経営学部の確信"

編集部: 今年、経営学部は完成年度を迎えました。この学部では、どのような学びを大切にしていますか?

 現在日本では少子高齢化が進み、人口が減っていくことがハッキリしています。もはや日本のマーケットだけではビジネスが成り立たない時代に来ているわけです。となると、これからは海外に出ていくか、外国との取引きを拡大していく必要があります。グローバリゼーションはもはや必然で、大学教育もそれに対応せねばならないことは明白です。
 ただ、だからといって闇雲にグローバル化すればいいというものでもありません。以前はインターナショナルという言葉が良く使われました。ナショナルは「国」、インターは「間」、つまり国と国を結ぶという意味です。これに対してグローバル化は、地球規模という意味で、国境の概念が希薄になるということです。しかし、現実に世界を見てみると、依然として国家は存在している。ただ、ヒト・モノ・カネの動きが国境を超えているというだけで、国はあるんですね。
 これをどう考えるかというと、グローバリゼーションのひとつの側面に「ダイバーシティ」があります。多様性という意味ですね。世の中にはいろんな人がいる。国を超えると習慣も宗教も違う、多種多様の価値観を持った人がいる。日本人の考え方がまったく通用しないところもある。その違いを認識した上で、お互いを認め合うというのが、ダイバーシティなんです。そして、互いの違いを認めるときに大事なのが、自分は何者かということ。アイデンティティの確立が必要になってきます。
 ですから、私は思うんですが、世界がグローバル化すればするほど、日本人とは何かが問われる。我々日本人はこういう民族なんだということを知ることが大切になってくる。まず、自分たちが大切にしている事、日本人とは何か、それを認識していることがグローバル化する社会では大切で、経営学部の教育でもそこを大事にしてきたつもりです。

編集部: グローバル化した社会で、学生が身に付けなければならないものは何でしょう。

 もちろん外国語の修得は必要だと思います。特に世界共通言語となりつつある英語の修得に重点を置いています。また、専門科目として実戦的な「ビジネス英語」があり、さらに、英語に次いで需要が高まっている中国語も開講しています。基本的には、2カ国語をマスターできるような学びになっています。
 ただ、外国語が上達したとしても、言葉は意思疎通のための手段ですから肝心の話す内容が伴わなければ意味がありません。また日本人は饒舌よりも寡黙を良しとする風潮がありますが、外国の人と話す場合ははっきりと自分の考えを主張できなければなりません。
 今後は、日本だけじゃなく、ヨーロッパでも少子高齢化社会になっていく。となると、必然的にマーケットはアジアに移っていく。巨大な市場がそこには存在しています。インドネシアの人口は約2億5千万人です。フィリピンやマレーシアも発展してきます。こういった国々は、基本的に親日です。日本人のことを好きな人が多い。そういう人たちとビジネスをやっていくとき、大切なのは言葉ではなく、信頼関係です。まず、信頼される人間であることが求められ、そういう意味でも、きちんとした価値観を持つことが大切です。外国語教育はもちろんやりますが、もっと大切なのは人間の中身を培う教育であり、経営学部では4年間、これをしっかりやってきたつもりです。

編集部: 人間の中身を培うために、どんな教育を行っていますか?

