テル・グッバ出土、初期王朝時代の彩文土器
バグダードの北東、ディヤラ川中流に建設されたハムリン・ダムによる水没地域の遺跡の発掘調査が、1977年から1984年にかけてイラク政府や日欧米の調査隊によって行われた。東京都がすっぽりおさまるくらいの地域の中で、約70遺跡の調査が行われている。国士舘大学調査隊(隊長:藤井秀夫)はダムサイトに隣接した地域にある、テル・ソンゴルA,B,C、テル・グッバ、テルル・ハメディヤートの5遺跡を1977年から1980年にかけて発掘した。
ハムリン・ダムの水没地域は小さな村が点在し、農業、牧畜で生活が営まれている地域である。豊かな土地を背景に新石器時代からの遺跡が点在している。パン焼き竈でパンを焼き、日干し煉瓦の家に住み、家畜を飼い、農業を営むという発掘当時のこの地域の村の様子は、まさに新石器時代からほとんど変わっていないと思われる。むしろ新石器時代には幾何学文や動物文が描かれた土器や土偶が製作され、石敷きがあるなど、高度な文化が営まれた様子がわかる。また前3000年頃には突如として80m規模の楕円形の建物が出現する。それがテル・グッバである。
- テル・グッバ出土、初期王朝時代の彩文土器
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