学びのそのさきへ。ドキュメント国士舘

夢をあきらめない 国士舘大学
経営学部の才気 経営学部 経営学科 教授 田中 史人 × 2017年度 経営学部卒業生 田中 華依 ビジネスプランを作成したゼミの学びは大変だったけれど、いまの自分の成長につながっていると思う。

国士舘大学経営学部経営学科を卒業した田中華依さん。田中先生のゼミでは仲間と一緒にビジネスプランの作成に挑み、充実した学生生活を送りました。現在は国際物流の株式会社日新に勤務し、さまざまな商材の輸出入に携わっています。卒業生の田中さんと田中先生の対談をもとに、国士舘大学経営学部での学びと、その先の進路についてご紹介します。

大学時代の学びについて

編集部
田中先生と田中さんは同じ苗字なので、卒業生の田中さんは「華依(はなえ)さん」とお呼びしてよろしいでしょうか。
華依
はい、それでお願いします。
編集部
まず田中先生にお伺いしますが、先生のゼミで、学生はどのようなことを学んでいるのですか?
田中
私が大学で研究しているのは、「起業」や「起業家精神」で、英語でいう「アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)」ですね。そこで、私のゼミでは学生たちに起業家になったつもりで、自分のやりたいこと、達成したいアイディアを考えて、それに基づいた「ビジネスプラン」を作ってもらっています。華依さんは確かビューティサロンのビジネスプランを作ったよね。
華依
はい、3年生のときにビューティサロンをテーマにビジネスプランを作成しました。4年生のときは「きぬあ亭」という、ペルーのスーパーフード「キヌア」を使ったフードショップの展開をテーマにしました。
田中
3年生は少人数のグループに分かれて、4年生は単独でビジネスプランを作成します。そして、完成したビジネスプランを携えて、いくつかのコンテストに挑戦してもらいます。華依さんの「きぬあ亭」のプランは「横浜ビジネスグランプリ」でファイナルまで残ったよね。いいとこまでいったけど惜しかった。
華依
そうなんですよ。学生起業家賞の一歩手前のところまでいったんですけど。
田中
最終プレゼンテーションが横浜のランドマークタワーであって、確かあなたは民族衣装を着ていったよね。
華依
はい、民族衣装ってほどではないですけど、ポンチョみたいなものは着ていきました。自分のルーツはやっぱり前面に出した方がいいかなと思ったので。
編集部
華依さんは、どうして国士舘大学の経営学部に入ろうと思われたのですか?
華依
私は生まれも育ちも日本なんですが、両親がペルー人なんですね。高校生のときに、自分がこの先どんな仕事に就きたいかと考えたとき、やっぱり自分のルーツのことが頭にあって、国際関係の仕事をしたいと思ったんです。家庭の中もペルー文化で、スペイン語で育ったから、ペルーはもちろんだけれど、他の国も繋げるような国際的な仕事ができればと思っていました。でも、どんなビジネスをするにしろ、経営の根幹みたいなものがあって、まずはそこを勉強しなければと思ったんです。それで経営学部に進学しました。
田中
あなたは確か「成績優秀奨学生制度※」で入学してきたんだよね。
華依
はい、最初に「推薦選考」で合格をいただいて、その後に「C方式入試Ⅰ期(現大学入学共通テスト利用選抜Ⅰ期)」に挑戦して、成績上位50名の中に入って奨学金をいただくことができました。4年間、授業料が免除になったので助かりました。
編集部
先生の目から見て、華依さんはどんな学生でしたか?
田中
非常にアグレッシブというか、積極的な人でしたね。ポジティブの塊みたいで、向上心もあるし。ビジネスプランを作るときでも、自分で目標を立てて、それに向かってちゃんと努力をしていく。目標設定もうまかったし、成果もきちんと出していたので、素晴らしかったと思いますよ。
編集部
逆に、華依さんから見て、先生はどんな先生でしたか?
華依
ビジネスプランを作っているときは、もうけちょんけちょんに言われて、いろいろダメ出しされるし、アイディアも出てこなくて、けっこう辛かったですね。でも、先生はいつもよく話を聞いてくださって、相談にも乗ってくださいました。すごく親身にお話を聞いてくれたし、でも、言うところはしっかり言ってくれるし。飴と鞭の使い手ですよ、田中先生は(笑)。
田中
いやいや、そんなに上手じゃないですよ(笑)。

