ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士、海を渡りて159の形相が変わり次の瞬間、右の肘打ちを私の頭部に打ち込んできた。私は蹴り技を繰り出した後、連続した逆突きでカルロスの懐に入っており、カルロスの肘打ちは技がつまり肘の先端ではなく小手の部分が私の頭部に当たった。続けて左の肘打ちが打ち込まれてきたので体を相手にあずけてかわし、そのままつかみ合いとなり、もつれて互いに倒れこんでしまった。互いに起き上がったが、回りの練習生たちは指導員同士の組手に注目し、動きを止めてしまっていたのでカルロスは組手稽古を終わらせ、整列させ稽古を終了させた。その日、練習生が全員帰り、着替えをしている時、カルロスが私に話しかけてきた。稽古中に蹴り技を頭部に受け冷静さを失ってしまったことを反省していると、私に打ち明けてきたのだ。ポルトガル語が不十分な私に理解出来るようにゆっくりと話すカルロスの態度に誠意を感じ、この時から私とカルロスは互いに信頼関係を築けたと思っている。肘打ちという技は現在の空手道の試合では有効技としては認められず、普段の稽古においてもコントロールが難しく危険な技であるため型稽古以外で使うことは少ない。しかし、反射的にこの様な技を繰り出してくるというのは、空手道をより実戦的にとらえ稽古のなかで身に1983 年4 月 ベレン支部武道館増築後の空手道大会(左手前よりカルロス指導員、筆者)