ブックタイトル国士舘史研究年報第7号

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概要

国士舘史研究年報第7号

食堂アルバイトと寮生活で得たもの121く、塩と砂糖で少々味を付けておき、豆腐の絞ったのを入れてよくかき廻す。火は弱火でよく炊き付ける」と記述されていた。しかし、新年始まりの七日に、山口栄養士さんが退職され、食堂専任の加茂さん、長谷さんも退職する。小田、鈴木、阿野の三人が主力となる。食堂バイトのメンバーに四年生小田・鈴木、三年生に阿野・上野勝(福岡)・野中覚、二年生に林正(北海道)・松崎弘史(香川)、一年生に川西和夫(高知)・粥川昭弘(北海道)・田川直彦(兵庫)・越坂入久などでした。六月頃になると地元母校での教育実習、教員採用試験(香川、神戸市)や二次面接試験などで度々食堂を離れることが多かった。ある日、越坂君が私と鈴木さんの靴を奇麗に磨いてくれていた。食堂でも実によく働く後輩で「お土産を買って帰るから」と言うと、「お土産よりも採用試験に合格して下さい」と言うのでますます感服した。創立記念講演が終わり、学生監の小熊康之先生より「小田ちょっと来い」と言うので食堂の中に入って行くと、「今日は朝早くから来て朝飯を食べてないから飯を食わせろ」という要望で早速準備して差し上げる。食べ終わると、「残り少ないから一生懸命努力せよ」と言う励ましの言葉でした。五○歳になるが大学の夜間で三年生になり、法科を専攻していることを話され、「暇を見つけて一度鈴木と二人で遊びに来い」と言う有り難いお言葉をいただいた。新年正月二日、川崎市生田まで鈴木さんと訪問した。三月一五日、待ちに待った第四期生卒業式が盛大に挙行され、舘長からひとり一人卒業証書が授与された。寮生賞や皆勤賞まで、また立派な辞書までいただき感無量の一瞬だった。翌一六日食堂での最後の朝食を作り学校を後にした。夢に向かって歩みだした門出の朝だった。五 おわりに昭和三八年三月一五日、無事に卒業してから五二年が過ぎる。当時の食堂アルバイトも寮生活のことも遠い昔日のことで記憶の風化が著しく思い出せない。思案に暮れていたが、日誌にその日の行動の記述を書き綴っていた自分史があった。入学から卒業まで年月を追って回想してみた。四年間の寮生活では毎日が規則正しい時間との闘いであった。朝夕の点呼で時間を守ることの大切さ、先輩、同僚、後輩の礼儀作法の実践、思いやりもあり助け合った集団生活、北は北海道から南は沖縄まで、全国から集まってきた同窓との強い絆は今日も