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2022年03月25日

【祝ご卒業】令和3年度(2022年3月)卒業生・修了生の皆様へ 佐藤圭一学長からのメッセージ

式辞

 

国士舘大学 学長 佐藤 圭一

 

春の麗らかな陽光に誘われて、桜開花の便りが聞こえ始めた今日の佳き日に、国士舘大学で学問を修め、晴れて「学位授与の栄光」に輝くのは7学部2,739名、大学院10研究科・修士課程83名、博士課程2名の総勢2,824名の皆さんです。皆様、ご卒業おめでとうございます。

また、新型コロナウイルス感染防止により誠に残念ながらご臨席をお願いできなかったご家族・保護者・関係者の皆様にも心からお祝いを申し上げますとともに、これまで学生の皆さんの学びを支え、温かく見守って下さったことに対しまして、教職員を代表して、衷心より感謝申し上げます。

卒業生の中には113名の留学生がおります。留学生の皆さんへ一言申し上げます。皆さんは、母国やご家族から遠く離れて、言葉や文化・習慣の異なるこの日本で学び抜かれました。柴田德次郎賞、また優秀修士論文賞の受賞者の中にも留学生の方がおられます。留学生の皆さん。どうか、これからも研鑽を積まれ、母国と日本そして、国士舘大学とを固い“絆”で結んで行っていただきたいと思います。

また、6名の方に学位の最高峰である博士号の授与を行いました。此処に至るまでの筆舌に尽くしがたい努力の日々、そして、獲得された栄光に対し、ここに集う全ての皆さんと共に、祝福したいと思います。おめでとうございます。

 

卒業される皆さん。先ずは皆さんの卒業に至るご健闘を心から称えたいと思います。皆さんの多くは大学生活の半分を、未だに猖獗(しょうけつ)収まらないコロナ禍の中で過ごすことを余儀なくされました。思い出してください。一昨年の令和2年春期授業開始前からキャンパスの全面閉鎖を余儀なくされました。忘れもしません。その5月11日からは、誰もが経験したことのない全学一斉オンライン授業が開始されました。暫くして皆さんからは苦悩の声が寄せられました。「国士舘生であることの実感が持てない」「引き籠り状態になり心身ともに疲弊している」「皆と学び合う機会が閉ざされ、目標を失いかけている」 など、通常では奨励されるはずの「人との触れ合い」が逆に“密”として禁止され、長期間に亘って禁断と隔絶の憔悴極める学生生活を強いられたのです。厳し過ぎる日々が続きました。


他方で、ここに至るまでの苦難と忍耐により、一転して、「人間として、そして学生として必須な根本原理の自覚者としての強み」を皆さんは身に付けることができたのです。
それは昨年4月2日、新年度が始まった2日目のことでした。各キャンパスには、私達が決して忘れ得ぬ光景が広がっていました。入構制限が緩和され、綿密な感染防止措置を施しての対面授業が1年振りで再開されました。再会を果たした学生達の溢れんばかりの笑み、あちこちから湧き上がる歓声、溌剌とした語らい。煌めく春の息吹の如く、キャンパスは蘇生したかのように息を吹き返したのでした。同時に、その光景は「人間とは他者を通して自分自身と向き合い、その接点で自己を認識する存在」であること。つまり、いかに時代が進展しようとも、相互扶助=支え、支えられなければ生きていけないこと。更には大学とは真理追求の場であることからも教職員そして仲間達との語り合い、励まし合い、切磋琢磨することの重要性を再確認することになりました。

 

そればかりではありません。立ちはだかるコロナ禍という逆境は“苦しみと同時に、我われに創造する機会”を与えてくれたのです。ICTの活用は有限だった時間や場所・環境からの解放を意味するものでした。教育支援システムmanabaを中核として機能させながら、オンデマンドやハイブリッド方式などを駆使したオンライン授業の推進、またそのための研究会や研修会を数多く重ねました。そのことが奏功して、70%を超える学生からオンライン授業に「満足している」との評価を受けることができました。

