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概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?26著者(吉田)宛の武田泰淳氏の書簡が採録されている。(15)相馬愛蔵・黒光。相馬夫妻は、東京本郷に小さなパン屋中村屋を開業、一九〇四(明治三七)年にはクリームパンを発明した。一九〇七(明治四〇)年には新宿へ移転、一九〇九(明治四二)年には現在地に開店した。中華饅頭、月餅、インド式カリー等新製品の考案、喫茶部の新設など本業に勤しむ一方で、絵画、文学等のサロンをつくり、荻原碌山、中村彝、高村光太郎、戸張弧雁、木下尚江、松井須磨子、会津八一らに交流の場を提供し、「中村屋サロン」と呼ばれた。(16)国士舘設立趣意書(一九一七年)の「先生及講座時間」によると、すでに渡辺は、思想問題の臨時講話を担当している。一九一九(大正八)年の国士舘落成式および開会式では、芝中学校校長として、渡辺は祝辞を述べている。また、一九二一(大正一〇)年七月に、創設された「財団法人国士舘維持会」に名前は見当たらないものの、同年築地精養軒で行われた「国士舘相談会」に撮影された写真に、渡辺の姿が写っている。(17)国士舘の設立趣旨冒頭は、このように述べられている。「物質文明の弊日に甚だしく、人は唯だ科学智を重んじて、徳性涵養を忘る今日に於て教育とは唯だ科学智の売買たるのみ此の如きは唯だ物質文明に終る、精神文明なくして国家豈に一日の安きを得んや、蓋し精神文明は物質文明を統一指導するものなり」。