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 各学部における教員養成に対する理念・構想

経営学部
 経営学部は、昭和37年に、政経学部(政治学科、経済学科)に入学定員150名で開設された。そして、平成22年4月に経営学部経営学科への届出をした。
 国士舘の創立者柴田徳次郎の建学の精神に賛同して国士舘の設立を援助した渋沢栄一は、その著書『論語と算盤』で「道徳経済合一説」という理念を打ち出して、道徳と利益の両立こそが真の国富をもたらすものであると主張している。
 経営学部の目的は、21世紀の「知識基盤社会」において絶えず変化する企業環境の中で、仮説と検証を繰り返し行う実践的な科目によってビジネス入基礎力の習得を目指すとともに、ともすれば失われがちになってきた日本入の勤勉・利他の精神を涵養するためのビジネス人教育においている。
 経営学部が育成する経営学士は、国士舘大学の建学の精神をふまえて、現下の社会・経済環境を理解し企業の経済的機能のみならず社会的使命を理解し、豊かな適応力と創造性に満ちた人材である。経営学部はアドミッション・ポリシーやカリキュラム・ポリシー、及びディプロマ・ポリシーを提示して、学部の教育方針、卒業後の進路を明確にしている。また、中央教育審議会の答申『我が国高等教育の将来像』で指摘されている「大学の多様な機能と個性・特色の明確化」の中でも、特にビジネス人に重点を置いた教育・研究を行っている。ビジネス人に求められるスキルとしては企画提案力、説得力(コミュニケーション能力)等に加えて粘り強いタフな精神力が必要となる。経営学部が目指す教育理念の基本はまさにこのようなビジネス人基礎力の習得であり、少人数教育が行えるゼミナールを1年次から4年次まで設置して、本学の建学の精神である、誠意、勤労、見識、気魄の徳目を涵養した学生を養成すべく、きめ細かく指導する体制を整えている。

