ブックタイトル国士舘史研究年報第7号

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概要

国士舘史研究年報第7号

国士舘史研究年報2015 楓?118で、一〇日には皇太子殿下の御成婚日で全国が慶祝ムードで湧いていた。一二日に入学式があり来賓祝辞に松野鶴平、橋本文部大臣とある。二九日は天皇誕生日で祝日、緊張の連続であった。寮生は午前五時に起床して、柔道か剣道のどちらかを選択して朝稽古に参加することが義務づけられていた。事前にどちらにするか先輩より聞かれ、「君は高校時代何をやっていたのか」と聞かれ、「陸上競技です」と答えると、「そうか陸上か、陸上なら真っすぐに走るだろう。柔道ならガニ股になるぞ」と言われ、その先輩の一言で剣道を選択した。慌ただしい不安と緊張が一杯の寮生活がはじまったのである。一〇月末頃になると箱根駅伝出場のため、長距離陣が正気寮二号室で合宿を張り二度ほど時習寮(現一〇号館北東側)三号室に移る。一二月頃、剣道実技の時間に大野操一郎先生に「君は初段はじきに取れるからしっかり稽古しろ」と言われた。一月三一日杉並区荻窪の中村太郎道場で昇段審査があり、初段に合格した。初めての剣道で何か強く心に引かれるものを感じた。二 朝刊と夕刊の新聞配達をはじめる小熊先生曰く「寮から出ないでアルバイトをしろ、君のような真面目な学生は立派だ」と勇気づけられる。一年生の終わり頃、二月二日から七月一五日迄の約半年間寮の下にある中山新聞舗で配達を取り付けた。実は別の新聞屋や牛乳配達所で働き口を交渉したが寮生であることから断られていた。資金も底を付きはじめていたので安堵した。右肩から左腰にタスキを掛け、脇下に一五○部くらいを早朝や夕暮れを走ったり歩いたりしての配達であった。新聞購読を拡張すると一部五○円、集金すると五○円の収入となり、寮内に八○部くらい拡張の時もあり大助かりでした。ある日舘長宅にも購読をお願いしようと思い勇気を出して訪れました。舘長自ら応対してくれました。「毎日新聞を購読していただけませんか」とお願いすると「毎日新聞は駄目だ」と言う。その理由は「新聞が入って無いのに集金だけは来る」と言うお叱りであった。「僕が配達するから間違いありません」と言うと、「貴様目上の人には私と言いなさい」と諭された。それから毎月の集金は、こっそりとお手伝いさんにお願いすることにした。毎日午前三時頃に起床、集団生