国士舘大学キャンパス手帳2019
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大学概要雉  救  林  火昔野火燒林。林中有一雉懃身自力。飛入水中漬其毛羽來滅大火。火大水少往來疲乏不以爲苦。是時天帝釋來問之言。汝作何等。答言我救此林愍衆生故。此林蔭育處廣清涼快樂。我諸種類及諸宗親幷諸衆生皆依仰此。我有身力云何懈怠而不救之。天帝問言。汝乃精懃當至幾時。雉言。以死爲期。天帝言。汝心雖爾誰證知者。卽自立誓。我心至誠信不虛者火卽當滅。是時淨居天。知菩薩弘誓。卽爲滅火。(大智度論第十六巻)参考/『大正新脩大蔵経 第二十五巻 釈経論部上』雉  林  火  を  救  う昔むかし、野やか火、林はやしを焼やく、林りんちゅう中に一いちの雉きじ有ありて、身みみづか自ら力ちからを懃つとめて飛とんで水すいちゅう中に入いり、其そのうまう羽毛を漬つけ、来きたりて大だいか火を滅めっす。火ひは大だいに水みずは少すくなし、往おうらい来して疲ひぼう乏するも、以もって苦くと為なさず。是このとき時、天てんていしゃく帝釈、来きたりて之これに問とうて言いはく、「汝なんぢは何なんら等をか作なす」と。答こたへて言いはく、「我わがこのはやし此林を救すくふことは、衆しゅじょう生を愍あはれむが故ゆえなり。此このはやし林は蔭おんいく育の処ところにして広ひろく、清しょうりょうけらく涼快楽なり。我わがもろもろ諸の種しゅるいおよ類及び諸もろもろの宗しうしんならび親并に諸もろもろの衆しゅじょう生は、皆みなこれ此に依より仰あふぐ、我われは身しんりき力有あり、云いかん何が懈げたい怠して之これを救すくはざらん」と。天てんてい帝問とうて言いはく、「汝なんぢは乃すなはち精しょうごん懃して、当まさに幾いくとき時にか至いたるべき」と。雉きじ言いはく、「死しを以もって期ごと為なす」と。天てんてい帝言いはく、「汝なんぢが心こころは爾しかなりと雖いへども、誰だれか證しょうち知する者ものぞ」と。即すなはち自みづらら誓ちかひを立たつらく、「我わがこころ心の至しじょう誠、信しんにして虚むなしからずんば、火ひは即すなはち当まさに滅めっすべし」と。是このとき時、浄じょうごてん居天は菩ぼさつ薩の弘くぜい誓を知しりて即すなはち為ために火ひを滅めっす。(大智度論第十六巻)参考/『昭和新纂 國譯大藏經 論律部 第三巻 大智度論第一』柴田德次郎 揮毫「雉救林火」「大きな山火事を一羽の雉が一生懸命消そうとしている。それが実に真剣であったので神々が助けてくれた」という仏教書の一節。創立者の柴田德次郎は、戦後の復興に際し支援への感謝と再建への決意を示すため、この一節を墨書した。71

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