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2026.04.17

溺水による心停止、人工呼吸併用の心肺蘇生で生存率向上—全国データで実証

その他

本学大学院修士課程の阿部和氏、木村龍氏(同大学院博士課程)、本学の中川洸志講師(前中央大学)、喜熨斗智也教授、田中秀治教授、中央大学の石川仁憲教授らの研究グループは、総務省消防庁が管理する全国搬送人員データとウツタインデータを用いて、2016年から2022年の7年間に海・河川・池沼などの自然水域で発生した溺水による院外心停止3,914症例を対象に、現場にいた一般市民による心肺蘇生(バイスタンダーCPR)の種類が、1か月後の生存にどのような影響を与えるかを検討しました。 バイスタンダーCPRは、「CPR未実施」「胸骨圧迫のみ(ハンズオンリーCPR)」「胸骨圧迫+人工呼吸(人工呼吸を含むCPR)」の3種類に分類して分析を行いました。


その結果、1か月後の生存割合は、CPR未実施の場合わずか2.7%であったのに対し、ハンズオンリーCPRでは9.4%、人工呼吸を含むCPRでは24.1%でした。交絡因子を調整した多変量解析においても、人工呼吸を含むCPRはCPR未実施と比較して1か月生存と有意に関連しており(調整オッズ比3.70)、ハンズオンリーCPRと比較しても有意に関連していました(調整オッズ比2.13)。


本研究は、自然水域での溺水による院外心停止に対するバイスタンダーCPR種別と生存割合の関連を、日本の全国データで初めて明らかにしたものです。JRCガイドライン2025で再強調された「溺水には人工呼吸を含むCPRが重要」という推奨を裏付けるエビデンスを提供し、水辺の安全対策と地域救急医療体制の改善に貢献することが期待されます。

本研究の成果は、国際学術誌『Resuscitation』電子版(2026年4月1日付)に掲載されました。
https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2026.111079