思い出に残っていること

田中
華依さんは3年生のときにゼミ長をやっていたよね。
華依
はい、ありがたいことに先生に任命していただきました。
田中
あれ? 私が任命したんだっけ?
華依
そうですよ。メールでゼミ長になってくださいって言うから、「あ、はい! やります」って。
田中
うちのゼミは3年生と4年生が合同で学んでいて、4年生の取りまとめも3年生のゼミ長がやるんですよ。
華依
そうなんです。だから、目上の人へのお願いの仕方とかも学べたり、ゼミの代表として人前に出ていく場面もあって、それはものすごく勉強になりました。
田中
華依さんは、「世田谷まちなか研究会」の活動にも参加していたっけ?
華依
やりました。東京都市大学の二子玉川夢キャンパスで。
田中
「世田谷まちなか研究会」というのがあって、世田谷区にある7大学が集まって、各大学の活動を互いに発表しあったり、学生同士が交流しあう活動があるんです。そういうときの取りまとめもゼミ長の役割です。
編集部
田中先生のゼミは、何人ぐらい学生がいたのですか?
田中
華依さんの代は8名で少なかったよね。一年先輩が20名弱で、一年後輩が16名いたかな。
華依
私たちの代が少なかったのは、先生が学外派遣研究員制度を利用するご予定があったからですよね。半年間は不在になるけど、それでもいいならっていうのがゼミ生募集の条件でした。
田中
研修旅行にもいったよね。3年生のときは沖縄に、「ぬちまーす」という塩づくりの会社を見にいった。
華依
そうそう、「ぬちまーす」。懐かしい! とても暑かった。
田中
研修旅行は、地方で頑張っている会社を見にいくという目的で、毎年ゼミ生と一緒にいくんです。4年生のときは北海道にいったよね。
華依
札幌から入って、南に下っていって函館までいき、そこで「ラッキーピエロ」っていうハンバーガーチェーンを見学しました。
田中
「ラッキーピエロ」は函館の地域No.1ハンバーガーチェーンで、函館では右に出るものはいない存在なんですよ。王さんという面白い経営者がいて。函館に14店舗あって、でもなぜか札幌の方には出ていかない。
華依
王さんのお話を聞きながら、ハンバーガーを食べましたよね。ゼミ旅行って、全部学生が自分たちでアポイントを取るんです。
田中
そうそう、毎年ゼミ生が企画して、訪問先の会社にアポイントを取って、お願いしますって。旅の行程もみんな自分たちで作るんだよな。
華依
そう。お手紙を書いて、電話して。わ、懐かしい。
田中
どこにいきたいかというのもゼミ生が決めて。ただ、見学先の会社を探すとき、ここはちょっと面白くないんじゃないとか、こちらからアドバイスはしましたけど。
華依
あ、確かに言われました。そこはいいよ。こっちの方が面白いんじゃないって。でも、基本は全部ゼミ生なんで、行程表なども自分たちで作りました。あれ、誰がやったんだっけ?
田中
3年生のときはゼミ長なんだから、あなたでしょう。
華依
あ、そうか。私かもしれない(笑)。
田中
それから、ここ2年ほどはコロナで中止になっていますが、華依さんの頃は「卒業祝賀会」というのを開いていたんですね。卒業生と次の4年生と、新しく入るゼミ生と、OBやOGも来てくれて、みんなで卒業のお祝いをするんです。華依さんのときはどこでやったっけ。
華依
私たちのときは新宿の大きなカラオケボックスでやりました。みんなでキレイな格好して、ご飯を食べて、最後に卒業生が感動のスピーチをする……。先生に記念品として日本酒とおちょこをプレゼントしましたよね。
田中
あ、もらったな。名入りのおちょこ。最近はそういうのができなくなって寂しいですね。みんなで集まれないから。研修旅行にもいけないし。
華依
あー、そうか。残念。
田中
ああいうのが、繋がりになるんですけどね。同期とか、先輩、後輩の。もうちょっと経って、コロナ感染が収まったら、ぜひともまた再開したいです。

