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2023年04月14日

【祝ご入学】令和5年度(2023年4月)新入生の皆様へ佐藤圭一学長から新入生の皆さんへのメッセージ

令和5年度入学式

式辞

 

国士舘大学 学長 佐藤 圭一

 

 

 国士舘大学に入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。春本番を迎えたこの佳き日に、学部入学生3,057名、大学院入学生126名、合わせて3,183名の皆さんを国士舘大学生として迎えますことは大変うれしく、心よりお祝い申し上げます。また、この晴れの日のために、惜しみないご支援を捧げてこられたご家族・関係者の方々には心から感謝を申し上げます。

 

 本日、入学された皆さんの多くは、高校3年間のほぼ全てを新型コロナウイルス感染拡大への警戒という、かつて経験したことのない環境の中で閉塞感にさいなまれた厳しい高校生活を送られました。9年間の義務教育を終えて、晴れて自ら選択した高校に入学したにもかかわらず、人生の新しいスタートに立つ大切な入学式からはじまり、授業やクラブ活動、各種大会、文化祭、遠足、そして修学旅行などなど、ほぼ全ての行事が中止や制限が掛けられ、コロナ禍前の学校生活を知ることもなく卒業された方もたくさんいらっしゃると思います。

 他方で、皆さんには、苦難に満ちた3年間であっても、懸命に支えてくれた先生方やご家族、そして辛い時期を共に乗り越えようとする仲間たちがいました。そうした困難にあって、皆さんは自覚したはずです。「人間は他者を通して自分自身と向き合い、その接点を通して自分の存在を知ることができるのであり、いかに時代が進展しようとも、人間は支え・支えられなければ生きていけないこと。この苦難を通して仲間たちとの語り合い、励まし合いがいかに貴重であるのか。そして自分を支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを持つことがいかに大切なことか。相手に心からの感謝の気持ちを伝えた時、不思議とそれまで落ち込んでいた自分の心も癒され、何故か希望が湧いてくることも同時に知ったはずです。
 3年にわたる困難な時を乗り越え、卒業という大きな目標を達せられた皆さんに心から敬意を表します。待ち望んだコロナ禍の収束が現実のものとなる中で、この4月1日からは、いよいよ最高学府で、しかも多くの新入生が最後となる学生生活がスタートしました。祝福するとともに、皆さんが学生生活を送られる「大学での教育」が、他に比較するものが無いほどに貴重で、これからを生き抜くためにはますます必要とされる理由について先ずはお話ししたいと思います。

 

 コロナ禍に加え、ここ数年の間に、日本そして私たちを取り巻く環境は一変した感が致します。ロシアによるウクライナ軍事侵攻から1年が過ぎました。国際法に基づく「自決権や主権の尊重」を一顧だにしない暴挙は、第二次世界大戦後に構築された「法の支配」に基づく「開かれた国際秩序」を一瞬にして崩壊させ、また無辜(むこ)の市民への凄惨極まりない殺りくは「生きる権利、自由を享受する権利の尊重」など人類が英知を結集して築き上げて来た国際規約を根底から覆すものとなりました。これが本当に21世紀の姿なのだろうか。歴史の歯車は逆回転を始めたようにさえ見えます。
 そればかりではありません。先の大戦の反省を踏まえ、これまでの戦後78年間不戦・恒久平和を崇高な誓いとして、平和国家の道を歩んで来たわが国ですが、核兵器を保有する複数の強権国家と隣り合うことの脅威により、一転して、今、日本は世界で最も厳しい安全保障環境にあるといわざるを得ません。更には貧困格差、地球環境の変化による地球規模での異常気象とそれがもたらす大規模自然災害など、予測不可能で、事によっては私たちの生命をも脅かす危険な時代が到来しています。我々は、誰もが答えを用意することができず、また既存の答えが当てにならない混迷の時代を生きているのです。

 

 では一体、予測不可能な「混迷の時代」を生き抜くために、私達に求められているものは何か。その問いに答えを見出すことこそが「大学での学び」なのです。大学教育の醍醐味とは、自らが志望した専門と同時に、大学生、いや真の大人になるためには必須の「教養」を身に付けるための機会と十分な時間が特権として与えられていることです。このように大学での生活が、皆さんの人格形成とともに、これからの長い人生に多大な影響が及ぼす重大な意味を持っていることを理解してください。
 では、「教養」とは何かといえば、それは「他人から押し付けられることなく、自らが進んで様々な異なった価値観に触れ、物事の本質を理解すること。つまり、高校までの自分の思考の枠を超えて、広げていくことのできる能力」のことであり、教養人とは、そうした能力により、多くの知識や知恵を蓄積して、冷静に物事の原因を探り、判断し、行動する。目の前の事象に振り回されることのない人。つまり、しっかりとした軸足を持っている人をいいます。だからこそ、意識せずとも、他者の気持ちに寄り添える能力と度量、そして寛容性を身にまとうことができるのです。


