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2023年03月27日

【祝ご卒業】令和4年度(2023年3月)卒業生・修了生の皆様へ佐藤圭一学長からのメッセージ

式辞

 

国士舘大学 学長 佐藤 圭一

 

卒業される皆さんの門出を祝福するように、桜の開花が進む、今日の佳き日に、国士舘大学で学問を修め、晴れて「学位授与の栄光」に輝くのは7学部2,740名、大学院10研究科・修士課程134名、博士課程5名、総勢2,879名の皆さんです。皆様、ご卒業おめでとうございます。

また、これまで学生の皆さんの学びを支え、温かく見守って下さったご家族・保護者・関係する全ての皆様にも心からお祝いを申し上げますとともに、教職員を代表して、衷心より御礼申し上げます。

 

卒業生の中には155名の留学生がおります。留学生の皆さんへ一言申し上げます。皆さんは、母国やご家族から遠く離れて、言葉や文化・習慣の異なるこの日本で学び抜かれました。優秀修士論文賞の受賞者の中にも3名の留学生の方がおられました。留学生の皆さん! どうか、これからも研鑽を積まれ、母国と日本そして、国士舘大学とを固い“絆”で結んで行っていただきたいと思います。

 

また、只今、5名の方に「学位の最高峰である博士号」の授与を行いました。此処に至るまでの筆舌に尽くしがたい努力の日々、そして、獲得された栄光に対し、ここに集う全ての皆さんと共に、祝福したいと思います。おめでとうございます! 

 

卒業される皆さん!皆さんの卒業が大変な努力と忍耐、そして保護者の方々や友人・そして教職員の励ましや支えがあって叶えられたものであります。難局を乗り越えて今日の良き日を迎えられた皆様を心から称えたいと思いますと同時に、お世話になった方々への感謝の気持ちを忘れないでください。

 

ところで、皆さんがご家族のご臨席の下、ここパシフィコ横浜で新鮮かつ荘厳な入学式が挙行されたのは、平成が令和に替わるちょうど1ヵ月前の平成31(2019)年4月1日のことでした。

国民は令和という元号が、日本最古の歌集である万葉集を出典元として「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味を持つこと、また令和には一人ひとりが期待と希望を持って暮らせるという思いが込められていることを知ったのでした。

 

しかしながら、そうした期待を打ち砕くかの如く、非情な現実が近づきつつありました。その12月に中国武漢で第1例目の新型コロナウイルス感染症が報告されてから、僅か1~2か月で、パンデミックつまり世界規模の大流行となり、翌、令和2(2020)年4月には日本全国に「緊急事態宣言」が発令され、本学を含め全国の教育機関は閉鎖となり、授業はじめ学校行事の殆どが中止を余儀なくされました。

“目に見えないものへの恐怖”と、留まることを知らない感染拡大への不安が交錯する中にあって、国士舘大学は皆さんの健康と安全の確保を最優先とするとともに、高等教育機関としての教育の質保証を両立するためにオンライン環境整備のための給付、そして皆さんのPC対応準備期間を経て、第1回目の緊急事態宣言解除前の5月11日という早期に全学一斉オンライン授業を開始しました。

“逆境は苦難と共に創造する機会”を我々に与えてくれました。時間・場所を問わないICTの教育への導入は教育の場に大いなる可能性が与えられたのです。勿論、そうした新たな教育への移行は、皆さんの困難を克服しようとする精神力と忍耐、理性的かつ柔軟な適応能力によって叶えられたものであることはいうまでもありません。

とはいえ、長期間に亘って禁断と隔絶の憔悴極める学生生活を強いられる厳し過ぎる日々が続きます。やがて、皆さんからは悲痛な声が聴こえてきました。「仲間達とおしゃべりがしたい。会えないのは辛い。国士舘生であることの実感が持てない。引き籠り状態になり、心身共に疲弊している。刺激が無くなり目標を失いかけている。」

「日常はそれが失われた時に、その有難さを知ることができるものです。」

皆さん覚えていますか? 新年度を迎え皆さんが3年生になる一昨年(おととし)=2021年4月2日のことを! 各キャンパスには、私達が決して忘れ得ぬ光景が広がっていました。入構制限が緩和され、綿密な感染防止措置を施しての対面授業が1年振りに再開されました。再会を果たした学生達の溢れんばかりの笑み、あちこちから湧き上がる歓声、溌剌とした語らい。煌めく春の息吹の如く、キャンパスは蘇生したかのように息を吹き返したのでした。と同時に、その光景は我われに再確認する機会を与えてくれました。「学びとは独り善がりや隔絶とは真逆のものであること。語り合える友人や教職員、喜怒哀楽を共有できる仲間達との触れ合い、同じ目標に向かって切磋琢磨するライバルとの交流、人と人との繋がりがあってこそ、学ぶことの意味が理解でき、人間らしく、そして学生らしく生きられる」ということを。

