ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?162来なかったが、ブラジルに点が入ると街中に歓声が湧き起こると同時に花火と爆竹が鳴り響き、逆に点を取られると彼方此方から大きな悲鳴と叫び声が聞こえるので実況の内容は分からなくても点数だけは分かった。このワールドカップでのブラジル代表は、後に日本でも活躍したジーコをはじめ歴代最高のチームと呼ばれていたが、このイタリア戦で敗れてしまった。カランゲージョとタカカ武道館前のバス通りをはさんだ真向かいにはレストランがあり稽古の後に生徒たちがビールを飲んでいた。誘われることもあったが仕事場である武道館の真ん前で酔う気にはなれず一、二杯付き合う程度にしていた。休日の昼はセルピーニャ(ビール)を飲みながらカランゲージョ(泥カニ)を食べるのが楽しみであった。日本で食べる淡白な蟹と違い独特な味わいがある。私はヘイ・ド・カランゲージョ(カニの王様)という店が好きで通っていた。作家の開高健さんもその著作「オーパ!」で紹介しているカニの専門店である。店内には古ぼけた作業台のような四人掛けの木製机が並んでおり、注文すると茹でた熱々のカランゲージョが丸ごと机の上に無造作に盛られ、木の棒を使い直接机の上で殻を叩き割り指や歯を使ってかぶりつくのである。ビザの切替えで日本に帰国する晩、空港へ行く前に山科先生の家でカランゲージョを食べることになり、市場で買ってからタクシーで先生の家へ戻る途中で、カランゲージョを結んであった紐が切れて二〇匹くらいの元気なカランゲージョがタクシーの中で逃げ出し、車の中であっちこっち挟まれながらカランゲージョを追いかけたのは懐かしい思い出である。タカカとは街角の屋台で売られているインディオから伝わる伝統料理である。街角でよくみかけていたが、屋台で売られている変わった食べものだったのでなかなか手をだせなったが、ある日思いきって注文してみた。マンジオッカという芋を絞ったトゥクピーという黄色い汁にゴマという同じくマンジョーカで作ったドロっとした澱粉を入れ、噛むと口の中が痺れるジャンブーいう葉っぱと干しエビを加えたスープのような食べ物。木の実をくり抜いて作ったお椀のような容器に入れてすすりながら食べる。好みでピメタ・ド・シェイロという香辛料を加える。最後に何か調味料を入れていたので瓶を見たら「AJINOMOTO」と書いてあったので思わず笑っ