法学部 法律学科
答えがひとつではない学問「犯罪学」
その学びを通して物事を多面的に考えられる人に。【犯罪学】
【犯罪学】の授業では、犯罪の動向からその原因や対策、犯罪者の処遇に至るまで、さまざまな側面に光をあてて犯罪というものを多角的に捉えていきます。法務省で犯罪者の更生に関わった経験をもつ実務家教員が担当。犯罪を的確に把握し、その対策を考えることはとても重要です。警察官志望の人にもぜひ受けてほしい内容です。
※2016年3月撮影
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先生からの
「この授業の紹介」法学部 法律学科
辰野文理 教授TATSUNO Bunri
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学生からの
「この授業の見どころ」法学部 法律学科
山本楓YAMAMOTO Kaede
愛知県私立聖霊高等学校出身
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Point.1犯罪=悪ではなく、
さまざまな側面から
捉える。犯罪の動向から犯罪者の処遇まで広がるテーマ。
【犯罪学】というと、犯罪の種類や罪を犯した人の処遇をまずは思い浮かべる人が多いかもしれません。それらも含めて、犯罪学というのは非常にすそ野が広い学問です。授業では、犯罪を「動向」「原因」「予防」「特徴」「対策」「犯罪者の処遇」などのテーマに分けて学びますが、たとえば「原因」と一言でいってももちろん一つではなく、生物学的要因もあれば心理学的要因もある。さらに社会学的理論から捉える必要もあります。また、「犯罪者の処遇」も、刑務所の中の生活と社会に出てからの“社会内処遇”と呼ばれるものがあり、“社会内処遇”だけを見ても保護観察、仮釈放者の居住状況、再犯率、再犯防止対策というようにテーマが広がっていきます。
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Point.2心理学や
社会学を背景に、
犯罪学を学ぶ。「最良の刑事政策とは最良の社会政策である」。
それらの基本的事項について学び、説明できるようになることが授業の目的ですが、この学びが心理学や社会学を背景としている点にも注目してください。たとえば、再犯にいたる要因に「犯罪集団との接触がある」「出所後の就職先が決まっていない」「出所後の引受人がいない」「高齢のうえ健康上の問題がある」などがあります。これらの問題は心理学や社会学の視点なしには解決できません。ドイツの刑法学者フランツ・フォン・リストは「最良の刑事政策とは最良の社会政策である」という言葉を残していますが、現在にも十分あてはまります。罪を犯した人間は悪いから罰するというだけでなく、社会はどう対応すればよいのかという視点を常にもちながら学んでください。
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Point.3物事を多面的に捉え、
自身の価値観を確立。刑務所長の立場からも元受刑者の立場からも考える。
授業では、刑事司法関係者や元受刑者の話を聞く機会もあります。また、授業の終わりには毎回、学生に問いかけを行います。ある回の「罪を犯した人はどのような状態になれば社会に受け入れてもらえるのか」という問いに対しては、ボランティアなどの社会貢献をする、再犯しない、といった意見が多く返ってきました。それについて、自分はなぜそう思うのか、違う意見の人はなぜそう考えたのかまで突き詰めていくと、新たな気づきが得られるのではないでしょうか。犯罪学というのは答えがひとつではない学問。だからこそ、さまざまな立場の人の、さまざまな背景を知ることで物事を多面的に捉える力を養い、自分なりの結論を導き出してほしいと思います。