国士舘大学キャンパス手帳2019
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大学概要士  規  七  則披繙冊子、嘉言如林、躍々迫人、顧人不読、即読不行、苟読而行之、則雖千萬世、不可得尽、噫、復何言、雖然、有所知矣、不能不言、人之至情也、古人言諸古。今我言諸今、亦詎傷焉、作士規七則一、凡生為人、宜知人所以異於禽獣、  蓋人有五倫、而君臣父子為最大、  故人之所以為人、忠孝為本一、凡生皇国、宜知吾所以尊於宇内、  蓋皇朝萬葉一統、邦国士夫、  世襲禄位、人君養民、以続祖業、  臣民忠君、以継父志、君臣一体、  忠孝一致、唯吾国為然一、士道、莫大於義、義因勇行、  勇因義長、一、士行、以質実不欺為要以巧詐文  過為恥、光明正大皆由是出、一、人不通古今、不師聖賢、則鄙夫而巳、  読書尚友、君子之事也一、成徳達材、師恩友益、居多焉、  故君子愼交游、一、死而後已四字、言簡而義該、堅忍果決、  確乎不可抜者、舎是無術也、右士規七則、約為三端、曰立志以為萬事之源、択交以輔仁義之行、読書以稽聖賢之訓、士苟有得於此、亦可以為成人矣、二十一回猛士手録冊さっし子を披ひはん繙すれば、嘉かげんはやし言林の如ごとく、躍やくやく々として人ひとに迫せまる。顧おもふに人ひとよ読まず。即もし読よむとも行おこなはず。苟まことに読よみて之これを行おこなはば、則すなわち千せんばんよ萬世と雖いへども得えて尽つくすべからず。噫ああ、復またなに何をか言いいはむ。然しかりと雖いへども知しる所ところあり、言いはざること能あたはざるは人ひとの至しじょう情なり、古こじん人はこれを古いにしへに言いい、今いま、我われこれを今いまに言いふ、亦また詎なんぞ傷やぶらむ。士しきしちそく規七則を作つくる。一ひとつ、凡およそ生うままれて人ひとたれば、宜よろしく人ひとの禽きんじゅう獣に異ことなる所ゆえん以を知しるべし。  蓋けだし人ひとには五ごりん倫あり、而しかして君くんし臣父ふし子を最もっとも大おおいなりと為なす。  故ゆえに人ひとの人ひとたる所ゆえん以は忠ちゅうこう孝を本もとと為なす。一ひとつ、凡およそ皇こうこく国に生うままれては、宜よろしく吾わが宇うだい内に尊とうとき所ゆえん以を知しるべし。  蓋けだし皇こうちょう朝は萬まんよういっとう葉一統にして、邦ほうこく国の士しふ夫  世よろくい禄位を襲つぐ、人じんくんたみ君民を養やしなひて祖そぎょう業を続つぎたまひ、  臣しんみんきみ民君に忠ちゅうして、父ふ志しを継つぐ、君くんしんいったい臣一体  忠ちゅうこういっち孝一致なるは、唯ただわ吾が国くにを然しかり為なす。一ひとつ、士しの道みちは義ぎより大おおいなるは莫なし。義ぎは勇ゆうに因よりて行おこなはれ、  勇ゆうは義ぎに因よりて長ちょうず。一ひとつ、士しの行おこないは質しつじつ実にして欺あざむかざるを以もって要ようと為なし巧こうさ詐にして  過あやまちを文かぎるを以もって恥はじと為なす。光こうめいせいだいみなこれ明正大皆是より出いづ。一ひとつ、人ひとここん古今に通つうぜず、聖せいけん賢を師しとせざれば、則すなわち鄙ひふ夫のみ。  書しょを読よみて尚しょうゆう友するは、君くんし子の事ことなり一ひとつ、徳とくを成なし材ざいを達たっするには、師しおんゆうえき恩友益多おほきに居をる。  故ゆえに君くんし子は交こうゆう游を慎つつしむ。一ひとつ、死しして後のちに已やむの四よじ字は、言ことかん簡にして義ぎか該ぬ堅けんにんかけつ忍果決  確かっこ乎として抜ぬくべからざるものは、是これを舎おきて術じゅつなきなり。右みぎしきしちそく士規七則、約やくして三さんたん端となす。曰いはく こころざし 志を立たて、萬ばんじ事の源もととなし、交まじわり択えらびて仁じんぎ義の行おこないを輔たすけ、書しょを読よみて聖せいけん賢の訓おしえを稽かんがふ、士しまこと苟に此ここに得うることあらば、亦またもつ以て成せいじん人と為なすべし。                        二にじゅういっかいもうししゅろく十一回猛士手録                           (吉田松陰の号)70KOKUSHIKAN UNIVERSITY 2019

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