卒業後の進路について

編集部
華依さんは国士舘大学を卒業後、いまの会社に就職されたんですよね。現在はどんなお仕事をされているのですか?
華依
いま勤めている株式会社日新は、国際総合物流企業です。国内の輸送や倉庫業務もやっていますが、メインは海上や航空での輸送で、船を使ってアメリカに輸出したり、欧州から食品を輸入したりするときの輸送業務をやっています。私は航空機や船舶の手配とか、日本に品物が到着してからの税関手続きとか、そういう業務に携わっています。簡単にいうと“貨物の旅行代理店”という感じですね。
田中
日新さんは、国際物流の業界では国内で大手だよね。華依さんはどんな部署にいるの?
華依
私がいまいるのは航空部といって、航空貨物を専門に扱っている部署です。ただ、当社はワンストップ営業というのをやっているので、お客様がやりたいことには何でも対応しています。航空部だけど船で荷物を運びたいとおっしゃれば、船便を手配して、お客様に寄り添う形でお手伝いします。基本的には全部です。航空の輸出入、海上の輸出入、何でも対応できますね。
田中
クライアントベースのビジネスですね。新規開拓の営業みたいなこともやるの?
華依
主なクライアントは前からお付き合いのある会社ですが、新規の開拓をすることもあります。たとえば食品関係の展示会に出かけて、海外からの出展者に日本に輸入しませんかと話を持ちかけたり、海外に輸出したいと考えている日本のお客様には、ご希望をうかがいながら最適な輸送方法をご提案したりしています。
田中
提案型の営業だよね。
編集部
就職活動をしているときは、田中先生に相談しましたか?
華依
しました。なんかいい会社ないですかね、先生って。もともと国際物流には興味があって、3年生のときには物流会社でインターンもしました。自分で会社を調べたり、先生にお聞きしたりして、縁があっていまの会社にいるという感じです。
田中
国際物流の企業に絞って、就活したんだっけ?
華依
はい、国際物流だけです。
田中
何社ぐらい受けたの?
華依
私は15社ぐらい受けました。対象企業を絞っていたので、普通の人より少ないかもしれませんね。
編集部
いま、お仕事をされていて、楽しさや面白さを感じることはありますか。やりがいみたいなことでもいいですが。
華依
あ、それはあります。私の部署が主に扱っているのが食品なので、身近じゃないですか。自動車の部品なんかだと、どこに使われているのか分からないけれど、食品だから目に触れるところに置かれていることがあります。セレクトショップの店先などで、自分が扱った商品を見かけると、「あ、これ、私が輸入したんだよ」って、言いたくなっちゃいますね(笑)。消費者の生活に直結しているところをお手伝いしているので、社会に貢献できているなと実感できます。それがいちばん面白いことですね。

