ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?188一九五四(昭和二九)年五月三日、信續に緑綬褒章が授与された。御年七五歳の折の栄誉であった。これは宮内省林野局に勤めながら、地域振興のため、産業組合精神に基づく世田谷信用販売購買組合を創設し、以来三三年間、組合長および理事長を任じ、併せて地域内中小企業の育成と地域住民の生活向上への尽力が認められたのである。次いで、一九六二(昭和三七)年一〇月一日の世田谷区制三〇周年記念式典において、世田谷区で最初の「名誉区民」の称号が授与された。これは、第三回定例区議会で決議され、実施された名誉区民条例による表彰で、区政の発展に著しい功績のあった区民に贈られる称号であった。永い間ひたすら郷土の発展を願い、力を尽くしてきた身として「最高の贈り物」と喜んだという。信續の性格からして先の緑綬褒章よりこちらの方が嬉しかったのではなかろうか。世田谷名誉区民第一号の称号を受ける頃までは、元気でいた信續であったが、やはり寄る年波からか、その後は体調をくずし、一九六四(昭和三九)年一〇月七日、黄泉の客となった。享年八五歳の大往生であった。戦後、国士舘では、勤労青年にも門戸を開くべく、一九四八(昭和二三)年に至徳高等学校定時制商業科(新制四年制)を、一九五三(昭和二八)年に国士舘短期大学経済科二部(二年制)を設置している。両校は共に夜間定時制で、昼間に職業をもつ者が多く入学している。こうした地域住民を支える姿勢は、戦前の国士舘商業学校、ひいては大場信續の精神が受け継がれたものと言えるのではないだろうか。