文学部 文学科 日本文学・文化コース
有名な古典文学作品の裏に潜む
時代背景を知れば、もっと面白い。【日本上代中古文学・文化論A】
【日本上代中古文学・文化論A】の目的は、平安時代の代表的な古典文学作品を読解しながら、貴族の生活や文化、価値観などの時代背景について深く知ること。そして現代の価値観との共通点・相違点を分析し、新たな発見をしてもらうことも大事にしています。それらを踏まえて読めば、古典は今まで以上に楽しくなるはずです。
※2016年3月撮影
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先生からの
「この授業の紹介」文学部 文学科 日本文学・文化コース
松野彩 講師MATSUNO Aya
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学生からの
「この授業の見どころ」文学部 文学科 日本文学・文化コース
吉成早紀YOSHINARI Saki
栃木県私立宇都宮短期大学附属高等学校出身
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Point.1さわりしか知らなかった
古典の裏側が見える。その古典文学のこと、どのくらい知ってる?
この授業のポイントのひとつが「文法の勉強はしない」ということ。とにかく、古典を純粋に楽しんで読んでもらうことが目的です。遊戯や化粧、年中行事など、毎回授業のテーマが変わるので「いろんな人間の生活があるんだな」ということがわかってもらえると思います。特に学生に人気のテーマが、食生活、衣料、音楽、そして恋愛です。なるべくわかりやすく、かつ、クスッと笑えるような物語をピックアップしています。授業の感想として「枕草子は嫌いだったけど、面白い場面もあることがわかりました」などの言葉も多くあり、物語のさわりしか知らなかった学生にも古典の楽しさを知ってもらえるきっかけになっているようです。
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Point.2今と昔の違いを知れば、
古典がより身近に。“お歯黒”って、そういう理由でするの?
例えば『堤中納言物語』には「白い真珠のような歯が覗いて…」というようなくだりがあります。これは意味を知らずに現代の感覚で読んでしまうと「歯が白いのはいいことじゃないか」と納得して終わってしまうことでしょう。しかし当時の貴族の部屋は薄暗く「そのような環境の中で、白い歯だけがキラキラと光っているのははしたない」という美意識があり、そこから歯を黒くする“お歯黒”という化粧方法が浸透していたのです。このように、当時の価値観を踏まえた上で読むと、ただ古典を読解するだけにとどまらない奥行きが生まれます。現代の感覚との違いを意識することで、遠い昔の物語だった古典をより身近に感じてもらえるはずです。
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Point.3教員を目指す学生必見!
採用試験対策にも。古典を楽しんで読むだけで、自ずと力がついていく。
授業の最後に書いてもらうリアクションペーパーには「授業で初めて得た知識と、これまで知っていた知識を整理して書きなさい」と指導し、同時にペーパーの8割を目安にして埋めるようにと伝えています。学生たちもそれに従っているうち、きちんと整理して自分の感想を書く力が自然とついてきているようです。また、この授業は教員を目指す学生が多く履修しているのですが、教員採用試験に文学史の問題は必須。そこで、授業で扱った「作品名」「作者」「時代」の3つは必ずメモするようにと言っています。時に映像や漫画なども交えながらわかりやすく楽しく展開していますが、同時に教員採用試験対策としても機能する授業です。