 では、大学人として求められる教養、混沌とした世情だからこそ求められる教養豊かな人間になるには、大学生として何をすべきでしょうか。先日の「学長講話」でもお話ししましたように、実はその答えは、大正6(1917)年に創立され、今年11月に106年を迎える国士舘。皆さんが入学を果たしたこの国士舘の“教育指針”と“教育理念”、そして“建学の精神”に、確固たるものとして謳われているのです。
 改めて、意識し覚えて下さい。国士舘の教育指針は「読書」「体験」「反省」「思索」です。それらを日々励行することによって、教育理念である四徳目すなわち「誠意・勤労・見識・気魄」が備わり、それらを体現することによって、本学の建学の精神つまり教育の目的である「国を思い、世のため、人のために尽くせる人」すなわち“国士”となれるのです。国士舘大学とは、日々の研鑽により国の将来を担うまでに成長した学生達すなわち大学の教育の目的である国士を社会に送り出すことによって大学としての責任を果たし、国民の負託に応えることを使命としている大学です。


 ここでは、今述べました、教養を身に付けるための国士舘大学の教育指針について述べます。「読書」とは、学生の本分である読書すなわち書物に学び、世の中や自然界の真理を理解することです。「体験」とは、読書によって開発された知恵を持って善悪を判断して、善なる判断の下、積極的に行動することです。「反省」とは、読書から学び、体験として実行したことを、虚心坦懐に省みることです。 そして「思索」とは、これら「読書・体験・反省」によって導き出された自分の行為を立ち止まって精査し、向かうべき目標をより現実のものとすることです。
 国士舘大学での学生時代では、この教育指針を繰り返すことにより、「誠意・勤労・見識・気魄」が備わり、他者の気持ちに寄り添える能力と度量、そして寛容性を持つと共に、しっかりとした軸足を持っている教養人すなわち真の“国士”になることができるのです。


 そこで、皆さんにお願いがあります。世は正にスマホ時代です。電車の中でも、食事中でも、多くの若者は寸暇を惜しんでスマホを操作しています。スマホの驚異的な利便性は誰もが認めるところです。他方、スマホに潜む重大な問題も認識してください。
 社会問題化している自己顕示欲を満たしたいだけの無分別な投稿、更には、自分の主義主張に基づいたフィルタリングにより、自分にとって心地良い情報だけを選択し、また自分と考えを同じくする仲間ばかりと交わり、自分の考えと異なる意見や情報を排除するといった傾向が強まっています。常識を疑うばかりか、行く末が案じられる現象が増え続けています。
 これらは「教養の育み」とは正反対のものです。大学生であることの自己否定です。大学を、大学たらしめている所以は、大学とは留学生を含め、世界から、そして全国各地から多種多様な価値観や考え方を持った様々な学生たちが集まっていること。先輩・後輩、中には起業した学生、凄い資格を持った学生、世界を股に掛けて活躍する学生、日本一、世界一を目指し日々心身を修練する強者もおります。もちろん、博士号を取得し、また学術学会賞を取得した教授陣・先生方、オリンピック・メダリストの教職員、スポーツ・武道を極めた達人など。多くの偉人や学者、功労者が大勢名を連ねています。大学とは、これまで皆さんが経験したことのない逸材の宝庫なのです。


 新入生の皆さん!こうした機会は、人生において幾度もあるものではありません。スマホのスイッチをオフにする機会を作りましょう。スマホから少し距離を置いてみましょう!世界が大きく広がります。経験者の話を聞きましょう!教授や先輩たちに質問してみましょう!自分の考えを絶対視せず、物事にはいろいろな見方があること。他の視点から物事を考え新発見した時の高揚感、ワクワク感を体験してみましょう!そうした柔軟性が自分自身の思考の幅を広げ、自分を変えることができます。困難に打ち勝つ勇気を与えてくれます。そして、生涯の友情が育まれます。大学生活とは多くの素晴らしい人々との出会いから世の中の、そして人々の多様性や多面性を知り、生涯にわたって自らが考え、学び続ける力を身につける絶好の機会なのです。大学はそうした皆さんを支え続けます。

 

 なお、本日入学式を迎えた皆さんの中には159名の留学生がおります。留学生の皆さんへ一言申し上げます。皆さんは、母国やご家族から遠く離れて、言葉や文化・習慣の異なるこの日本で大学院生として、そして学部生として学生生活を送ることになります。困ったこと、悩んでいることがありましたら、どうぞ遠慮なく、教職員に、そして皆さんの担当部署である「各学部、大学院事務室」「国際交流センター」や「学生・厚生課」にお声掛け下さい。留学生をサポートするのは国際交流を大切にする我々の責務です。

 
 最後に、ご家族、保護者の皆様にもお願いがあります。国士舘大学の4年間で、授業や課題に必死で取り組むことにより、お子様たちは心身ともに、見違えるほど大きく成長します。本学は、全学的な指導体制を整えているとはいえ、途中離脱する学生が出てしまうことも事実です。せっかく選んでいただいた国士舘大学です。彼らの夢実現のために、私たち教職員と共に、緊密に連絡を取り合い、最後まで協力体制を整えていきたいと思います。どうか、ご協力を賜りたく存じます。


 4年後あるいは2年後の3月20日、皆が満面の笑みで、互いの友情と健闘をたたえ合う卒業の日、その日を心から盛大にお祝いすることが、私たち国士舘大学・教職員一同の最大の願いです。大学生活がスタートしました。新入生の皆さんの前途を祝福致します。コロナ禍に打ち勝った皆さん! 実り多い、悔いのない学生生活を送りましょう!

 

 

 

 

令和5年4月7日

パシフィコ横浜国立大ホールにて

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2024年04月16日更新

デジタル社会の「読み・書き・そろばん」にあたる「数理・データサイエンス・AI」の基礎などの必要な力を身に付けられるように、全学部で『AI・データサイエンス教育プログラム』を設けています。

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