 経営学科

 1学部1学科の経営学部経営学科では、国士舘の創設に関わった渋沢栄一の『論語と算盤』を基調に、道徳を重んじるビジネス人を養成する。今日の会社法では、不祥事をなくすために、会社に内部統制制度を要請した。内部統制は「業務の有効性と能率、財務報告の信頼性、関連法規の遵守」を目的としている。経営学部では、業務の能率と会社の社会への有効性を高め、社会の法律を遵守し、職業を通じて社会貢献をする人材を養成する。また、国造りに情熱を有する国士舘の気概に加えて、渋沢栄一が重視した道徳観のある教員を養成する。
 経営学は実践哲学と称せられ、人間と自然、科学技術、社会の法律と政治経済システムなどを与件として、組織の使命の具現化を探求している。経営学部では、組織社会を理解し、経営基礎力を有する高度な経営管理の専門性を持った人材を輩出することを目的に、総合教育科目群の上に、経営と会計の主要科目群を設けている。そして、教育の方針としての実践の中で学ぶことを重視し「現代の産業と企業」で、企業経営者の講師の講義を受けて、実際の社会に触れる。
中学校1種 社会
 経営学は実践哲学を旨として個と全体の課題を研究対象としている。人の集合が社会を形成し、社会経営学は組織論から社会を考究している。狩猟採取の時代では、狩猟者は獲物を食料として村落の人と分かち合っていた。生産者と消費者の協働が行われていた。その後、女性が創始した農業革命は階層社会を形成し、指揮命令の社会組織を生成した。その後、産業革命は高い生産性を生じ、分配の問題を惹起するとともに、複雑化した社会を管理する専門家を生み、官僚制組織へと変貌させた。さらに今日、情報革命はネットワーク組織を形成しつつある。現在の歴史的各組織を多層とした複合社会に適合するには人間教育であり、人を人的資源と捉えている。
 社会経営学は社会の諸問題をいかに解消するかを課題としている。その一つの方法として、PDCAがある。また、国や地方の維持発展の戦略論、社会行動の良し悪しの取り組みを評価する業績評価論、合理的に物事を決める意思決定論、人・物・金・情報の管理論等、社会を分析する見方や発展させる多くの専門科目がある。経営学部では、能率から有効性、部分最適から全体最適への知識を学ぶことになる。そして、教育哲学者ジョン・デューイ著『哲学の改造』の中で主張している組織社会へ適応する知識を涵養することになる。
高等学校1種 地理歴史
 学習指導要領の世界史の目標に「世界の歴史の大きな枠組みと展開を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ、文化の多様性・複雑性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。」とある。この目標を目指して、科目配当をする。
 総合教育科目の「日本史」「西洋史」「東洋史」に加えて経営専門の「外国経営史」「外国会計史」「日本経営史」「日本会計史」を配置している。「日本経営史」は江戸時代の日本的経営の萌芽から、明治時代の製造に対する誠実な取り組み、戦後の資源の乏しい日本での能率経営の努力は、高度成長期に「日本的経営」として世界に知られるようになった。今日、国際的な言葉「kaizen」「omotenashi」などの企業の経営行動を学ぶことで、歴史的観点から国際社会に主体的に生きる日本国民を養うことに繋がる。
 学習指導要領の地理の目標に「現代世界の地理的事象を系統地理的に、現代世界の諸地域の歴史的背景を踏まえて地誌を考察し、現代世界の地理的認識を養うとともに、地理的な見方や考え方を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。」とある。今日の経営はグローバル化を強く意識している。企業の立地条件には地理的条件が欠かせない。鹿島工業地帯は人口の港湾を作り、地理的劣勢を人間の英知で解消したものである。環境経営の取り組みは地球の自然環境保全の意識を高めてくれ、環境負荷を低減した製品は消費者に受け入れられている。
高等学校1種 公民
 学習指導要領の公民の目標に「広い視野に立って、現代の社会について主体的に考察させ、理解をふかめさせるとともに、人間としての在り方生き方について自覚を育て、民主的平和的な国家・社会の有意な形成者として必要な公民としての資質を養う。」とある。この目標を目指して、科目配当をする。
 1年次には、社会の進むべき道、社会秩序、経済生活の原理を教養としてはば広く学ぶために、総合教育科目の「政治学」「法学」「経済学」を履修する。さらに、経営専門科目の「経営学総論」「財務分析」「企業分析」「組織理論」「組織行動論」「会社法」[商法]「法人税法」「所得税法」を配置して、国民の一人一人に関わっている納税の義務とその手続きは「租税法概論」で学び、責任ある公民の資質を養う。
 現代は組織社会と言われている。行政組織であれ、営利組織であれ、こうした目的社会の中での人間の在り方の自覚は、個々人が社会の中の組織を通じての経済的自立を可能にし、現代の公民として重要な資質である。組織の管理者は道徳的資質が要請されている、また、組織の長は人格者であることが望まれている。渋沢栄一の『論語と算盤』も道徳と利益の関係を扱い、1年次の「フレッシュマンゼミナール」で学ぶ。
高等学校1種 情報
 経営は人・物・金の資源に加えて情報を扱っている。情報革命の進展は情報社会の在り方、情報社会を推進する産業、情報を利用できる人の領域がある。情報社会は情報の光と影があり、「情報の科学」「社会と情報」「情報メディア論」と「情報社会及び情報倫理」などを学ぶ。情報産業を推進するにはIT(情報技術)が必要で、「Webデザインの基礎」「コンピュータネットワーク」「情報処理C」及び「情報処理D」などを学ぶ。IT産業やIT利用の経営は「経営情報論」「経営学特論(情報システム基礎・応用)」で学ぶ。情報社会にあって個々人が情報機器を利用できないと情報格差が生じてしまう。本学では新入生はIDとパスワードを付与されて履修登録をし、授業もe-Learningを利用した講座もある。こうした最近の情報事情とIT職業は「産業と職業」で学ぶ。
 「情報」教職科目の「情報科指導法」では、効果的な教材の作成方法について学ぶ。具体的には、ホームページの作成を行うほか、種々のソフト(ワープロ、表計算、データベース)およびプログラミング言語を活用して学習システムの開発実習を行い、情報技術力のある教員を養成している。
高等学校1種 商業
 経営学部経営学科の特色は、高い倫理性を備えたうえで「ビジネス人基礎力」の習得を目標としたきめの細かな経営学教育であり、まさに商業人の養成に通じている。具体的には1年次における導入教育を重視した[ゼミナール入門]ではビジネス人に必要な論理スキルのアクティブラーニングである。経営は経営学と会計学が表裏一体であり、「経営学総論(必修)」は経営学検定試験に準拠した教育内容で、専任教員によるオムニバス方式で授業をし、2年次までに検定試験の合格を目指している。また、同じく1年次に配当される「簿記原理(必修)」についても、「日商簿記検定」の受験指導をして2年次までに検定試験の合格を目指している。両科目の検定試験合格でビジネス人基礎力の質保障を図っている。
 高学年次においては、経営に関わる専門知識やスキルを獲得する必要性を学生に実感させるために産業界との連携による実践的な教育システムとして「現代の産業と企業」を配置している。また、卒業生の多くが中堅・中小企業に就職することに鑑みて、日本の産業社会において存在意義の高い優良中堅・中小企業に焦点を当て、その実態に基づく実践的・実証的教育を行う当学部の特徴的な科目「優良中堅・中小企業研究」を配置している。かくして、建学の精神「活学」を涵養した「経営学士力」を有した人材を育て、あわせて商業人の養成をしている。