 どうか、あの日の感動を生涯忘れないでください。皆さんは、苦難と忍耐の日々により、「“人間とは何か?”、学ぶこととは何か?」その根本原理を実体験とともに身に付けることができたのです。

 

ところで皆さん!コロナ禍が漸くにして収束に向かいつつあるとはいえ、依然として日本そして世界には先行きが見えない暗雲が、重くそして低く垂ち込めています。そればかりではありません。世の中はまるで羅針盤の針を失ったかのように漂流し始めた感すらいたします。

気候変動、貧困格差、国際法を一顧だにしないロシアによるウクライナへの一方的軍事侵攻と、無辜の市民への凄惨極まりない殺戮は1年を経過しても依然として続いています。更には核兵器を保有する強権国家と隣り合うことの脅威により、日毎に悪化するわが国を取り巻く安全保障環境。これまでは「対岸の火事」として傍観者を決め込んでいた時代は過ぎ去り、今やそれらが自分達の生活、事によっては自分達の生命をも脅かす危険で予測不可能な時代が到来しています。我々は、誰もが答えを用意することができず、また既存の答えが当てにならない混迷の時代を生きているのです。

 加えて、SNSなどのソーシャルネットワークの急速な普及に伴う弊害です。自己顕示欲を満たしたいだけの無分別な投稿、更には、自分の主義主張に基づいたフィルタリングにより、自分にとって心地良い情報だけを選択し、また自分と考えを同じくする仲間ばかりと交わり、自分の考えと異なる意見や情報を排除するといった傾向が強まっています。常識を疑うばかりか、行く末が案じられる現象が増え続けています

 

では、一体、既存の知識や経験では対応できない「混迷の時代」を生き抜くために、私達に求められているものは何か? その鍵は「豊かな教養を身につけること」にあります。教養とは、大学で学んだ「教養科目」だけに留まるものではありません。卒業後も生涯に亘って学び続け、考え続け、判断し、行動する。知識を蓄えると共に、常に新しいものを受け入れる努力を怠らないことです。

その積み重ねが、自分とは異なった意見にも耳を傾ける柔軟な姿勢、相手に敬意を払いながらも、熟考を重ねることにより流されることなく、自分自身による判断が可能となるのです。教養には次のような格言があります。「教養のある人とは感情を理性でコントロールできる人。無教養な人とは感情ばかりに支配され何の手立てもできない人のこと」「感謝の念を持てることは、豊かな教養の結実である」「世の中で一番みじめなことは、人間として教養がないことです」

では、「人生を切り拓く」本物の教養とは如何にすれば身に付くのでしょうか? その問いへの答えは、正しく皆さんが修めた国士舘の「建学の精神」「教育理念」そして「教育指針」そのものにあるのです。

 

皆さん! 今一度反芻してみてください。「教育指針」とは、日々の生活の中で“読書・体験・反省、そして思索”を巡らすことです。それを繰り返すことにより「教育理念」である“誠意・勤労・見識・気魄”が涵養されます。この教育理念を体現することによって「建学の精神」である“国を思い、世のため、人のために尽くせる人材”として、つまり教養と理性を身に纏った“国士”となることができるのです。

もう、お分かりのことと思います。今年創立106年目を迎える本学の「建学の精神」「教育理念」「教育指針」は、時代を問わない普遍性を有し、かつ国士舘大生や日本人だけに留まるものではありません。全人類が共有すべき最高の美徳、すなわち人間としての理念型でもあるのです。国士舘大学を卒業する皆さんはこのことを忘れることなく心に刻んでいただきたいと思います。

 

卒業される皆さん!皆さんと母校国士舘大学との“絆”は生涯続きます。国士舘大学の教育の真髄を身に付けた皆さん!胸を張って社会に飛び立って下さい。国士舘大学は「建学の精神」そして「教育の理念」を体現する皆さんを応援し続けます。 

5年後、10年後更なる成長を遂げた皆さんと再会を果たし、わが国士舘大学、そして「日本と世界」の将来について話し合えることを楽しみにして、卒業式の式辞とさせていただきます。

 

令和5年3月20日

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