ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

ページ
143/220

このページは 国士舘史研究年報第8号 の電子ブックに掲載されている143ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

国士舘史研究年報第8号

硬式野球部OB職員として141で、そして一三歳から一五歳までとなっていた。各部門で地区大会、州大会及び全伯大会への出場を目標に熱を入れてプレーしている。そしてこの大会が日系移民の親睦にも大いに役に立っている。今回は日本少年野球チームの来伯で、各地の試合球場周辺はかなり盛り上がっていた。八月一日、カンピーナス・インダイアトゥーバ球場でのスドエステ選抜軍を皮切りに、オエステ選抜軍と合わせて二試合、サンパウロ市ボンレチーノ球場でのサンパウロABC軍、カピタル選抜軍との二試合、マリンガ市マリンガ球場でのパラナ選抜軍と二試合、プレデンテ市球場でのプレデンテ選抜軍と二試合などと、一〇日間連日移動しながらの試合であったが、子供達は良く頑張り、敗け知らずに一〇連勝することが出来て内心ほっとしていた。ブラジルの少年達は、日本の少年に比べ体力に恵まれているので、練習方法を改善し技術のレベルアップをはかれば、かなり強いチームが出来あがると思われた。しかし当時は、ブラジル野球界には優秀な指導者が不足しているため地方チームのレベルアップはなかなか困難のようであった。少年達は、一生懸命プレーをしているにもかかわらずポイントをついた指導がなされてないため、練習も試合も、しまりがない野球になってしまっていた。また、礼儀作法や精神面の指導もまだまだ出来ていないチームが多かった感をもちながらの転戦であった。次の球場への移動は専用大型バスで動いたが、バスから見える、はるかかなたの地平線や広大な牧場、コーヒー農園などが長時間移動の私達を和ませ飽きさせなかった。移動中の子供達との話及び行動を見ているとおもしろい。地方遠征では子供達は民宿(ホストファミリー)した。ある少年は次の町へ移動のバスに乗る前にホストファミリーのお姉さんに別れのキスをされ、バスの中でそのことを興奮気味に話していた。また、大人顔負けのことを話す少年の部屋へ行ってみると、一人で風呂に入るのが怖いと見えて、二人で入り並んで顔だけ出していた少年もいた。ツインベッドであるのに、寂しいから片方のベッドに二人で寝ていた少年もいた。やはり幼い小学生であり、かわいいものである。子供達にとって私は教育実習の先生の様な存在であったように思えた。すっかり溶け合ってしまったので兄の様な存在でもあった気がする。遠征中、健康を損ねた子供も若干いたが全日程を終え、サンパウロに帰ってきた時は全員元気であった。