いまに生きる大学の学び

田中
食品を輸入するのって、たいへんでしょう。
華依
そうですね。たとえば生ものを扱う場合は温度指定みたいなものがありますから。こういう温度帯の物は、こういう梱包をして輸送するとか、ドライアイスはどれくらい入れなければならないとか、お客様とご相談しながら最適な輸送方法をご提案しています。
田中
輸出入に際しては国によって規制もあるからね、いろいろ詳しく知っていないと。
華依
そう、日本の輸入規制は厳しいですね。たとえばワインとかシャンパンなどは添加物の規制があるので、その検査に合格した証明書がないと輸入できません。チョコレートやナッツ類なんかも着色料などの規制が厳しいですね。そういうことをお客様にきちんと説明し、分かってもらった上で輸送する必要があります。
田中
そういうことは、普段から勉強して知識として持っていないとだめだよね。
華依
そうですね。知識もだけど、調べ方を学ぶっていうことも大切かな。
田中
ああ、何をどう調べなきゃいけないかということね。
華依
そう。分からないことがあったとき、どこに聞けばいいかとか。初めて自分が手配する商材だと、どういう書類が必要なのかとか、どこの窓口や担当部署に聞けばいいのかとか、それすら分からないことがあるんですね。あとは実績を探しますね。過去に同じような商品を輸入したケースを調べてみて、調査をするということも大事かなと思っています。
田中
誰に聞けばいちばん早いかとか、そういうネットワークもあるでしょう。この人に聞くといろいろ分かるとか。
華依
そうそう。社内でもありますね。社内のネットワークは本当に大事!
編集部
そういう調査をするとき、大学での学びが役立っていると感じることはありますか?
華依
それはありますね。3年生のときに作ったビューティサロンのビジネスプランは、それこそ調べ物の塊でした。まず、エステサロンってどうやって作るんだって、そこから始まって。お店の立地も考えなければならないし、どんなサービスを提供するのかとか、分からないことだらけでしたから。
田中
機材や備品も揃えなければならないしね。どこから仕入れるのかとか、いくらぐらいかかるのかとか。ホームページで検索するとき、キーワードをちゃんと入れないと、なかなかいい情報にいきあたりません。学生はそういうコツを知らないので、検索の仕方とか、ここを調べればいいよって、そういう大切なポイントはゼミの授業の中でアドバイスをしました。
華依
そう、一緒に先生と検索しましたよね。ゼミの授業では自分の進捗状況を報告するんですけど、そのときに資料が的外れだったりすると、こういうふうに検索したらいいよとか教えてくださいました。ああ、そうやって調べるのかぁと、すごく勉強になりました。
田中
調べ物って難しいじゃないですか。どこをあたればいいのか、誰に聞けばいちばんいい情報が得られるか、そういったことはある程度知識がないとできません。何事も経験なので、そのあたりのことが分かってくると、いい情報にいきあたるので、仕事もうまくいきますね。
華依
会社もチームで動くので、ゼミの中でグループのメンバーと一緒に協働した経験も役立っていますね。人間関係の築き方って大事だなぁと、つくづく思います。
田中
どこにいても、何をやるにしても、まずは人間関係だからね。さっきの調べ物の話でも、知っている人に聞けばいちばん楽だから。大切なのは人間関係じゃないですか。
華依
はい。親しい間柄の人だと冗談まじりに「ちょっと教えてよ」って気軽に聞けるじゃないですか。そういうことができるのも、普段の人間関係があるからですよね。人間関係の構築って、やっぱりいちばん大切かも。
田中
教えてくれる内容も違ってくるからね。親身になって対応してくれるときと、おざなりに対応されるときがある。あまり親しくない人だと、聞いても「知らないよ」といわれることもありますからね(笑)。
編集部
華依さんは、なぜ田中ゼミを専攻しようと思ったのですか?。
華依
3年生になる前にどこのゼミに入るかを選択するんですが、当時、田中先生のゼミは厳しいことで有名だったんですよ。厳しくて、人気がないって私たちのときには言われていました(笑)。でも、私はビジネスを学ぶなら、ビジネスプランを作ることがいちばん勉強になると思っていたので、先生のゼミに入れていただきました。そうしたら、びっくりなんですが、仲のよかった友達がみんな田中ゼミに来ていたんです。ゼミの女子がみんな知り合いで、仲よくて、だからたいへんだったけど楽しかった。ゼミで学んだ経験は、いまの仕事にものすごく生きていると思います。
編集部
田中先生にお伺いしますが、社会人になった田中さんを見てどう思われますか。
華依
えー、それ先生に聞くんですか(笑)。
田中
私も娘が一人いて、就職して6年目ぐらいかな、華依さんよりは少し上ですね。でも、やっぱり社会に出ると「人は育つ」ということを実感しますね。ちゃんと立派なビジネスウーマンになられてね(笑)。
華依
なっていますかね。しっかりと。
田中
なっていると思いますよ。こうやって卒業してから会ってみると、しっかり仕事をしているなぁということが分かります。学生の頃とはあきらかに違います。
華依
えー、嬉しい。でも、今日は本当に楽しかったです。いまでもときどき大学時代に戻りたいなぁって思うことがあるんですよ。それぐらい大学の4年間は楽しい思い出でした。
田中
そう言ってもらえると、こちらも嬉しいですね。
編集部
今日は楽しいお話をありがとうございました。大学での充実した学びの様子をお伺いできたと思います。

田中 史人(TANAKA Fumito)

国士舘大学 経営学部 経営学科教授
●学位、資格/博士(経営学):中央大学大学院商学研究科博士後期課程修了、中小企業診断士
●専門/事業創造、アントレプレナーシップ、ベンチャービジネス

田中 華依(TANAKA Hanae)

2017年度 国士舘大学経営学部 経営学科 卒業
株式会社日新  東京航空第2部第4課