 一つ、経営学部の特色として挙げられるのは、1年生の前期でやる「フレッシュマンゼミナール」です。経営学部に入った学生は、まずは全員この科目を学びます。1クラス35人ぐらいの人数で、それを5~6人のグループに分けて、グループワークをやります。基本的に学生が主体的に学ぶ、いわゆるアクティブラーニングなので、教員は授業を進めるための進行役に徹します。
 そこで何をやるかというと、けっこう面白いことをやります。たとえば一回目は「記者会見」ですね。グループの中でお互い自分のことを紹介するんですが、これを記者会見の方式でやるんです。一人が発表して、残りの学生が“記者”になったつもりで質問をします。そして、その結果、その人にどういうイメージを持ったかを、まとめて書いてもらいます。全員について、それをやります。ここで分かるのは、自分が思っている自分と、人が見ている自分は違うんだということ。自分の性格は、自分で思い込んでいるところがあり、他者の客観的な目に映し出すことによって、新たな自分が見えてくる。これが大切なんですね。そしてこれをやると、だいたいみんな仲よくなります。入学したばかりの頃の学生は、友だちができるか、授業についていけるかなど、いろいろ不安を抱えています。「フレッシュマンゼミナール」をやると、不安が解消されるんですね。
 あとは、グループ討論の方法を学びます。たとえば、「自分が世の中に出たとき、社会人として何が必要か」というテーマで、4人ぐらいの専門家の意見を紹介します。それぞれ4人、みんな違う意見です。で、「あなたはどう思う?」と問いかける。自分が大切だと思う意見から順番に並べてもらいます。そして、なぜその順位を付けたのかも説明してもらいます。まずは一人ずつそれを発表して、次にグループの中でディスカッションをして、最終的にはグループ全体の意見としてまとめ、発表してもらう。これも非常にいい学びになりますね。

編集部: グループワークを通して、自分で考える力、発表する力、他人と意見を調整する力を学んでいくわけですね。

 そうなんです。高校までの勉強には、必ず正解があるじゃないですか。記憶するにしろ、計算するにしろ、とにかく正解があって、正解だったらマル。でも、社会に出ると、ほとんどが正解のわからない問題ばかりです。自分で考え、自分で答えを出していくしかないことばかり。だから、自分で考え、自分で解決を見出していく、あるいはグループで意見を出しあって問題解決につなげることが大切な力となるわけです。
 大学では、もちろんいろいろなことを学びます。でも、今の時代は変化が激しいので、学んだことはいずれ陳腐化してしまう。今まで常識だった事がそうではなくなってしまう。そういう世の中で、解を探していくためには、どんなスキルが必要となるか。これを経営学部では「ビジネス人基礎力」と呼んでいますが、そういうことを重点的に学習していきます。学んだ知識は陳腐化しても、身につけた方法は一生、その人の役に立ちますから。

編集部: 中小企業にスポットを当てた、ユニークな授業があるとお聞きしました。どういうものですか?

 それは「優良中堅中小企業研究」のことでしょう。経営学部の特色の一つは、就職を直接視野に入れた学びがあるということです。中でも特徴的な授業が二つあって、一つは「現代の産業と企業」というもの。これは大企業の取締役や経験者の方に来ていただき、話していただくというものです。勤めておられる会社のことや、業界の状況などについてですね。これも学生にとってはいい勉強になります。そして、もうひとつが、本学部の目玉といってもいい「優良中堅中小企業研究」です。
 ご存じとは思いますが、日本には非常に優秀な中小企業が多いんです。ビジネスとしては、大手が参入できないニッチなところで勝負しているんですが、日本や世界でシェアがトップという企業がたくさんあります。ただ、残念ながら、こういう企業は一般にはあまり知られていないんですね。だから、学生も就職先として選びようがない。そこで優良な中小企業を全国からピックアップして、学生に伝えようということで始めたのが、この授業です。
 経営学部の教員のほとんど全員で、手分けして、全国の中小企業を実際に訪問して、経営者にお会いして、インタビューを取って、データベースを作り、「これは!」と思う企業を授業で学生に紹介していきます。1年間で回れるのはだいたい50社ぐらい。これまでに200社ぐらいを紹介してきました。で、年間6名ぐらいですが、実際に中小企業の社長さんに来ていただいて、学生の前で話してもらっています。リアルな話が聞けるので、学生の役に立つし、また、中小企業の方にとっても、優秀な人材の確保はテーマになっているので、学生と企業、双方にとってメリットの大きな授業だと思います。
 こういった取り組みの効果もあるのでしょうか。おかげさまで経営学部の学生は就職率が高いという結果が現れています。教員の方で、実業界にネットワークをお持ちの方がおられるというのも大きいと思いますが、今年でいうと、まだ結果は出ていませんが、就職率は90%台のかなり上に行くと思います。今のところ、この4年間で私どもがやってきたことは、一応結果を出せていると思っています。

編集部: 未来に向けて、経営学部としては、どのようなビジョンをお持ちですか?

