Episode_4
学問の力で、
スポーツの未来を切り拓く。
田邉 凱聖
Gaisei Tanabe
2025年入学(博士課程)
国士舘大学大学院
スポーツ・システム研究科
スポーツ・システム専攻
※2025年10月現在
加藤 晃也
Teruya Kato
2024年入学(修士課程)
国士舘大学大学院
スポーツ・システム研究科
スポーツ・システム専攻
※2025年10月現在
スポーツに関する諸問題をシステム的に捉え、学識豊かな研究者と高度職業人の養成を行う国士舘大学大学院のスポーツ・システム研究科。国士舘と言えば、大学スポーツの強豪校。そんなイメージを抱く人も多いだろう。スポーツ・システム研究科に在籍する学生は、大学院でどのような学問を究め、どんなキャンパスライフを送っているのか。
その実態を探るべく、大学院に在籍中の学生2名にクロスインタビューを実施。スポーツ科学コースの博士課程で学ぶ田邉さん、スポーツ教育コースの修士課程で学ぶ加藤さんが対談。上記のテーマについて意見を交わした。
大学院進学の動機は
「もっと深く学びたい」
国士舘大学へ入学した
経緯を教えてください。
田邉様(以下敬称略):高校時代の進路相談で「体育教員になりたい」と先生に相談した際、国士舘大学を勧められたのがきっかけです。体育科の教員免許を取得できる大学数校を検討し、最終的に国士舘に決めました。教員免許を取得できるだけでなく公務員の就職に強い点も魅力に感じたからです。
加藤様(以下敬称略):私は体育教員というより“学校の先生になりたい”という気持ちが強かったです。スポーツが好きで高校まで野球を続けていたこともあって、将来像として最もしっくりくると感じていたのは「体育の得意な小学校教員」。その想いを実現するため、また、出身地の茨城県に多い小・中学校間の異動に備えるためにも、小学校の教員免許と中学・高校の保健体育の免許を取得できる大学へ進学したいと考えていました。いろいろ調べて辿り着いたのが国士舘大学体育学部の「こどもスポーツ教育学科」です。
田邉:私も高校まで野球を続けていました。高校のソフトボール部の先生と話をしたときに「高校で野球はやめる」と言ったら、「じゃあ大学ではソフトボールに転向してみたら?」と。その先生を介して国士舘のソフトボール部を紹介していただいたことも、志望理由のひとつでした。実際に練習を見学させてもらい、ここなら高いレベルで競技を続けられそう、と思いました。国士舘は様々な部活動の競技レベルが高い点も魅力です。
加藤:もし他大学を選んでいたらおそらく“教育学部”に進学していたと思うのですが、「体育」を強みとする教師を目指すからには専門分野をできるだけ深く学びたい。大学全体でスポーツに力を入れ、特化型の学部が設置されている国士舘は非常に魅力がありました。
大学院進学の動機を
教えてください。
田邉:大学3年時に卒業後の進路を考え始めたときは、高校の体育教員か公務員(自治体職員)かの2択で悩んでいました。大学院への進学は、所属ゼミの教員で当時ソフトボール部の監督でもあった秋葉茂季先生に勧められたことがきっかけです。体の構造や動きを科学的に分析するスポーツバイオメカニクスの分野に関心を持つ私を見て、「その分野を深めたいなら大学院進学を視野に入れてみてもよいのでは?」と勧めてくださいました。
加藤:私も大学3年の夏ごろ、進路を決めるタイミングで大学院進学を検討しました。同期が皆、教員や一般企業への就職を目指す中、“本当にこのまま卒業して教員になってしまっていいのか? ”とふと疑問を感じたのが、進路を見つめ直すきっかけでした。当時、野外教育を研究する永吉英記先生のゼミに所属し、様々な学校の移動教室やボランティアなどに携わる機会が増えていました。その中で少しずつ膨らんでいたのが、野外教育がもたらす影響や意義を深く学びたいという想い。“教員になるのは、もっと学んでからでも遅くないのでは?”と思い始め、永吉先生にも相談した上で大学院進学を決めました。大学4年から「野外活動部」にも所属し、学問と課外活動の両面から専門知識を深めています。

学ぶほど探求したくなる
スポーツ理論の奥深さ
大学院ではどのようなことを
学んでいますか?
