ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士、海を渡りて171男たちが炭火を調整し始め、辺りに煙が立ち込めてくると串刺しの肉がセットされ、焼き場いっぱい肉で埋め尽くされた眺めはまさに壮観であった。その後、焼き上がった肉は会場へ運ばれビールと共に平らげられてしまった。南米での焼肉はしっかりした歯ごたえと岩塩だけの味付けという豪快さが持ち味である。戦績はさておき、シュラスコパーティーと共に忘れられない南米大会であった。永住権渡伯後何年目だったか、私のビザは三か月を更新して六か月の滞在が認められる観光ビザから、一年を更新して二年間滞在できるテンポラリビザへと変わっていた。当初から心の内では永住覚悟の赴任だったので永住権取得関連の情報収集には気を配っていた。何回目かのテンポラリビザ更新のとき、いつも手続きをしてくれる弁護士が「今年は不法滞在者に永住ビザを出す年だ」という。ブラジルでは正規の入国手続きを経ずに密入国した不法滞在者が多く、パスポートもIDも無く正規の職に就く事も出来ずに地下に潜り犯罪社会を構成している。政府はこのような不法滞在者に対し一〇年に一度、永住ビザを発給して基本的権利を与え正規の職に就かせ、犯罪社会を少しでも減らそうとしている。今年はその年だから、ビザの更新期限が来ても更新手続きをせずに不法滞在者になれば永住ビザを貰えるはずという。さすがに考えてしまった。日本の国士舘にこんな説明は通りそうもない。結局正規の更新手続きをし、並行して永住ビザの申請もした。案の定、数か月後に不法滞在者に対し永住ビザが発給される事となった。私も弁護士を通じて申請を出すと、法務局から「あなたは不法滞在者ではなく正規の更新手続きをしているので出せない」という。この国での生き方をまた一つ勉強した。小学校入学ベレン支部でもそうだったが、サンパウロ支部でも生徒は殆んどブラジル人で日本語は通じないので、拙いポルトガル語を駆使して指導していた。しかし自己流では限界を感じ始めていた頃、支部主催の空手道大会を開催した際に地元バルゼン・グランデ・パウリスタ市の市議会議員で地元小学校校長の村山シゲアキ氏を招待したことから村山校長と親しくなり、ある時小学校を訪ね入学を願い出た。村山校長は驚かれたが快く許可を出してく