 人間が他の動物と違うのは、時間軸でモノを考えられることだと思います。動物は今しか生きていない。人間は3年先、5年先、10年先を考えることができる。これは大切なことです。授業でも、今こういうトレンドがある。じゃ、その先に何が起きそうか、それを考えてみようということをやります。学生の人生にとってもそうで、30才のときに何してる? 40才のときは? 50才の自分はどうなりたいか? ということを考えれば、おのずと今何をすべきかが分かってくる。計画が立つ。計画や目的がないと、人は頑張れませんよ。
 サッカーの本田圭佑は、小学生のときからACミランに入って活躍すると言っていたそうですね。ソフトバンクの孫さんも、自分のビジネスは豆腐で行くと言っていたそうです。豆腐ってなんだというと、一丁、二丁だと。つまり、一兆、二兆のビジネスをやるということですね。周りの人は大ボラ吹きだと思ったらしいですけれど。
 大切なのは、ビジョンを明確に持つこと。そして、ビジョンを形にするために必要なのが、人間としての根本の力です。知識だけではない。自分で考える力、行動する力、友だちと仲よくなる力、ネットワークを築いていく力。こういう力を4年間の学びで、しっかり身につけさせてあげたいと思っています。
 ある銀行の就職講座を開催した時、執行役員の本部長が私にこんなことを言いました。「先生、勉強も大切ですけど、ガッツのある学生を送ってください」と。国士舘大学の学生に企業が期待しているのは、やっぱりそこだと思うんですよ。精神的に強い人間が欲しい。少々のことではへこたれない、ガッツのある人間。ガッツがあれば、一人で外国にも行けますし、友だちもすぐ作れる。そういう力こそが、グローバル化していくこれからの時代、いちばん大切になってくると思います。強い心ですね。それをどう鍛えていくかが、これからの私たちの課題になってくると思っています。

白銀 良三(しろがね りょうぞう)教授プロフィール

●青山学院大学大学院経営学研究科
●専門/経営財務論、ファイナンス論


今年で完成年度を迎える国士舘大学経営学部ですが、

卒業を控えた1期生の皆さんに、

経営学部についての感想などを語っていただきました。

増田 佐奈子
4年生/就職先:マーケティング関連会社

経営学部を志望した理由は?

高校三年生のときに、ちょうど国士舘大学に経営学部が新設されることを知りました。新しくできる学部だから、まだ白紙の状態。自分たちで企画して提案すれば、いろんなこととができるんじゃないかと思って、この学部を選びました。

実際入ってみた感想はどうですか?

入ってみて、本当にいろんなことができました。フレッシュマンゼミナールの中で、イベントを企画したり、3年生のときは学生だけでゼミ紹介をやらせてもらったり、いろいろ自分たちで動けたのがよかったと思います。

一番役に立ったと思える授業は?

2年生のときに受けた「生産管理システム」の授業です。アイドルタイムの活用とか、余っている在庫をどう処理していくかとか、いろいろためになる話しが聞けました。私はマーケティング関係の会社に就職が決まっていますが、就職先で話していても、その授業を受けていたおかげで、ちゃんと話しについていけるんです。

国士舘大学の経営学部のよさを一言でいうと?

とにかく立地がいいですね(笑)。立地がいいから、他大学の人たちとも気軽に交流できる。行動範囲が広がる分、自分の世界が広がると思います。あと、コミュニケーション能力がつくところ。とくに経営学部は、先生や友だちと気軽に話せる雰囲気があって、すごくいいと思います。

在学していた4年間で成長したと思うことは?

1年生で入ったときは友だちができなかったんですけど、2年生のあたりから仲のいい子ができて。ゼミもいろんなことが企画できるゼミを選びました。たとえば、文化祭を企画したり、ゼミ旅行を企画したり、バーベキューは絶対にはずせないとか、いろんなことを自分から企画して、実行できるようになりましたね。

寒川高等学校出身(神奈川県)

石井 雄大
4年生/就職先:警視庁

経営学部を志望した理由は?

