体育学部

令和5年度体育・スポーツ科学学会講演会が12月22日、多摩キャンパスMCCT301教室で行われ、今年度3月に定年退職される体育学部の田口康之教授が「命の大切さ」「全力で生きること」の2つをテーマに、中学校での約40年にわたる教員人生での葛藤や指導観の変化について講義を行いました。

テーマ①「命の大切さ」では、はじめに教員人生で出会った生徒を紹介しました。非行に走り「生まれてこなければよかった」「なんで俺を生んだんだ」と話す生徒や、望まない妊娠で子どもを授かり「生みたくなかった」と口にする生徒と出会い、命と妊娠について深く考えるようになったと当時を振り返りました。

その後、田口教授は妊娠・出産について説明した後、母体の中で育つ胎児はへその緒に自らつくった血液を流していることから、一人一人"自ら勝ち取った命"でこの世に生まれてきているのだと話しました。多様な状況下の子どもたちも母体の中から自らの意思と行動で誕生していることから、それぞれが自分の力で精一杯生きてほしいと学生に訴えかけました。

テーマ②「全力で生きること」では、勝利至上主義であった田口教授が運動会に臨む生徒の作文を読み、指導観が変化したことを振り返りました。運動会では、嘘のない自分で全力の走りをするという生徒の作文を読み「一生懸命なことの美しさ」「自分に嘘をつかない悔いのない生き方」「仲間と競い合う”達成感”からの感動」を学び、自分の指導観の誤りに気付いたと話しました。

田口教授は最後に、「愛という崇高な心で大切な命を自らの力で獲得し、一生懸命仲間と関わり生きることで、人を認め・想い・心豊かになっていく。皆さんが、それぞれの異なった生きる力を築いていくことに期待している」と述べ、講義を締めくくりました。