ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?154に所在し生活には大変便利なところである。ベレン市中心街の街路樹は樹齢三〇〇年を越すマンゴー並木で雨季(一二月~五月)になると街中のマンゴーが実をつけ、風に吹かれて実を落とし街中がマンゴーの香りで覆われる。この時期はバスに乗っていても屋根にマンゴーがゴトンと落ちると運転手はバスを止めて拾いに行くが乗客は文句を言わない。商店やオフィスの前にマンゴーが落ち人々が拾いに家から飛び出す光景は南国らしく微笑ましい。私も早朝早起きしてマンゴーを拾ったこともあったが、子供達がマンゴー拾いをして小遣い稼ぎをしている邪魔をするような気がして止めた。マンゴーの季節には、一日中マンゴーの木の下で、落ちてくるマンゴーを売って暮らしているような者も現れる。ベレンの気候は、雨季では三〇度~三二度くらいで湿度は八〇~九〇%と高温・多湿だが、日中にスコールという三〇分くらいの一時的な雨が降り気温が下がる。植物が多く茂っているため日陰に入ると涼しく夕方は風もありしのぎ易い。このような気候なので普段は短パンにビーチサンダル、上はTシャツかランニング、くつろいだところでは上半身は裸ですごしていた。しかし、日中の日差しは強烈で、昼時間一二時~一四時ころは特定の商店街以外は店を閉めている。着任直後、そうとは知らずに昼に買い物に出たところ、探しているものを売っている店はどこも閉まっており二時間近く炎天下を探し回り、結局諦めて帰ったが熱中症のようになり寝込んでしまったことがあった。武道館二階には町田先生が家族と暮らしていた。町田先生にはベレン滞在中の生活全般に渡りお世話になり、その後一九九五(平成七)年に日本へ転勤した後も空手道を通じて交流を続けている。町田先生は日本大学卒業後、一九六八(昭和四三)年「あるぜんちな丸」で農業技術者としてブラジルへ移住、その後、学生時代から志しを持っていた空手道を極める道に進んだ。NHKはこの「あるぜんちな丸」で渡伯した乗船者をその後一〇年ごとに追跡取材し、移民ドキュメンタリーシリーズとして「移住三十一年目の乗船者名簿 前編・後編」(二〇〇〇年三月放映)まで制作してTV放映しており町田先生も毎回出演している。町田先生は何かと食事に誘ってくださり、武道館二階の自宅でビールや地酒ピンガを飲みながら先生の話を聞くのも楽しいひと時であった。休日にはベレン名物のカニを食べに行ったり、先生が会員となっている軍隊将校クラブのプールサイドでビールを飲んだりした。町田先生にはブラジル人の奥様との間に四人の子供た