僕は高校時代まで野球をやっていまして、スポーツ・武道選考で入学しました。高校のコーチの方が国士舘大学出身だったので、それが志望した理由です。

実際入ってみた感想はどうですか?

2年生まで野球をやっていたんですが、3年生になったときに辞めてしまいました。野球をやっていたときは授業にあまり出られなかったので、みんなに追いつくのがたいへんでした。

一番役に立ったと思える授業は?

自分も「生産管理システム」の授業が役に立ったと思います。就職だけじゃなくて、自分の普段の生活にも考え方を活かせる授業だなと思いました。

国士舘大学の経営学部のよさを一言でいうと?

経営学部だけではないんですけど、国士舘大学は、就職活動に大学として力を入れているところがいいと思います。国士舘大学のためだけに開かれる合同説明会があるんですが、バイトの先輩がびっくりするぐらい、いい企業が来てくれるんです。

在学していた4年間で成長したと思うことは?

野球を辞めるときは結構悩んで、両親とか高校のコーチに相談しましたが、自分の意志で野球を辞め、勉強することに決めました。最初は野球ばかりやっていたんで、4年間である程度、常識人に近づけたのかなって思っています(笑)。

水城高等学校出身(茨城県)

阿部 崇子
4年生/就職先:都市銀行

経営学部を志望した理由は?

父が会社を経営していて、経営学部に進みたいなと思って受験して入りました。

実際入ってみた感想はどうですか?

国士舘大学の経営学部に入って本当によかったと感じています。勉強の面でも部活動の面でも先生方のサポートが手厚く、助かりました。部活は国際ボランティア部というところに入っていました。他大学の学生と連携して、国内や海外のさまざまな地域でボランティア活動をやりました。

一番役に立ったと思える授業は?

「優良中堅中小企業研究」という授業が一番印象に残っています。企業の方を招いて、実際に会社のお話を聞けたのがよかったです。就職活動にもつながったし、自分の選択肢も広がったので、役に立ったと思います。

国士舘大学の経営学部のよさを一言でいうと?

精神的な部分での成長ですかね。社会に出ても通用するような、心の部分を鍛えてもらえた気がします。経営学部としては、実社会に出て生きるものが学べたところが良かったと思います。

在学していた4年間で成長したと思うことは?

成長というのとはちょっと違うんですけど、大学でいちばん得られたものは、仲間だと思います。社会に出てからも助け合える仲間が、国士舘以外にも、関西にも九州にも、海外にもできたことがよかったと思います。

                                晃華学園高等学校出身(東京都)

森満 貴博
4年生/就職先:大手小売りチェーン

経営学部を志望した理由は?

自分は指定校推薦で大学は受験しようと決めていました。高校の頃は教員免許状を取得したいと思っていたので、国士舘大学の経営学部はそこにも力を入れているということで、経営学部に進みました。

実際入ってみた感想はどうですか?

よかったと思います。自分は洋服が好きで、将来的には自分で店を出したいと思っています。その夢のために、ここで学んで来たことはたいへん役立つと思います。

一番役に立ったと思える授業は?

自分は「競争戦略論」という授業がよかったと思います。2年生のときに受けた授業ですが、洋服屋をやりたいという夢があるので、授業で学んだことは今後の役に立つと思います。

国士舘大学の経営学部のよさを一言でいうと?

キャンパスの中にトレーニングジムのある施設があって、勉強だけではなく、体を動かせるところがいいですね。経営学部としては、授業の内容がとても実戦的で、実のあるものだったと思います。自分の将来の夢に活かせることがたくさん学べました。

在学していた4年間で成長したと思うことは?

活字を読むようになったことが成長だと思います。教科書を読むようになったのがきっかけで、そこから新聞を読むようになって。高校まで読書は大嫌いだったんですが、今は本が趣味になるぐらい読むようになりました。スマホやネットだけでなく、活字を読むことで、文章を読み解く力が付いてきたと思います。

                                  東京高等学校出身(東京都)