくことを意味しています。
ユネスコによる「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」(2015)には、「体育・身体活動・スポーツは、健康、社会的・経済的発展、若者のエンパワメント、和解、平和など、さまざまな個人的及び社会的恩恵をもたらす」と述べられています。しかし、人々がこれを十分に認識し、社会に実現していくためには、まだ多くの研究課題が残されています。
一方で、国連ではSDGsなどの国際社会が取り組むべき課題についても、スポーツが果たすことのできる役割は極めて大きいと明言しています。社会におけるスポーツがもつ役割への期待はますます高まっているように見えます。こうした社会課題にアプローチするには、物事をシステムとして捉え、関連分野と協力しながら学際的に探究していくことが不可欠です。
本研究科では、スポーツに関する諸問題をシステム的に捉え、専門能力を有する学識豊かな研究者の養成と高度な専門性を有する職業人の養成を行なっています。大学院生が各自の研究課題に関連する科目を複合的に履修することにより、スポーツを社会システムとして捉え、スポーツにおける多角的な視点や分析が可能になるような能力の育成を行なっています。
競技力の向上、質の高い学校体育、少子高齢社会における健全なスポーツ振興、疾病・障害を防ぐ予防的なスポーツ実践、情報技術を応用したトレーニングプログラム等、この分野の興味深い研究課題は尽きることがありません。
社会人の受け入れも積極的に行なっています。卒業論文の作成を経て、さらなる研究に関心を持っている方、職業に関わる高度な専門性の向上、研究者を目指している方などを歓迎しています。ぜひ本スポーツ・システム研究科で学びを継続・発展させてください。
プロフィール
研究科長
田原 淳子 たはら・じゅんこ
- 1984〜1985年
- ドイツケルンスポーツ大学(西ドイツ)留学(文部省海外派遣)
- 1986年
- 横浜国立大学 教育学部 卒業
- 1988年
- 横浜国立大学大学院 教育学研究科 修了 教育学修士
- 1994年
- 中京大学大学院 体育学研究科 博士後期課程 修了 博士(体育学)
- 1994年
- 中京女子大学(現至学館大学)講師・助教授
- 2002年
- クイーンズランド大学(オーストラリア)客員研究員
- 2006年
- 国士舘大学 体育学部 / 同大学院スポーツ・システム研究科 准教授(2007年〜准教授)
- 2009年
- 国士舘大学 体育学部 / 同大学院スポーツ・システム研究科 教授
- 2014〜2015年
- コブレンツ・ランダオ大学(ドイツ)客員研究員
- 2023年
- 国際オリンピック委員会オリンピック研究センター(スイス)客員研究員
- 2024年
- 国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科長
- 日本体育・スポーツ・健康学会
- 体育史学会
- スポーツ史学会
- 日本体育・スポーツ哲学会
- 日本スポーツ教育学会
- 日本スポーツとジェンダー学会
- 日本オリンピック・アカデミー
- 日本ピエール・ド・クーベルタン委員会
- International Council of Sport Science and Physical Education (ICSSPE)
- International Pierre de Coubertin Committee (IPCC)
- International Fair Play Committee (IFPC)
- International Society of Olympic Historians(ISOH)
- WomenSport International(WSI)
- Asian Council of Exercise and Sports Science (ACESS)