田邉:スポーツバイオメカニクスを専門分野とし、野球・ソフトボールの動作分析を通じて選手の運動成果を向上させるための研究を行っています。バッティングを例にとるのであれば、バットの角度やボールへの反応時間など、打撃動作一つひとつを数値化して解析し、導き出された結果を実際の動作に落とし込む、というような研究です。数値で可視化することによって、選手の感覚に頼るよりずっと高い精度で技術力の向上が図れます。
加藤:私は野外教育と体育科教育を専門的に学んでいます。外遊びの減少やスクリーンタイムの増加になどによる運動能力の低下傾向が顕著です。その現状を踏まえた上で、能力向上のためにどのような教材を用いてどんな授業を行えばよいのか。簡単に言うと“教育の在り方”を研究するのが体育科教育。野外教育の領域では、キャンプや移動教室、スキーなどの野外活動・レクリエーションの教育的意義を学び、高い視座で実践・指導できることを目指して知識や見識を掘り下げています。
大学院の授業で特に
印象深かったものはありますか?
田邉:修士1年次に受けた田中重陽先生の「スポーツバイオメカニクス特論」です。学部の時は座学で概論を学びましたが、特論になると実際に機材を扱います。各機材がどのような意図で使われるのか、計測したデータから何がわかるのか、どのような競技のどの部分の技術力向上に活かせるのかなどを具体的に知ることができ、“この領域を究めたい!”と探求心が覚醒しました。
加藤:体育科教育の在り方などが学べる「スポーツ教育学特論」と、自分の研究にまつわる様々なことを哲学的に考えることができた「スポーツ哲学特論」が特に印象深いです。学部では授業の進め方や指導方法などを全教科にわたって広く学びますが、大学院では“そもそも教育とはなんぞや”という哲学的な部分まで深掘りできるのが興味深い点。他領域を学ぶ同期の友人と、競技者にとっての幸せとは? 強さとは何か?というような深い議論を交わすことも大きな刺激になっています。
スポーツ・システムを
研究する上で大切にしている
ことを教えてください。
田邉:学部時代は自分自身、選手として競技に打ち込んでいました。今も男子ソフトボール部のコーチをしているため、現場に活かせる有益な知見を求めて研究を行うことを意識しています。体感速度が野球の約1.4倍と言われるピッチャーの投球や、打者の手元で浮き上がるように変化する “ライズボール”はソフトボール特有のもの。それらへの対応や処理の仕方に関しては、自分の研究内容を直接現場で役立てることができました。研究から導き出される答えは、現役時代に知りたかった…と思うことばかりです(笑)
加藤:文献や資料で明らかになっている根拠をもとに論理的に考えること、そして実際の授業や指導方法などを見て“今、現場で求められていることは何か”を考えること、その両面を大切にしています。教授がアドバイザーとして招かれる小学校の研究授業や、先生方が集まる会合、授業研究会などは、教授に同行して現場を知ることができる貴重な機会です。子ども達に運動の楽しさにふれてもらうため、授業にゲーム性をもたせてみてはどうか、ルールを簡便化してみては? 逆に、ルールを複雑にしたら面白さが高まるのでは?など、現場を体感しなければわからない授業づくりのアイデアを習得できます。
学びを通じて得た考え方の
変化はありますか?
