ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

ページ
158/220

このページは 国士舘史研究年報第8号 の電子ブックに掲載されている158ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?156生、車田、伊井ともう一人現地雇いの指導員カルロスの四人で、月曜日から金曜日まで七時~八時の指導員稽古、九時~一〇時のレッスン、一六時~二〇時まで一時間ごとの四レッスンをシフトを組んで指導していた。毎週木曜日の午後は地方のカスタニアールという町の公民館のような場所を借りて出張指導も行った。毎朝七時からの時間は町田先生による指導員稽古で、ベレンの他流派道場の指導員も稽古に参加していた。熱帯地域での稽古は気温も湿度も高く、とにかく発汗がはげしく道着はもちろん帯からも汗が滴るほどだ。車田指導員は既に半年以上熱帯で稽古していて体が適応したのか平気な顔で黙々と体を動かしている。毎回の指導員稽古が終わると疲労困憊した体を引きずり道場並びにある日系の食料品店で冷えたココナッツ椰子を買い求めた。店主で日系人の瀬戸さんが大刀でココナッツの上部を切り開けてストローを添えてくれ、その場でいっきに飲み干すと体中にココナッツジュースがしみわたりホッと一息生き返る。着任した当初はとにかく暑さとの闘いで他のことはあまり考えられず体もいっきに痩せていった。アサイ熱帯のベレンは普通に生活しているだけでも疲れるところ、稽古と指導でいきなりバテテしまった。町田先生からアサイを食べたら元気になると教えてもらい、早速食べたところ翌日には元気が出てきた。それからは疲労が重なりしんどい時は、近所でアサイを買って食べることにしていた。アサイはアマゾン特有のヤシ科の果物で鉄分が多く含まれており、最近では日本でも評判になっている。直径二㎝ に満たない位の大きさで、殆どが種で回りが薄皮のブルーベリー色の実でアマゾン河流域の湿地帯に茂っている。妊婦が食べると胎児が成長し過ぎて出産出来なくなると云われているほど栄養価が高く、熱帯雨林の厳しい環境下で労働する現地の人たちには欠かせない食べ物である。アサイは普通の商店では売られておらず、アサイ専門の店で午前中だけ売られていた。街のところどころにバラック小屋のような売店があるが必ず開店しているとは限らず開店しているときは店の前に四角の赤い旗が出ている。売店ではアサイの実を、中が攪拌機になっている