10月11日、世田谷キャンパスメイプルセンチュリーホール5階第1会議室で、本学防災・救急救助総合研究所が主催する第14回防災・救急救助シンポジウム「誰一人取り残さない避難生活のために」が開催され、本学学生と職員、地域住民ら49人が参加しました。
開会式
開会の挨拶で村上純一副学長は、本学が展開する多岐にわたる防災教育活動について説明し、これらの活動が警察、消防、地元町会、企業などとの連携によって支えられていることに感謝を述べました。そのうえで「本シンポジウムが、災害をより身近に感じ、日頃の防災意識を高める契機となることを願っています」と結びました。
続いて島崎所長は、本学が世田谷区と連携協定を締結していることに触れ、有事の際には地域住民や東京都と連携して防災活動を行う体制について紹介。あわせて、9月に発生した災害で被災した世田谷区民への支援活動にも言及し、「さまざまな課題を自分ごととして捉え、防災に関わる議論を深める機会としてほしい」と述べました。
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ワークショップ
プログラムでは、はじめに、防災・救急救助総合研究所の都城治講師によるワークショップ「避難所運営ゲーム(HUG)」が行われました。参加者は図面を用いながら、災害時の避難所運営について検討。乳幼児や高齢者、ペットを連れた避難者など、多様な状況を想定し、避難スペースや物資配置などのあり方について意見交換を行い、実際の避難所運営を具体的にイメージしました。
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基調講演
続いて、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の鍵屋一教授による基調講演「誰一人取り残さない避難生活のために」が行われました。
鍵屋講師は、災害対応の難しさとして「経験不足」と「焦り」を挙げ、これらを克服するためには教育(知識)と訓練(体感)が不可欠であると強調しました。さらに、迅速な対応を求められる場面では、重要な判断を独断で行わず「相談」することが失敗を防ぐ鍵であると述べました。
また、避難生活の厳しい現実として、特にトイレ不足の深刻さを指摘。不衛生な環境が水分摂取を控えさせ、エコノミークラス症候群や感染症などの健康被害、さらには関連死を招く可能性があると、その問題の深刻さに言及しました。そのうえで、災害用トイレの備蓄・配布体制の整備が極めて重要であると訴えました。
加えて、寒さ対策や照明の確保、炭水化物中心の食事による栄養不足などの課題を挙げ、日本の防災対策が高齢化社会の現実に十分対応しきれていない点を指摘しました。
鍵屋講師は、「自分は大丈夫」「何とかなる」という思い込み、すなわち正常化の偏見こそが、災害への備えを遅らせる最大の要因であると警鐘を鳴らし、平時からの意識改革の必要性を呼びかけました。
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閉会式
閉会のあいさつでは、防災・救急救助総合研究所の田中秀治副所長が、国士舘大学として地域の避難支援にどのように貢献できるかを検討し、避難所指定に限らず受け入れ体制を整備していることを紹介。「災害は必ず来るという前提に立ち、日頃から地域との連携と訓練を継続することが大切であり、今後も大学と地域が手を取り合って防災に取り組んでいきたい」と述べ、シンポジウムを締めくくりました。
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