ブックタイトル国士舘史研究年報第7号

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概要

国士舘史研究年報第7号

国士舘史研究年報2015 楓?148レスリングの差を充分に研究し、更にグレコローマン型と自由型の区別を十分に研究して柔道家始め多くの人が是を行ひ、次回アムステルダムの大会にはフルチーム(七人)を出すやうにすれば大に勝算あると思ひます。(中略)殊にキヤツチ・アズ・キヤツチ・キヤンは、グレコ・ローマンに比し、日本柔道家には特に適当かと存じます」(内藤克俊「キヤツチ・アズ・キヤツチ・キヤンは柔道家に最も適当」〔『オリムピツクみやげ―第八回巴里大会記念』大阪毎日新聞社、大正一三年一〇月三〇日〕)と分析しながら、起居を共にし厳しいトレーニングを重ね、内藤を最後まで支えた会田に対し「会田君の御親切なマネージメントには感謝せずに居れません」と感謝の念を綴っている。同じく会田もこのオリンピック大会を受けて、柔道とレスリングの違いを詳細に分析しつつ、柔道の世界発展の可能性について述べている。一言にしていへば、柔道は通常着にての真剣勝負より発達し、レスリングは全然裸体にて肉と肉との戦ひであり、然も一定の形によつて発達したるゲームと存ぜられ候(中略)柔道とレスリングとはその出発主眼が相違致し居り候ためその優劣等は全然いはざるを可と存じ候。只吾人の柔道を基礎としてこれを研究せば、必ずこの国際競技に出場しても優秀なる成績を得らるべしとは前にも申したる如くに御座候。又柔道の世界的発展もこれ等を同化して初めて望むべきものゝやうに感ぜられ申候。吾々柔道の真の修業者は、如何なる場合何者に遭遇致し候も飽迄平静、変に応じて最善の方法手段を講じ善進出来る丈けの覚悟と修業とが必要とする以上、柔道の健全なる発達進歩は此の意味に於て深くレスリングを研究して初めて達せらるものと感ぜられ申候。(後略)(会田彦一「柔道とレスリング」〔前掲『オリムピツクみやげ―第八回巴里大会記念』〕)会田はこのオリンピックが始まる前の一九二三年六月よりフランスの上流人や著名人を会員とするスポーツクラブ「デュフランス」や「サークルホッシュ」から招聘されてパリにおり、講道館の先輩でありフランス大使館参事官である杉村陽太郎らの世話になりながらパリで柔道を教授し、柔道普及に努めた。その後会田へ、かつてイギリスのロンドンで教えていたドイツの男爵ウァールワーツ夫妻からドイツ柔道のため指導してくれないかとの懇望があり、ドイツベルリン