卒業生の皆さん。皆さんはこの逆境の中で、早期にして変革に対応する能力の一端を身に付けることができたのです。今、世界を突き動かしているとめどもない技術革新にあって、皆さんはこの経験を大いに活かし、必ずや世の期待に応え、より良い未来を切り拓いて行くものと確信しております。

 

ところで、皆さん。ロシアによるウクライナ軍事侵攻から1か月が過ぎようとしています。世界の安全保障と経済を巡る状況は一変してしまいました。また、一方的な軍事侵攻は恒久的世界平和の実現のために人類の英知を結集して築き上げてきた「自決権や主権の尊重」、「人々の生きる権利、自由を享受する権利」という国際規範を根底から覆すものとなりました。こうした暴力的・非人道的行為が黙認されることがあれば、人類に悲劇をもたらした19世紀型の権力闘争の時代に逆戻りすることを意味します。
今、日本を含めた国際社会は歴史の教訓から確立された国際秩序を破壊するこのような暴力に対しては毅然とした態度をもって行動することが求められています。

加えて、世界中がパンデミックに喘ぐ中で、ロックダウンの決断や、人々の移動の制限など、強権的手段がコロナ感染の抑制に成功しているとの情報から「強権的指導者」を待望する風潮が世界に拡散しています。しかしながら、この度のロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって白日の下に晒されたことは、強権的指導者に共通する異様な歴史観や世界観、それに基づく独善と偏見、一度掴んだ地位への異常な執着と、抑えの効かない権力の行使です。

他方、それとは対照的に、我われが暮らす日本のような「民主主義国家」には、様々な考え方や価値観を尊重し、弱者や少数者の意見を受け入れる寛容性、また選挙を通じて指導者の過ちを修正できる自浄作用が制度として備えられています。とはいえ、民主主義が機能している国は世界でも限られているように、それは、繊細な花のように育てることが極めて難しいものです。

では、一体、我われ国民の意思が国政に直接反映されるこの制度を維持・発展させるためには何が必要でしょうか。勿論、政治や経済の安定は必要な要件です。しかしそれ以上に、充実した教育制度の下で啓発された国民一人ひとりの豊かな教養と、それに基づく理性的行動こそが絶対要件であり、仮にこの二つが失われることになれば、民主主義は、忽ちにしてその脆弱性を露呈し、混乱の後には悲劇がもたらされることは、世界の歴史を紐解いてみれば明らかです。

 

では、民主主義の根幹を形成する教養と理性的行動は如何にすれば身に付くのでしょうか。 その問いへの答えは、正しく皆さんが修めた国士舘の「建学の精神」「教育理念」そして「三綱領」そのものにあるのです。

 今一度反芻してみてください。「三綱領」とは、日々の生活の中で「読書・体験・反省」、そして「思索」を巡らすことです。それを繰り返すことにより教育理念である「誠意・勤労・見識・気魄」が涵養されます。この教育理念を体現することによって建学の精神である「国を思い、世のため、人のために尽くせる人材」として、つまり教養と理性を身に纏った「国士」となることができるのです。

もう、お分かりのことと思います。本学の「建学の精神」「教育理念」は決して、国士舘大生や日本人だけに留まるものではありません。人類の英知を結集して築き上げた民主主義に必須の、およそ平和を希求する全人類が共有すべき最高の美徳、すなわち人間としての理念型でもあるのです。国士舘大学を卒業する皆さんはこのことを忘れることなく心に刻んでいただきたいと思います。

 

卒業される皆さん。皆さんと母校国士舘大学との“絆”は生涯続きます。国士舘大学の教育の真髄を身に付けた皆さん。胸を張って社会に飛び立って下さい。国士舘大学は「建学の精神」そして「教育の理念」を体現する皆さんを応援し続けます。

5年後、10年後更なる成長を遂げた皆さんと再会を果たし、わが国士舘大学、そして日本と世界の将来について話し合えることを楽しみにして、卒業式の式辞とさせていただきます。

本日は誠におめでとうございます。 また、お会いしましょう。

 

令和4年3月20日

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