ブックタイトル国士舘史研究年報第8号

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概要

国士舘史研究年報第8号

国士舘史研究年報2016 楓?130静かに聞いていた。心に残る体験であった。教課外活動では、福祉施設で実施されている行事を取り入れた。季節行事の餅つき、七夕、ゲートボールなど生徒が計画・立案し、実施した。就職後、福祉の現場のレクリエーションで活用できるよう工夫した。餅つきは、生徒の体験者が少なく、近隣の高齢者の参加をお願いして生徒と一緒に実施した。最初は興味をしめさなかったが、餅米を蒸し、杵でつき、餅丸めなど作業をするうちに、高齢者との話し声や笑顔が出てきた。七夕会では、校庭にある笹竹を切り、こよりを縒り、短冊を下げた。短冊には、「卒業ができますように」「彼女ができますように」「車の免許が取れますように」などの願い事が書いてあった。救急法では、一次救命法及びAED使用法を実施した。専門学校で救急訓練―今年七月非医療従事者の使用が可能になったAED(自動体外式除細動器)を使用した救急講習会が一五日、太宰府市御笠の国士館大学福祉専門学校で実施された。AEDとは心臓が何らかの原因により細かく動き始めて、体に血液を送り出すことができない状態になった際に、電気ショックを与えて正常な状態に戻す機械。民間にはまだ普及していない。講習会には生徒や教職員約五十人が参加。参加者は「予想以上に簡単ですね」と驚きながら体験していた。(二〇〇四・一一・一五 太宰府広報より抜粋)研修旅行では韓国日系婦人保護施設「慶州ナザレ園」を訪問した。園は終戦後韓国に残された日本人女性の一時避難場所であったが、後に日本人独居老人の収容施設になった。園内を見学すると、居室はすべて和風の個室で、日本の写真や置物が飾ってあった。日本の身元引受人がいない人、韓国国籍者や死亡扱いなど日本に帰れない人が入園されていた。A生徒と私は、八〇歳代の女性から話を伺った。「京都出身で韓国男性と結婚するも死別し、独居生活が困難なため入所したが、最初は寂しくて日本に帰りたかった。当時は、園のそばにある高台から日本列島を眺めて泣いていました。しかし、日本に一時帰国した人の話では、最初は歓迎してくれるが遠慮しながらの生活より、住み慣れたナザレ園の生活の方が楽しいと聞き、私は近親者がいないので日本には帰りません」と話された。園では日本の歌を歌っていると聞いたので、「北国の春」「故郷」をみんなで合唱すると、入所