田邉:論文や参考書を読めば読むほど、先生方や仲間と議論を重ねれば重ねるほど、物事を多角的に捉えられるようになり、視野が広がることを実感しています。大学院に進学した当初、研究室の担当教官である田中重陽先生から「大学院では研究と向き合う時間をできるだけ多く取りなさい。そして、自分の好きなことをたくさん学びなさい」と言われました。実際、その通りにしてみると、知識がどんどん深まり、さらにその先も知りたくなる。田中先生との出会いを通じて、探求する楽しさに目覚めたことが最大の変化です。今は修士課程を経て博士課程まで進み、自分自身が面白いと思うことをとことん探求しています。
加藤:大学院は少人数制なので、専門領域の教育学だけでなく、哲学、心理学、地域スポーツなど、様々な分野の研究者と接する機会があります。未知の領域を追究する人たちと話す中で多くの気づきが与えられ、様々な観点から教育について考え直せるようになりました。社会人経験を経て大学院に進学した同期もいるため、保護者の目線から見た意見や学校教育に求めることについても気軽に対話できるありがたい環境。多様な背景をもつ人々とのかかわりを通じて、スポーツを多面的に捉えていくことの大切さを学びました。

培った知見を
次世代へつなぎたい
国士舘大学大学院で学ぶ
メリットや魅力を教えてください。
田邉:様々な分野のスペシャリストの先生方が在籍し、先生と学生との距離も近いので、研究、競技に関することなど何でも気軽に相談でき、高いレベルの指導を受けられるのが利点です。研究室間の交流も盛んで、週に一度、他の研究室と合同で勉強会を行っています。テーマは臨機応変に設定され、自由度も高いので、学会発表の前に実際の資料を用いて模擬発表を行うことも可能。教授や院生から自分では気づけなかった点に指摘を受けたり、新しい角度からアイデアや意見をもらえたりと、非常に有意義な時間です。学生が研究したいことを全力でサポートする土壌があるため、のびのびと研究に打ち込めます。
加藤:トップレベルの競技者やオリンピアンとして活躍された先生もいらっしゃいます。後輩も「トップレベルの方たちは教え方が全然違う。ノウハウを少し教えてもらっただけで、できなかったことがすぐできるようになった」と驚いていました。また、学校教育に長く携わる先生方は知見も人脈も豊富。教育委員会にいた方や校長経験者など、現場の生の声を知る先生方も多くいらっしゃるため、研究にともなう授業の見学や実践の場なども先生を介して快く提供していただけます。
田邉:部活動では、大学院進学後は私のように現役を引退してコーチを務める者が多く、指導者としての経験を積むことができます。スポーツに力を入れている学校なので、設備が整っているだけでなく、最新の機材・機器類も豊富。データを取って計測値を過去の論文と比較したり、専門外のスポーツと比較してみたりと、思うままに研究を進められる環境です。国士舘のスポーツ活動を一体的に総括する「国士舘スポーツプロモーションセンター」を通じて測定や撮影の依頼が入ることもあり、様々な競技の特徴や知識を幅広く習得できるのもメリットのひとつ。野球のプロチームのサポートで撮影や計測に出かけることもあり、多彩な経験が積めます。
加藤:野外活動の領域では、国士舘が企画する小学生向けの「自然体験教室」は17~18日間にもおよぶ沖縄の離島での長期キャンプスクール。運営スタッフとして引率・指導に携わり、子ども達の成長に立ち会えるのは、国士舘でしか味わえない感動体験です。入学前に抱いていた国士舘のイメージは、真剣にスポーツに取り組む人が多数いるのだろうな、というものでした。入学後に気づかされたのは、スポーツに限らず志の高い学生が多いこと。視野を広げるため、ボランティアなど、学外での活動に積極的に取り組む学生が多く、とても良い刺激を受けました。
今後の展望を教えてください。
加藤:これまで学んできた知識をもとにして、今後は、今の時代に合う、もしくはこれからの学校教育に向けた、より実践的な指導方法を追求していきたいです。修士課程修了後は、学校現場を通じて現代教育の課題やニーズを把握しつつ、引き続き知識やスキル、指導力の向上も図れるような環境で研鑽を積みたいと考えています。大学院での学びを通じて幅広い視点が養われたため、包括的な立場から教育現場をサポートしていくのが目標。大学教員の道も視野に入れ、働き方を模索していく予定です。将来は、教育に対して高い志をもった教員を養成してみたいです。
田邉:まずは、研究中であるスポーツバイオメカニクスに関する知識をもっと深めたい。それに加え、専門領域以外の運動生理や発育・発達、トレーニング、コーチング、スポーツ哲学やスポーツ心理学などまで幅広い知識を養っていきたいです。将来は、自分の研究を通じて有益な知見を発信し、スポーツ科学の見地から競技力向上をバックアップできるような仕事をするのが夢。研究者、大学教員など、具体的な形は決めていませんが、生徒に気づきを与えられるような指導者になれたらうれしいですね。修士1年次に、私が味わった“うわっ、面白い! この道を深めてみたい”という感動。田中先生がもたらしてくださった“ひらめきの体験”を、いつか私も後輩に届けられるようになりたいです。

多様なバックグラウンドに彩られた各分野の精鋭が揃う教授陣。最先端の現場を熟知した教員による親身な指導と充実した学習環境のもと、学生たちはのびのびと研究活動に邁進し、体育・スポーツの道を追究している。
10研究科15専攻を擁する大学院で、拡大する社会のニーズに応え、「幅広い分野を高いレベルで学べる環境」を醸成してきた国士舘大学大学院。キャリア・スキルアップを志したい方、専門性を究めたい方は、ぜひ「国士舘」の門を叩いてみてほしい。