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概要

国士舘史研究年報第7号

「小野寅生日記」にみる戦中・戦後と国士舘11はじめに先の大戦中から戦後にかけて記された日記類は、言うまでもなく時代を映す貴重な史料である。しかしながら、その多くが、戦災等により失われていったことは周知のとおりである。もちろん様々な立場の人間が記していたわけだが、なかでも学生・生徒、とりわけ学徒出陣により多くの若者が戦地に向かって行ったこともあり、当時、大学や専門学校に在学していた学生の日記が残されるケースは極めて少ない。かくして、当時の大学や専門学校の置かれた状況については、法令等の面からは追うことはできても、それに応じた実態を探ることは容易ではない。しかしながら、幸いにも国士舘史資料室では、そうした時期の日記の寄贈を受けた。一九四三(昭和一八)年四月、国士舘専門学校武道国漢科剣道専攻に入学し、一九四七(昭和二二)年三月、至徳専門学校国語科(戦後、国士舘専門学校から改称)を卒業された小野寅生氏の日記である(以下、便宜上「小野寅生日記」と称す)。日記は、妻の小野重子氏から譲り受けた。記して謝意を表したい。まずは、本論に入る前に、小野寅生氏(以下、小野と略す)の略歴を紹介しよう。生没年は、一九二六(大正一五)年三月三〇日―二〇一二(平成二四)年八月一九日、享年八六。一九四七年三月、至徳専門学校を卒業した小野は、同年五月、荒川区立第六中学校教師となる。翌年には國學浪江 健雄「小野寅生日記」にみる戦中・戦後と国士舘論文と資料紹介研究ノート